ガールズトーク泡ぁ~
11/2 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正
仰向けに寝転がって抱き締め合う。汗が止まらない。
紗雪がのろのろと起き上がり、浴室へと向かった後すぐに水の流れる音が聞こえて来た。浴槽にお湯を溜めているようだ。
紗雪がいない間に夏希にキスをする。
避難めいた腕での抵抗があったが、全てお断りする。
もちろん跡が付かないように気を付けているので大丈夫。
「ん……、もぉ、ちょっとは休ませてぇや」
あら、思わぬタイミングで方言が出たな。
今までの当たり前だったはずの口調が、むしろ俺をドキっとさせる。方言で言われた方が本音っぽくて。
見つめ合ってチュッチュしていると紗雪が戻って来た。
「あら、お構いなくぅ~」
「いやいや大丈夫よ! 優希、ほらお風呂行くよ」
え、3人で行くんですか!? 夏希もだんだんと大胆になって来たな。末恐ろしいわ。
浴室へ行くと浴槽が泡だらけになっていた。そういう入浴剤が用意してあったらしく、紗雪が入れたとの事。
3人で入っても十分に余裕がある浴槽に浸かり、温かい泡に包まれて身体がぽかぽか気持ちいい。
「紗雪はさ、初めて会った優希と、その……、3人同時だったんでしょう。それってどうなの?」
俺の知らない夏希がいる。
こんなぐいぐい人の事情に首を突っ込むタイプのコじゃないんですよ普段は! 勘違いしないでネ!!
「そ~ね~、一目見てこの人だって思ったし、何の抵抗もなかったけどね。ハーレムうんぬんはお姉ぇの昔からの夢でさ、それに無理に付き合うつもりはなかったんだ。もちろんそれは牡丹ちゃんも同じで。
でもさ、連れて来たのが優希でしょ? 牡丹ちゃん超興奮しててさ、ハーレムは無理でもスカウトだけは絶対に成功させないと! ってすごい張り切ってたよ。
それを上手い事お姉ぇに誘導されて、3人同時になったってわけ」
それって俺が聞いてもいい話なのか? 初日の裏話をこのタイミングで聞く事になるとは……。
俺をほったらかしてガールズトークしてはるわ。
「その割には無理やり風呂に入って来ようとしたり罵られて喜んだりしてたよな?」
「それはメイドモードの時に言ってくれる?」
自分でメイドモードとか言うなよ。
「私はM属性ないから罵るとか止めてね」
M属性とか言うなよ……。
あぁ、幼馴染が染められて行くのが悲しいな~もう!
「あたしだってハーレムの主が誰でもいいなんて思ってないんだからね?
それは2人ももちろんそうだと思うけどさ、Top Statusのオーナーになっちゃった基夫さんの事を考えると、お姉ぇももうちょっとやりようなかったのかなぁって思っちゃうよね」
瑠璃の元彼で初代プレイヤーで現トプステのオーナー、基夫なる男性。
彼は瑠璃の願望について行けなかった被害者なのかも知れない。
被害者だからこそ、4年も掛けて復讐のタイミングを狙っていたのだろうか?
いや、むしろ……。
「好きな男性を囲んでみんなで楽しむなんて、普通は考えても実行しないよね。
やっぱりそういう意味ではお嬢様だからなのかな?」
夏希が泡を俺の口元にくっ付けて白ヒゲを作っている。
ここは口を動かさず黙って聞いておけと言う意味か?
「そうねぇ~、まぁあたし達の場合は父親がある意味ハーレムの主だからね。
お父さんのおじいちゃん、あたし達から見たらひいおじいちゃんだけどさ、昔の人だから男を作れ嫡男を作れ跡継ぎを作れってうるさかったんだって。
それで小さい頃から周りに女の子ばっかり用意される中で育ったらしいの。結婚してからも愛人がいるしさ、子供にも別に隠さないの。
それが普通だと思ってたからね。だからお姉ぇはもろに影響を受けてるんだと思うよ」
紗雪は紗雪で俺の髪の毛に泡を塗りたくってくる。
俺はお前達のおもちゃじゃないんですけれども。
「結局うちはお姉ぇとあたしの2人姉妹で、牡丹ちゃんとこも2人姉妹。あたし達の世代は男がいないのよ。
だからって誰も許嫁だ見合いだ結婚だって言わないの。ひいおじいちゃんがうるさく言い過ぎてみんな嫌になっちゃってるんだろうね。お家として考えると男系の家系が途切れる事になるんだけどさ、それも時代の流れじゃない?
どうしてもってなったら分家から養子を貰えばいいじゃん。でもあたしはその人に嫁ぐ気がないけどねぇ~」
そう言って紗雪が俺の肩に頭を乗せ、上目使いで見つめて来る。
俺は白ヒゲを落としてはいけないので何も言い返せず見つめ返すだけ。
ほれ、顎ヒゲをあげよう。
「うわっぷっ!」
ふふん、白ヒゲの洗礼を浴びよ!
追撃しようとしたら夏希が俺を脇下から抱えてぬいぐるみのように抱っこされてしまった。
ほうほう、ひめはこんな感じで抱かれてるんだな。
と思ったら紗雪から口周りのヒゲを追加され、またも俺は喋ってはいけない状況に。
「お金持ちは大変なんだねぇ~。私達は庶民だからよく分かんなぁ~い」
あからさまに紗雪を煽る夏希。そして弄ばれる俺。
夏希さんや、俺を巻き込まないでくれないかい。
「あら、今あなたが抱えているお方を誰だか分かって言っているのかしら?
2つの企業の役員と株主、そして自身も年換算で億を稼ぎ出す名プレイヤーよ?
そもそもあなたも売れっ子女優でしょ? どこに庶民がいるんだか」
「ちょっと待て、株主って俺は聞いてなふぅごぉ! ゲホっゲホっゲホっ!!」
泡が気管に入った、喉の奥が苦い……。
夏希が背中をトントンしてくれる。
「毎月少しずつあたし達の持ち株を譲渡して行くんだってさ。役員報酬の中から天引きだって。
言ってないんだろうなぁとは思ったけど、やっぱり知らなかったんだ。お姉ぇも勝手に決めちゃうからなぁ」
俺の人生を勝手に決め過ぎ。
それが正妻の務めだから? いやそれはお前の都合のいいようにやってるだけだろう。
そこに俺の意思はない。
サインしてハンコをポンポン押してしまったのは俺の責任だが、役員だ株主だはちょっとやり過ぎだと思う。
結果俺の為にもなるかも知れないけれど、その過程に問題があるだろう。
ハーレムの主、と言いつつも実際は瑠璃が満足する為のハーレム構成員の1人に過ぎないじゃないか。
大事なパーツであっても、パーツである事に違いはない。
そして恐らく基夫さんとやらも、そういう点に不信感を抱いて離れていったんではないだろうか。
だとすれば、瑠璃は完全に同じ過ちを繰り返している。
ハーレムが始動してまだそれほど時間が経っていない。ここらが瑠璃の考え方を改めさせるいいタイミングなのかも知れないな。
だから夏希と紗雪、どっちが好きかとか柔らかいかとかそんな話はまた今度にして下さいお願いします。いい加減のぼせそうです。
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