表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/212

大きくて柔らかくて温かい感触

祝! 初ブックマークに浮かれて少ないストックを放出。


10/26 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更

「な、名前ですか? 桐生きりゅう優希ゆうきです」


「何歳ですか?」


「18歳です」


「好きな食べ物は何ですか?」


「ケーキです」


「特技はありますか?」


「人とすぐに仲良くなれます」


「自分の長所だと思う所は何ですか?」


「物怖じしない所でしょうか」


 予想していたリアクションではなかった為に、一瞬頭が真っ白になってしまった。

 その隙を付くように、牡丹ぼたんさんから次々に質問を投げられ、反射的に次々に答えてしまう。

 名前と年齢以降の質問は単なる時間稼ぎだったのではと、後日に気付く事になるんだけど。



「ふむ、確かにプレイヤーデータベースに名前も顔も出ていないわね」


「そうですか、ではあれは本当にプライベートなやり取りだったと言う事ですね」


 手元のタブレットを見ながら話す瑠璃るりさんと、頷く牡丹さん。

 何だよプレイヤーデータベースって。

 だからフリーターだって何回言わせたら気が済むんだこの2人は。


「さて、優希君。本題に入りたいのだけれど、いいかしら? ずいぶんと不本意そうな顔をしているようだけど」


 おっと、顔に出ていましたか、それは失礼。


「いえ、すみません。身の上話をした際の反応が、あまりにも他の人達と違ったもので拍子抜けしてしまいました」


「そう、確かにあなたは辛い経験をしたのだと思うわ。でもね、気を悪くしないで聞いてもらいたいのだけど、実は牡丹も辛い経験をしているのよ」


 そう言って、瑠璃さんが牡丹さんの方を見る。


「ええ、私も両親と家族を亡くしています。事故ではなく無理心中なんですけどね。

 たまたま私は生き残りまして、瑠璃さんのお宅へ引き取ってもらいました」


 ……、これはまたヘビーな話題をさらりと言ってくれるじゃないか。

 牡丹さんの表情はごく普通、ただの世間話をしているかのような印象だ。

 さっきまで俺は、どんな表情で自分の話をしていたのだろうか。


「人よりもどうこう、そんな話をしたいわけではないの。あなたはまだ事故から日が浅いし、牡丹の件はもう10年近く前の話、人それぞれ受け止め方も違う。

 でもね、いつかは心の整理が出来ると思うのよ。牡丹もカウンセリングを受けて、今では心の傷も癒えていると思う。

 それでも辛い過去の経験はなくならない。だからって、それをかせにして、今を楽しむ事に投げやりになってはダメだと思うのよ」


 枷、か。

 俺はそんな風に思っているのだろうか。

 突然いなくなった両親、一度も目を覚ます事なく亡くなった妹の優奈ゆうな

 残された俺はどう生きたらいいのだろうか、そんな考えが常に頭の中にあった事に、今改めて気付かされる。


 そうだな、残されたわけじゃない。

 俺は俺の人生を生きる、それでいいのかな?

 そんな事をぼんやりと考えていると、気付けば隣に瑠璃さんが座っていた。


「どうせ生きるなら、楽しく行きたいと思わない? だって、生きているんですもの」


 そう言って瑠璃さんは俺の右手を取り、その自らの胸元へといざなう。


「ほら、温かい? これが人の温もりよ」


 あ、本当だ、大きくて柔らかくて温かいや……。




 いやいや、せっかくの感動的な雰囲気が台無しなんですけど。



明日も22時台に投稿したいと思ってます。

評価・ブックマークよろしくお願いします!

評価・ブックマーク本当によろしくお願いします!!


9/6 R15指定相当へと描写を変更致しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ