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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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83/212

ポカルCM撮影

11/2 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正

 明けてCM撮影当日になった。

 撮影は朝から日が傾くまでの間、場所はスペックスビル前。

 撮影場所を囲むように私服姿の店付き(エキストラ)アクトレスやプレイヤー達が陣取っている。

 その輪の中に停められたワゴン車の中で、またもやこの人との対面となった。


「いやいや、君の人気には驚かされるよ。もう業界人からの問い合わせが多くて多くて。

 ちょっとオーディション受けてみない?」


 高畑たかはた社長がニコニコしながら俺のご機嫌伺いをして来る。

 そんなんしたって乗らねぇよ。


「僕も何かと忙しくさせてもらってますので、芸能活動はちょっと難しいですね」


「そんな釣れない事言わないでよ、うちの人気女優食っといてさぁ~」


 人聞きの悪い事言うなよ、俺は幼馴染とさらに仲良くなったステップアップしただけだっての。


「高畑社長、うちの優希ゆうきはこの度スペックスの取締役になりましたので、本当に時間がないんですよ。今日もこの撮影が終わり次第商談に向かわないといけませんので」


 俺の隣で牡丹ぼたんが高畑社長を牽制する。

 いや、牽制するなら何で俺のタレント活動を高畑芸能事務所に業務委託する契約交わしたんだよ。お前の立ち位置が分からねぇ~よ。

 牡丹の反対隣には俺の腕にすがりつくように瑠璃るりがくっ付いている。捨てられる前の子犬のようだ。


「牡丹さんは優希君をデビューさせるだけで済むと思ってるんですか? こんな逸材業界が放っておくと? 無理でしょ。スポーツ飲ポカル料のCMだけで終わらないって。

 分かってんでしょ? だからうちに業務委託してんだからね~」


 そうか、牡丹が高畑芸能事務所に業務委託した真意は、殺到するであろう俺に対するその他芸能事務所からのオファーをお断りする為だったのか。

 元々懇意にしている高畑社長の事務所を隠れ蓑にすれば、上手い具合に仕事量も絞れるし俺のプライベートも確保しやすいと。


「演技力があるのはお断り屋で証明されてるし、この容姿だからね。下手なアイドルや俳優よりすでに売れる要素持ってんだよ?

 それに何よりエミルの幼馴染じゃん。それとなく付き合ってるって情報流せば相乗効果で話題になっていいと思うんだけどなぁ」


 エミルの事を出されれば、ちょっと考えてしまうけど……。

 夏希なつきが本気で芸能活動すると言うのであれば、俺の存在を役立ててほしいとは思う。役に立てば、だが。

 そうは思うけれども……、あいつ芸能界引退するって言ったけど今はどう思ってんだろうか。


 ちょうどそのタイミングで夏希がワゴン車へ入って来た。


「おはようございます、社長いらしてたんですね」


 ばっちりメイクが終わった状態の結城ゆうきエミル登場。

 腕が痛いから力を緩めてくれ、瑠璃。


「おはようエミルちゃん。今希瑠きる紗丹さたんの今後の芸能活動について語り合ってたとこだよ」


 そう言えば石田いしださんは来ないのかな。エミルのチーフマネージャーは何をしているんだろう。


「高畑社長、石田さんは今日は来られないんですか?」


「ん? あぁ、今日は今後のエミルの仕事についての打ち合わせに行ってるよ。ぼちぼち映画の主演とかのオファーも来てるからね。

 どうだい、相手役しない?」


 そんな気軽に決めれるモンじゃないでしょうに。


「映画の撮影ともなると3ヶ月から半年くらい掛かるんでしょう? 却下です」


 瑠璃が高畑社長にお断りをした。

 それにしても却下て、俺どんだけ大物扱いなんだよ。

 エミルの相手役したいって俳優いっぱいいそうだけどな。


「私は優希が相手役ならやりやすいけどなぁ」


 逆にやりにくいと思うぞ?


 あ~だこ~だやり取りしていると、ADさんが俺達を呼びに来た。

 撮影前に現場で最終の打ち合わせをするようだ。


 一応昨日に説明を受けているとはいえ、カメラで撮られるっていうのに慣れてないし、どこからどう撮られているのか意識しながら演技するとかそんな事が俺に出来るわけない。

 言われた通りにやるしかないなと改めて開き直る。


 俺が説明を受けている間、少し離れた場所で瑠璃と牡丹はスーツを着たおじさん達に頭をペコペコ下げられていた。

 アレは多分宮坂みやさか製薬の人達なんだろうな。


「よぉ紗丹、昨日緊張し過ぎて寝れなかったわ……。お前はどうだ、大丈夫か?」


 青葉さんがギターをぶら下げて近寄って来た。


「おはようございます、青葉さん。僕もまぁ似たようなモンですよ」


 本当はさゆと2人でぐっすり寝てたけどね。


「BGMが掛かるから俺の声もギターも使われないけどさ、それでも撮影されているって思うだけでめちゃくちゃ緊張するわ。生放送は勢いだったし、緊急コードの8814も発令されてたからさ。

 何が何だか分からないまま、俺自身何してんだろって思いながらだったしなぁ~」


 その割にはノリノリで歌って飛んでしてたように思うけど。

 でもそのお陰でお客様アクトレスからの指名が入るようになったわけだし。しっかりとチャンスをモノにしてるよな。


「最終リハーサル行いま~す、お願いしま~す!」


 っと、集合が掛かったみたいだ。

 青葉さんがすっと無表情になった。少し手が震えてる気がする。大丈夫だろうか。

 夏希がヘアメイクさんに髪型をチェックしてもらっている隣へと行き、青葉さんに夏希を紹介する。


「青葉さん、俺の幼馴染の夏希です。夏希、こちら先輩プレイヤーの青葉さん」


「初めまして、結城エミルです。いつも優希がお世話になってます」


「ひっ!? 初めました! 青葉だす!!」


 噛んだ、余計緊張させてしまっただろうか。脇腹殴るの止めてほしい。



「本番行きま~す、5秒前! 4・3…………」キュー


 カメラの向こうから走って来るエミル。

 その向こうからさらにすごい勢いで走って来る、チビっ子!?

 いやあれはプレイヤーちゃんねる管理人の千里ちさとさん!!?


 すぐにADさんやスペックス関係者の手によって拘束される合法ロリ。

 その姿はさながらロズウェル事件の写真のようだ。

 両手を持たれて吊り上げられ、足をぶんぶんしながら連れて行かれる千里さん。


「いやぁ~! 紗丹君助けてぇ~!!」


 またのご予約をお待ちしております。


「あの人誰なの!?」


「あ~、俺のお客様。プレイヤーデビューのお相手で、それからは会ってなかったんだけどなぁ」


 夏希がすげぇびっくりしてる。夏希の方がこういう経験ありそうなのにな。


「私は割とがっちりガードしてくれてるから。でもそれをすり抜けてこんなに近くまで来るってすごいよ……」


 多分背が低いから見つけにくかったんだろうな……。


 そんなトラブルがありつつも撮影は順調に進み、ポスター用の写真撮影や何故かメイキング映像として俺と夏希が1本のポカルを回し飲みしているシーンや、青葉さんと肩を組みながらLeeeaveリーブスSの『みらくる』を歌いそれを眺めるエミルといったシーンなども含めて撮り終わり、本日の撮影は終了となった。

 メイキング映像は宮坂製薬のポカルの商品ページで動画が掲載されるらしい。


 また後日に録音スタジオへ行って声を吹き込んだり、編集し終わったCMの上映会があったりと、まだやる事は残っているそうだ。 



 撮影が終わってすぐ、次の仕事へ向かう夏希を見送り、ずっと離れた場所から様子を見守っていた瑠璃と牡丹、そして大学から帰って来た紗雪と合流する。


 さてさて、Top Statu(トプステ)sのオーナーである基夫もとおさんと対面する前に、三姉妹と作戦会議を開くとしようか。



バタバタして投稿が23時になってしまいました。

明日は22時に間に合うようにしたいと思います。


いつもありがとうございます。


10/15訂正:そして大学から帰って来た夏希と合流する → そして大学から帰って来た紗雪と合流する

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