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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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夏希とさゆと紗雪と

11/2 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正

 次の日の朝、目覚めると隣には起きているのか寝ているのか、判断が付かないような微睡んだ状態の紗雪さゆきがいた。

 夏希なつきの姿がないので部屋を見回すと、浴室からシャワーの音が聞こえて来るので覗きに向かう。

 ふんふんと鼻歌を歌いながら身体を洗っている様子だったので、外から声を掛ける。


『わっ!? ちょっと優希ゆうき! 入ってるって分かるでしょ!!』


 浴室の扉越しに聞こえる夏希の声。


「分かるけどちょっとイタズラしたいなって思って」


『2人が寝てる間にささっと行こうと思ってたのに……、もうっ』


 そんな寂しい事言うなよな。


「分かった、とりあえず脱衣所から出て行くから」


『え、入ってくるつもりなんだと思ったよ……』


 入らないよ。誰の影響だ全く。



 浴室から出て、夏希は服を着てすぐに仕事へ行く準備をする。

 準備と言ってもメイクさんがしてくれるので化粧はせず、髪の毛もドライヤーで乾かすのみ。

 今日の仕事はドラマの脇役らしく、現場へ向かうタクシーの中で台本を読むのだとか。


「じゃあ、また明日ね。CM撮影じゃくっ付けないから今のうちよ?」


「そうだな、今のうちに夏希成分を補給しとくよ」


 抱き合って、少し身体を離して見つめ合い、唇を重ねる。

 今この瞬間は2人きりの世界だ。


「ぷはっ、激し過ぎ……。じゃあ行くね」


 バイバイ、と手を振って部屋から夏希が出て行った。

 残されたのは俺とベッドで寝たフリを続けるさゆ。いじけているのか、それとも歪な世界に入り込んでいるのか。

 気付かないフリをして、さゆの隣に寝転がる。

 背中から抱き着き、抱き枕にする。ふにふに。

 おっと、ちょっといい事を思い付いたかも知れない。


「いつまで寝ているつもりだ紗雪。主人が起きていると言うのに」


 バっ! と身体を起こし、ベッド上で土下座する美少女メイド。


「申し訳ございません、お2人のお時間を邪魔すべきでないと思いまして……」


「本当は?」


「……、耐えておりました……」


「耐えていたんじゃなくて悦に入ってたの間違いだろ?」


 あぁっ! と声を上げる紗雪。言葉だけで背中を震わせるとか上級者だな。

 目に涙を浮かべ、しかし何も言葉を発しない。聞こえるのは吐息のみだ。


「夏希が仕事でいなくなったし、紗雪にしとくか」


 本心ではないその言葉に、紗雪の身体が何度も跳ねるように反応を示す。

 美少女メイドとしては2回目か。後でどっちがいいのかさゆに聞こうと思いつつ、俺の好奇心は止まらなかった。


「さゆ、どっちがいいの?」


「今それ聞くの!? せめて終わってからにしてよっ!!」


 結局終わってからも答えは教えてくれなかった。



 シャワーを終え、朝食をどうしようかと考えているところに瑠璃るりから着信があった。

 ちょっと考えて、さゆに出てもらう事に。


「もしもしおぇ、どうしたの?」


『どうしたのじゃないわよ! うちの主人を出して下さい!!』


 怖ぇ~、何だよその勢い。朝から昼ドラかよ。

 一応今はさゆが正妻なんだからな?

 お前そんな口調で怒鳴られてハーレム楽しい! ってなると思うのか?

 さゆからスマホを返してもらい、俺が話す事に。


「おはよう、何だった?」


『あぁ、アナタ……。おはようございます、今どちらですか?

 アパートの方には帰っておられないようだったので……』


 わざわざ見に行ったのかよ。

 正妻権限取り上げてすぐヤンデレ路線ですか、もうちょっと頑張れよ。


「夏希が昨日オフだったから紗雪と3人で会ったんだ。夕食の後そのままホテルに泊まって、さっき夏希が仕事に行ったところだ。

 で、要件は何だった?」


 電話の向こうでブツブツと何か言っている。

 瑠璃がここまでなるとは思ってなかったな。仕事が出来る女性だから、ある程度割り切った上でTop Statu(トプステ)sの問題に対して動くだろうと思ったけど、こうも感情的になるとは……。


『はい、トプステのオーナーに買収案を提示したところ、先方が乗って来て話し合いの場を設ける事が出来ました。

 時間は明日の夕方、CM撮影の後にトプステの店舗へ伺う事になりましたのでご同席をお願いしたいです』


 前言撤回、仕事は早い。感情に突き動かされても結果を出すタイプのようだ。


「俺が同席して話す事ってあるかな? まぁ俺が買収しようって言い出したわけだけど……。

 もしかして基夫もとおさんからの交渉条件にされたのか?」


『……、その通りです』


 ん~、ちょっと判断に困るな。

 俺を呼んで直接引き抜き交渉をしようと思っているのか、それとも俺をハーレムから救い出そうと説得するつもりか。

 考えられるのはあともう1つくらいか。


「分かった、俺も同席させてもらうよ」


『あのっ! アナタ、お仕事が終わったら今日はスペックスビルの部屋に帰って来てもらえませんか……?』


「いや、言った通り事態が収束するまでこのままだ。瑠璃にも俺と離れた状態で色々と考えてほしいと思ってるんだ。

 ハーレムとは何なのか、じっくりとな」


 じゃあ、と言って返答を待たずに通話を切る。

 さゆが心配そうな顔で俺を見るが、ここは堪え時だろうな。今後の事を思うなら余計に。


 美代みみに現状報告を聞く為に電話をすると、基夫さんには連絡をしたが特に報告するような会話はなかったとの事だった。

 恐らくすでにみみがこちら側に懐柔された事に気付かれているのではないだろうか。

 明日の対面でどのような話になるのかは、行ってみてからじゃないと分からないようだ。


 さゆは大学へ行く準備をする為、俺は出勤する為に2人でスペックスビルへと向かった。



いつもありがとうございます。

この後23時頃に「ヒーローに憧れる俺は正統派ヒーローに敗れて仲間になる悪役ヒーローになりたい。」の最新話を投稿予定です。

合わせてお読み頂ければ嬉しいです。

よろしくお願い致します。

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