マスコット的存在
10/31 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正
「お~、姫子ちゃんどしたの?」
紗雪含め、三姉妹が揃ってオフィスにいた。話がしやすくて助かる。
「紗丹君が、入るかって」
口数少な過ぎて伝わらねーよそれじゃあ。
「姫子さんが休憩時間だって言うから一緒に連れて来たんだよ。で、夏希を含めて俺達5人の関係についてどう思うか聞いたら面白そうって言うからさ。だから連れて来てみたんだ。
俺もゆっくり話したいって思ってたところだから」
俺はソファーに腰掛け、膝の上に姫子さんを乗せる。姫子さんのお腹まで手を回してギュッとする。
うん、とても抱き心地が良い。髪の毛からもいい匂いがする。
「ちょっとお義兄ちゃん! 何してんのよそれ」
「ハーレムのマスコット担当にどうかなって思って。身体が小さくてさ、ちょうどこうやって抱っこしたら可愛いだろ?」
3人の反応を窺う。
紗雪は相変わらず俺の突飛な行動に目をパチクリさせており、瑠璃は思案顔。牡丹は羨ましそうにこちらを見ている。
牡丹を俺の隣に座るよう誘い、姫子さんを牡丹の膝へと移動させる。ほら、やっぱりお姉ちゃんの顔になってる。
「いいですね、可愛い……。何て言うか、首筋に顔をぐりぐり押し付けたくなります」
そうだろうそうだろう。ぜひマスコット枠としてハーレムへと加入させたい。
牡丹から姫子さんを取り上げ、俺の膝へと返してもらう。
「あ……」
牡丹が名残惜しそうにしている。
肩まで伸ばされたサラサラの髪の毛もとても触り心地が良い。毎日髪型を変えて楽しむ事も可能だ。さっそく牡丹が三つ編みにしようと編み込んでいる。
「それで、姫子さんはそれでいいのかしら?」
瑠璃は未だ俺の真意を探りかねているようだ。先に姫子さんの意思確認をする。
姫子さんはコクリと頷き、これを持ってハーレムにマスコットが誕生した。
「う~ん、姫子さんはハーレムってどんなものなのかちゃんと分かってるの?」
「みんなで紗丹君に、可愛がってもらう……?」
首を傾げながら姫子が答える。まさに小動物的愛らしさ。いいね。
首筋に顔を埋めてぐりぐりする。いいわコレ。
「細かい事はいいさ、ひめが思ってたのと違うなと思ったらその時考えればいいよ。
それまで俺は愛でるだけだから」
ひめの頭を俺の膝枕に、ひめの膝を牡丹の膝に乗せてソファーに寝転ばせて、編み上がった三つ編みを撫でる。頬っぺたをツンツン突っつき、お腹をトントンする。
横になるとスレンダーな身体のラインが良く分かる。ボンキュッボンならぬキュッキュッキュ、だな。非常によろしい。
「ひめは身長何センチ?」
「153センチくらい」
「今何歳?」
「19」
うわ、俺の1つ年上だ。
「えっ!? あたし達の1コ年上だ、高校生ではないって分かってたけど年上とは思わなかったわ」
紗雪も俺と同じくびっくりしている。これはギャップ萌え要素の1つだな。
牡丹も膝を手のひらでさすさすして愛でている。あまりやるとスカートがめくれ上がるので要注意だ。
「瑠璃、俺が18歳だから年下をハーレムに入れるって無理だろ? 聞いた通り年齢は1つ上でもこの見た目だ。
義理じゃない妹キャラって、ひめならぴったりだと思わないか?」
「分かりました、アナタ。ひめちゃん、あなたがもう嫌って言うまでは私達と一緒に過ごしましょうか。それでよろしいかしら?」
またコクリと頷く。ふふふ、面白くなって来た。
俺がこいつをハーレムへ迎え入れる本当の理由は別にある。
スペックスの店付きアクトレスとして採用される前提条件は、高畑芸能事務所に所属している事。
つまりこのコは女優もしくはモデルなのだ。見た目からしてモデルという事はなさそうだし、恐らく女優なのだろう。
まぁ牡丹があるタイミングでさらっと舞台女優って単語を出していたんだけど。その時は色々とあった後でピンと来なかったのだ。
こいつと初めて会った時、エレベーターの中でへたり込んで座っている俺に、わざわざ見えるようにとお尻を突き出してスカートの中を覗かせている。
そして次に会った時には「ボクは(心が)男だけど身体触る?」という何とも難しい変化球を放り込んで来た。
しかし今日は「私」と「ボク」が混在している。これは単純に設定が甘く自分でもよく覚え切れていないのではないだろうかと俺は考えた。
何が理由で俺に近付き、見た目通り心も幼いような振りをしているのか。
真意はまだ分からないが、見た目はそのままお人形さんみたいでとても愛らしい。マスコットにしたいというのは俺の本心だ。
だが女性として見てと問われると少し迷う。ひめの真意が分かるまではマスコットとして散々弄り倒して可愛がるつもりだ。
瑠璃が言ったように、本人が嫌だと言うまで……。
「お義兄ちゃん、すごく悪い顔してるけど何考えてんの?」
「悪い顔してたか?」
偶然を装ってひめの腰に手を置いてみる。少しビクッと反応したが、何も言わないつもりらしい。
「可愛いなぁ、色んな服を着させてみたいなぁ」
「うわぁ、いいですねそれ。リアル着せ替え人形! 時間が出来たら一緒にお買い物に行きましょうね?」
ふにふに。少し摘まんでみるが、それでも無表情だ。腰のくびれあたりを撫でると、少しこそばそうに身を縮めた。
「それはそうとして紗丹君、そろそろ次のご予約のお時間じゃないですか?」
おっとそうだったそうだった。ズボンからスマホを取り出し予約内容の確認をする。
あれ? アクトレスの情報が何にも載ってない。
「アクトレス情報が一切ない空白の予約になってるんだけど、これどういう事だ?」
「「「裏オプション!?」」」
何だ? 裏オプションって。
「一度プレイした事のあるCランク以上のプレイヤーに対して、Aランクのアクトレスが使えるようになるオプションがあるんです。
誰が、どんなプレイをするのか、一切プレイヤーに開示する事なくプレイに臨む事が出来る。しかも裏オプション専用のカメラもマイクもない部屋がプレイ場所。
つまり、かなり自由が利くオプションなんです。言い換えれば……」
瑠璃がゴクリと唾を飲み込む。
いやいやそのオプションを設定したのはお前だろうが。何をそんなにビビッてんだ。
ヤバイならお前の権限でそのオプションをなくせばいいだろうに。
「やりたい放題、か。指名だけでなくフリーマッチングを入れると結構な人数になるから、誰なのか全く予想出来ないな」
裏オプションとやらを使ってまで俺としたいプレイって何だろう。十中八九ど変態なプレイだろうな。
「まぁ何にしても行って来るよ。ひめ? ……、もしかして寝てるのか?」
狸寝入りしやがった。ケツを揉みしだいてやろうか。
いつもありがとうございます。
次話はまた明日22時頃に投稿する予定です。
ヒーローに憧れる俺は正統派ヒーローに敗れて仲間になる悪役ヒーローになりたい。も合わせて、今後ともよろしくお願い致します。




