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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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リアルダンジョンについての議論

10/31 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正

 リアル迷宮ダンジョンの提案は各役員の受けが良く、そのまま具体的な話をする流れとなった。


「ダンジョンを作る場所はどこにするか、会場を押える費用も含めてリサーチが必要だな」


 賢一けんいちさんの顔は、経営者のそれに変わっている。ただのオッサンじゃないな、やっぱり。

 牡丹ぼたんのお姉さんが起こした事件をきっかけとして経営の第一線から退いたとはいえ、やはり日本有数の企業グループのトップだった風格を感じる。


「それもそうだけど、まずプレイヤーをどれだけ用意出来るかによるんじゃない? ダンジョンの広さを決める前に、当日何人のプレイヤーがダンジョンに待機出来るのかを考えないと。

 広いダンジョンを作っておいて、なかなかモンスターに遭遇しませんでは話にならないもん」


 腕組みをして、紗雪さゆきがまず前提条件について考えるべきだと主張する。真向から意見をぶつける姿勢は、さすが賢一さんの娘というところか。

 俺も負けてられないな。さらに掘り下げて考えよう。


 スペックス所属のプレイヤーは約300名。

 学生であったり、プレイヤー業とは別に本業があったりと毎日出勤している者ばかりではないので、当日参加出来るプレイヤーとなると何人になるだろうか。

 そもそも当日のスペックス自体の営業をどうするかだな。


「イベント開催時のスペックスでの店舗営業をどうするか、だな。イベント全振りにして店舗は休みにするか、もしくは同時営業にするか。

 それによってイベントに参加出来るプレイヤーの人数が変わる」


「そこは全振りにしましょう。店舗外でのプレイをNGにしているプレイヤーもいますから、モンスター役をお願いする人数はさらに減ります。

 私としては大規模な開催にして、当日はテレビの取材を入れたりプレイの実況中継をしたりしたいですから、出来るだけプレイヤーをダンジョンに送り込みたいですね」


 すでに牡丹ぼたんはダンジョンマスターとしてイメージを膨らませているようだ。

 それにしてもまたテレビの取材か、次は突発的なアクシデントがないといいが。

 そう思いながら夏希なつきの方を見ると、何やら考え込んでいる様子。


「夏希、どうした?」


「えっ? あぁ……、場所としてはリアル脱出ゲームとかやってる遊園地みたいなところがいいのかなと思って」


 夏希も夏希で考えてくれているようだ。

 しかし遊園地に大勢の女性アクトレスが詰め掛ける図はちょっといかがなものかと思ってしまう。何かすごい熱気になりそうで怖い。


「イメージで言うならそれでいいと思うわ。でも開催場所は出来るだけスペックスから近い所がいいわね。アクトレスはスペックスを中心として半径50キロ圏内に住んでいる女性がほとんどだから。

 たまに飛行機を使って来店される方もおられるけど」


 お断り屋はスペックス以外のお店を含め、全国展開をしているわけではない。

 瑠璃るりの意見としては、アクトレスの生活圏から離れると集客に問題があるという事だろう。

 でもそれは割とどうとでもなると思う。


「いや、多少離れていても問題ないだろ。開催場所まで向かう移動手段として観光バスをチャーターしたらいい。

 何ならバス1台につき1人プレイヤーを同乗させれば、ファンイベント的にもありじゃないか?」


 ちなみに俺は乗りたくないが。


「優希君なかなかいいアイディアね! でもバスに揺られて何時間も掛けて現地に着いて、そこからダンジョンの中を歩き回るのはしんどいかもね」


 ダンジョンイベント自体が結構時間がかかるだろうから、往復の移動時間を考えるとやはり近場で会場を用意した方が良さそうだな。花江はなえさんの意見はもっともだ。


「いや、それだけのイベントを1日だけの開催にするのはもったいないだろう。例えば週末の夜にこちらを出発して、一泊してもらって次の日の朝からダンジョン攻略をしてもらうのはどうだ?

 ホテルを用意しておけば朝食時に何かしらのファン交流イベントも出来るだろう」


 賢一さんはホテルを用意しろと言うが、そんな簡単に大人数の部屋を確保出来るもんなんだろうか。

 あ、この人が宮坂みやさか系列のホテルに声掛ければ済む話か。何でもありだな。


「そもそもアクトレスの参加人数ってどれくらいになるの? スペックスをお休みするとなると、他のお店に行く人もいるでしょう? 顧客が流れて行ったりしない?」


 娘達のお店の心配をする花江さん。そう言う点も考えないといけないのか。


「それは問題ないわ。私達の店だけじゃなくお断り屋協会主催のイベントにすればいいのよ。そうしたらプレイヤーの数も確保出来るもの」


 なるほど、業界全部を巻き込めばそういった問題は回避出来るのか。


 しかし今の瑠璃の提案を採用するとなると、スペックスの役員会でいくら話し合いをしてもお断り屋協会の方でストップが掛かる可能性もあるな。

 いくら瑠璃が協会トップであっても、組織が別になればすんなりと通らない話もあるだろう。


「って事は、まず先にお断り屋協会の方に話を持ち込む必要があるのか。そんなにすんなり話が通るかな?」


「と言う事で、スペックスの役員会と並行してお断り屋協会の役員会も開催致します」


 牡丹さんは何を言ってらっしゃる?


「お義兄にーちゃん、ここにお断り屋協会の役員全員揃ってるよ? すんなり行くに決まってんじゃん」


 全員とは? 他の系列店の責任者は役員じゃないのか?


「協会とは言っているが、そもそも一般社団法人じゃないからな。組織形態は株式会社で、位置付けとしてはスペックスの子会社だ。ちなみに俺は、監査役だ」


 そんなんありなんですか?


「他の系列店舗からライセンス料やシステム使用料を貰う受け皿として作った会社なのよ。スペックスの収益とは分けたかったから。だから他のお店には開催しますから参加しませんかってお誘いするだけでいいんです。

 もちろん参加しないお店もあるかも知れないですけどね」


 瑠璃はそう言うが、何か納得出来ない。まるで詐欺に会ったような感覚だ。


「あ、協会の方も優希さんに取締役として就任してもらってますので」


 はい、と牡丹から名刺を手渡される。

 これプレイヤーの俺が持ってていい名刺なんだろうか。そもそもこの名刺を出すタイミングが分からないんだが。



いつもありがとうございます。

次話は明日22時投稿予定です。

ストックがないので突然投稿が止まる可能性があります。

ブックマークして頂くか活動報告をご参照頂きますようよろしくお願いします。

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