無言プレイのアクトレス再来
10/31 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正
うわぁ~、この人かよ。
しかも何ですかその格好、バニーガールですか。かなりのハイグレですね。尻尾は白でふわふわ、黒のタイツに赤いピンヒール、うさ耳のカチューシャまで装備して、今度は一体どんなプレイをするおつもりか。
「ふふっ、また来ちゃった」
前回のプレイに引き続き、無言プレイになるのかと予想して無言で一礼する。
「あら、今日は喋っていいのよ?」
そう言って手招きされ、薄暗い照明に照らされたベッドのみ置いてある部屋へと入る。
えぇぇ、天井は一面鏡張り、壁にも全面ではないが大きな鏡が据え付けられている。
何を想定してこの部屋を作ったんだ、あの三姉妹は。
「今日はいっぱいお喋りしたいの、付き合ってね?」
「それはもちろん、ご指名ありがとうございます。希瑠紗丹です」
いいからいいから、とベッドへ連れて行かれ、寝転ぶよう指示される。本当に何をするつもりだ。
上から四つん這いで覆い被さるお客様。触れてはいけない所が密着しているんですが……。
しまったな、こうなるんだったら先に誰か抱いておけば良かった。
「この状況でも目を逸らさないのは本当にプロって感じね。イイわぁ、ご褒美をあげたくなっちゃう」
ボリュームたっぷりの柔らかみを顔に押し付けてくるアクトレス。
これではご褒美じゃなくてある意味で拷問だ。喋れと言われてもこの状況で口を開くは危険だな。
「はぁ……、脱いでいい?」
「ダメです、いくら裏オプションとは言え裸でのプレイは規則にて禁じられています」
「でもこの部屋には私とあなたしかいないわ、誰が私を止められるって言うの?」
俺は止められない前提なのかよ。じゃあ何で聞いたんだよ、分かってて言ってるな?
くそっ、話題を変えなければ。
「お名前をお聞きしても?」
「あら、まだ自己紹介もしてなかったわね。そうねぇ、私の事はうさぎちゃん♪って呼んでくれる?」
ダメだこの人、完全に年中発情期のうさぎちゃんモードに入ってる。
「ではうさぎちゃん、今日のプレイ内容はどのようなモノですか? 私は何を演じればいいでしょうか」
あくまでプレイヤーとしてここに来ているんだと言い聞かせる。
これがプライベートならさようならして部屋を出て行けばいい。
しかしこれは仕事だ。仕事だから俺は役柄を演じなければならない。
「も~、せっかちなんだから。少しくらい楽しんでもいいんじゃない? お互いに」
結構です。
「はぁ……、分かったわ。じゃぁベッドの端に腰掛けてくれる? はい、ちょっとYシャツをスボンから出すわよ。
あら、綺麗な背中ね?」
アクトレスが手のひらで背中を撫で回す。
まぁこれくらいなら何て事ないか。でもこの状態からどのようなお断りにつなげればいいんだろうか。
襲い来る痴女を真っ向から返り討ちにするプレイとか?
ジジジジ、とファスナーの動く音がする。
ふふっ、と笑いながらうさぎちゃんが俺のYシャツの後ろを捲り上げ、抱き着いて来た。
あの、ダイレクトに当たってるんですが、どういうつもりなんですか?
「あったかぁ~い」
耳元での囁き。少し熱を感じる声色で、うさぎちゃんが続ける。
「どう? ドキドキしてるの分かる?」
いえ、全く分かりませんが。耳に息を吹きかけるな!
「ふぅ、さて本題に入ります。このまま聞いててね?」
本題とは何ぞや。
プレイを始めるわけでなく、お喋りをしたいと言ううさぎちゃんの真意がやっと分かるのだろうか。
大きいのがたぷんたぷんしとる。
「私はとあるお店の依頼であなたに接触しました。この前は本当にお客様として来たのよ? ここの常連だもの。依頼を受けたお店には行った事ないのよね」
スペックスのライバル店からの依頼と言うと……。
「あなたを引き抜きたいそうよ、タイミング的にはバッチリね。芸能事務所と契約してCMに出るんでしょ? それも生放送の通りスペックスビルの前で撮影をするらしいし。
あなたを引き抜けば超人気プレイヤーが手に入り、CMの撮影場所を依頼主のお店の前に変える事が出来る、かも知れない。
そして何より、あなたを囲っているスペックスの経営陣にも精神的ダメージを与える事が出来る。こんなに素敵な男性に裏切られたて手酷く振られたら……、正常な経営判断が出来なくなるかも知れないね?」
やはり引き抜きか。結構情報が洩れてる気がするな。社内にスパイか情報提供者がいる可能性あり。
三姉妹がCM撮影の話をベラベラ喋ってたら話は別だが。
「本当は私、ホストとかの引き抜きが主な仕事なの。まぁ表立って言える職業じゃないんだけどさ。だから色々ストレスも溜まるしね、
スペックスに通ってランクが上がってからはプレイヤーを誘惑して反応を楽しむっていう遊び方してたのよ。結構断らずに乗って来るプレイヤーも多いのに、優希君は頑として抵抗してたからプロだなぁって思ってたんだけど」
今俺の事優希って言ったか?
「幼馴染の夏希ちゃんと共演するんだもんね。いいなぁ、憧れるよ。きっと2人はずっと前から恋人同士だったんだろうね。
近所でも有名だったらしいよ? 美男美女のカップルだって」
こいつ……。
「悲しい事故はあったけどさ、今はこうして立ち直って頑張ってるわけじゃん?
私好きだよ、過去の悲劇を乗り越えて、さらに強くなる男の子」
俺の何が分かると言うのか。身辺調査すればすぐに分かるような上辺の俺しか知らないクセに。
それも好き勝手言って楽しんでる無責任な他人からの情報。それが何の役に立つんだ?
「いつもはさぁ、ここまでしないんだよ。お金の話するか、ちょっとヤれそうじゃない? って雰囲気を出すか、脅すかで大体引き抜きに応じるんだ。
でも優希君は特に大物だしね、その分報酬もいいのよ。だからね、いいよ? ちゃんと必要な物も用意してるし、何だったら今日は大丈夫な日だし。
私も結構期待してるんだ、応えてもらえるかなぁ~って。ねっ?」
はっきりとは言わないが、俺の事、そして夏希の事を調べているぞと告げて来ている。これは脅す材料探しだろう。
自分がクライアントから受け取る報酬が高い、イコール引き抜きに応じた俺に対する金払いもそれなりにいいという情報。
そしてこの色仕掛け。全て使って俺を引き抜きに応じさせようとして来ている。
いくら店側が撮影・録音設備を設置していないとしても、アクトレス本人が持ち込めば記録を取る事が可能。
俺が手を出した時点でアウトなのに変わりはない。冷静になれ、乗ってはいけない。
「プロだね? でもいいじゃん、せっかく裏オプションまで使って邪魔が入らないようにしたのに。
もう……、焦らすのが趣味なの? ほら、上見てみて?」
言われたまま上を向くと、天井に貼られた鏡超しに見える、うさぎちゃんのあられもない姿。
ご丁寧に良く見えるようざわざわ身体を後ろに反らしている。
そして男心をくすぐるような妖艶な笑み。彼女の手が俺のズボンのチャックに伸びる。
「乗るのと乗られるの、どっちが好き? もう準備OKよ」
そうですか、準備OKなんですか。
じゃあもう、いいですかね?
いつもありがとうございます。
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特に何をするでもないですが、無言でも何でもフォローして頂ければ嬉しいです。基本フォロバさせて頂きます。
投稿予定や質問・雑談何でもカモンです。あ、今日活動報告で投稿予定をお伝えするの忘れてました……。
明日も22時頃に投稿予定です。
『ヒーローに憧れる俺は正統派ヒーローに敗れて仲間になる悪役ヒーローになりたい。』と合わせてよろしくお願い致します。
10/8 修正
旧「はぁ……、分かったわ。じゃぁベッドの端に腰掛けてくれる?はい、じゃぁちょっとYシャツをスボンから出すわよ。あら、綺麗な背中ね?」
改「はぁ……、分かったわ。じゃぁベッドの端に腰掛けてくれる?はい、ちょっとYシャツをスボンから出すわよ。あら、綺麗な背中ね?」
じゃぁが重複しているので削除しました。




