正妻に制裁
祝100万PV達成!!
ありがとうございます。
11/1 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正
さて、買収工作と言っても何から始めればいいのだろうか。
上場している企業であれば株を買い占めるとか何だとかやりようはあるんだろうが。出来るかどうかは別として。
やっぱりノリで発言するのは良くないな。結局は三姉妹頼りになってしまう。
そうそう、その前に俺が殴られ蹴られした腹いせをしないと。
そう思っていると紗雪と美代が戻って来た。
「美代は何で首輪してるんだ?」
首輪というか、恐らくズボンに通すベルトを首に巻かれた状態。
「奴隷には必要なアイテムでしょ?」
紗雪の判断らしい。
とりあえず首輪は外すように言って、リビングで先ほどの話の続きをする。
いつまでも膝枕ではアレなので、きちんと座り直し、みんなと向かい合う。
「話を整理する。Top Statusのオーナーは瑠璃の元彼で、仲違いして独立してしまった。
で、念の為に付けていたスパイは鳴らず、今回の引き抜き騒動になった。合ってるか?」
瑠璃と牡丹が揃って頷く。
よろしい、では制裁内容を発表しよう。
「じゃあ俺が痛い目に合った原因の責任として、瑠璃は正妻の地位を2週間剥奪。その間紗雪が正妻とする。
そして俺はトプステの件が落ち着くまで自分のアパートに戻る。以上」
「「え~~~~!!」」
瑠璃と牡丹が難色を示すが無視。紗雪を俺の前に座らせて、抱き締めて耳元で囁く。
「頼むな、さゆ」
コクリと頷くさゆ。
あぁそうだ、ついでに美代にも何かさせとこう。
「みみは次に俺がここに来るまでに部屋を綺麗にしておくように」
「みみ?」
さゆが不思議そうに聞き返す。
「こいつの名前が宇佐美美代だからみみと呼ぼうかなぁと。
うさぎちゃんの名前にはちょうどいいだろ?」
美代が少し嬉しそうに頷く。
ペットのようなこのあだ名が気に入ったんだろうか。本当にこのキャラでいいんだろうか、こいつは。
「さて、じゃあ俺は自分のアパートに帰ろうと思う。さゆはどうする?」
「ついてっていいなら優希と一緒に行っていい?」
返事代わりにキスをすると、嬉しそうにしているので頭を撫でてやる。2人だけの秘密モードからいちゃいちゃを見せ付けるモードに名称変更だな。
瑠璃と牡丹が何か言いたそうにしているが、無視だ無視。
「この問題が早く解決したらその分スペックスビルに帰るのも早くなるだろうけど、まぁその間2人でゆっくりしよう。もちろんプレイヤーとしての仕事はしっかりやるけどな」
2週間で解決すればいいけど。
でもトプステを本当に買収するのか、方法はどうするのか経営者としての意見を纏める必要があるか。
「で、瑠璃と牡丹はトプステを買収するっていう俺の考えについてはどう思うんだ?
そう簡単に乗っ取れるとは思えないんだよ。自分で言っておいてなんだけど」
明日から当分の間トプステには怖いお姉さん達が通う事になっており、その為に通常の営業がし辛い状況になると思われる。
だからと言ってすぐに経営が傾くとは思えず、買収を直接持ち掛けるにしても簡単に応えて来るとは思えない。
「案としては、お断り屋協会から除名するという事は可能です。そうなるとすぐに経営困難になりますね。
名目としては反社会的勢力との癒着とかを理由にすれば、1週間後くらいにはその方向で動けるかと」
牡丹がかなり強引な提案をする。早くこの問題を解決してしまいたいという心情が伺える。
「それなら今すぐに除名よ! スペックスビル前でトプステのビラを配ったり、乗り換えキャンペーンとして割引サービスしたりしてたもの。
うちに対する営業妨害の証拠なら一杯あります。今からでもトプステに乗り込みましょう!!」
こちらも早く正妻としての地位を回復したい瑠璃の提案。
でもそれではスマートじゃないんだよなぁ。
「みみは直接トプステのオーナーと会った事があるのか?」
「あります」
「俺の引き抜きに関して、具体的に理由とか言ってたか?」
少し考えつつも、みみが答える。
「ご主人様がプレイヤーデビューしてすぐに身辺調査を始めたと言っていました。恐らく瑠璃オーナー達と男女の仲になっているか、これからなるかだろうと直感的に判断したんだと思います」
ご主人様って。本当に奴隷キャラで行くつもりか。
三姉妹は特にリアクションしないところを見ると、何も違和感がないのだろう。
「さゆ、このご主人様呼びについてどう思う?」
「え? 別にいいんじゃない?
ハーレムの嫁キャラとしてじゃなく、優希を主人とする奴隷キャラなんだから」
あぁ、なるほどな。
自分達と同じ地位じゃなく下位の存在だからご主人様で違和感がないのか。美少女メイドの紗雪が呼ぶ旦那様とはまた違うんだな。
「まぁいいか。で、みみ的にはオーナーはどんな人だと思う?」
「そうですね、割と真面目な人ですね。部下に対しても偉そうにしないし、私にもやらしい目つきをしませんでした。
何と言うか……、疲れた顔をしていましたね」
真面目で疲れた顔、か。なるほどよく分からん。
「さゆは会った事あるのか?」
「もちろん。お姉ぇと牡丹ちゃんと4人で食事したり、デートしたりしたもの。
あたしも牡丹ちゃんも正直乗り気じゃなかったけどね」
「……、ちょっと待て、その時さゆは何歳だ?」
「え~っと、4年前だから14か15かな?」
そら逃げられるわ。
俺だってさゆと初めて会った時高校生かと思って、やっちまった!! と思ったからこそあんな簡単に書類にハンコ押したりサインしたりしたんだから。
中学生をハーレムに入れますって言われたら誰だってビビるだろ。
「瑠璃、いや瑠璃さん、あんたやっぱりバカでしょ」
「ちょっとアナタ、そんな他人行儀な言い方しないで下さい!」
いやだって、今は正妻じゃないし。これくらいしないとこれからもとんでもない暴走しそうで怖いわ。
「で、牡丹と中学生のさゆと4人で付き合おうって言われて、それで逃げられたと。真面目な性格だったらそうなるだろうな」
ってなると俺を引き抜こうとする理由にもう1つ可能性が増えるわけだ。
「もしかして、俺もハーレムの主になるのを嫌がっているんじゃないかって思って、それで助ける為に引き抜こうとしているって可能性もあるんじゃないか?」
瑠璃が目を逸らす。床を見つめて落ち着きなさそうにしている。
その可能性に気付いていたな?
「それはあるかも知れませんん。ただ、私達も長い間あの方とはお会いしていないので、はっきりとは分かりません」
「お断り屋協会で会合とかしないのか? そう言えばみみが瑠璃達をスペックスビルから遠ざける為にトプステのオーナーが手を打ったって言ってたが、呼び出しじゃなかったのか」
牡丹が瑠璃の様子を見つつも、俺の問い掛けに答える。
「会合はありますが、私達と会うのを嫌ってか代理人を立てておられますので出席される事がないんです。それと、今日珍しく瑠璃ちゃんに連絡があったみたいなんですけど、瑠璃ちゃんは何でもないから気にする必要はないって言って……」
「じゃあ何で俺がオフィスに寄った時誰もいなかったんだ?」
「恐らく姫子ちゃんを部屋へと案内していた時だと思います」
タイミングが重なったからひめを優先したのか。
それにしても元彼の事を蔑ろにしたのか、それとも避けられているから余計に気まずかったのか。
瑠璃はどういうつもりだったんだろうか。瑠璃をじぃ~っと見つめる。
うっ、とうめき声を上げ、観念したように瑠璃が話し始めた。
「元彼の話が出たばっかりで、アナタに伝えないまま会いに行くのはどうかと思って無視しました……。それも紗丹君について話があるって言われたので、余計行き辛かったんです」
また相手もド直球だな……。さてどうするか。
「とりあえず俺はしばらく様子を見るよ。向こうもみみから交渉が少しずつ進んでるって聞いたらこれ以上アクションを起こさないだろうし。
そう言えばひめはどうしてる?」
「ひめちゃんは家に帰ってもらいました。また明日スペックスに出勤する予定です」
俺も明日予約が入ってるし、今日はもうお開きでいいか。
みみに再度家をちゃんと片付けておく事、そしてトプステのオーナーに連絡しておく事を伝える。
まぁ次にこの部屋に来る事があるかどうかは別として。
さゆは一度スペックスビルの部屋に着替え等を取りに帰りたいらしいので、俺だけ先にアパートへ帰る事にした。
瑠璃と牡丹はイヤイヤしていたが、これは自分達の行いに対する罰なので甘んじて受け入れてもらおう。
こうして1人、タクシーに乗ってアパートへと戻った。
いつもありがとうございます。
活動報告にて100万PV達成について今から投稿しようと思います。
よろしければ覗いてみて下さいませ。
次話はまた明日22時頃投稿予定です。
悪役ヒーローも合わせまして、今後ともよろしくお願い致します。




