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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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32/212

2人だけの秘密の部屋

本日2回目の投稿です。


11/4 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正

「この部屋さぁ、借りたままにしといてさぁ、たまぁにこうやって2人で来ない?」


(ウン、ウン)


「今度あたしの服とかぁ、いる物とかさぁ、チュッ♪ 持って来てイイ?」


(ウン、ウン)


「ははっ、新婚さんみたいでさぁ、楽しそうじゃない♪」


 ぎゅっと抱き合って2人、秘密の会話をする。誰にも聞かれないこの部屋で、秘密の約束。

 カーテンの隙間から夕陽が入り、頭をぼ~っとさせる。もうこのままでいいや、いつまでもこのままでいたい。

 そのまま俺は、眠りに落ちて行った。



 どちらともなく起き上がり、シャワーを浴びる為浴室へ向かう。手を引かれたのか、手を引いたのか。

 ぼんやりする意識のまま、熱めのお湯で身体を流す。洗い、洗われてだんだんと意識が戻って来る。

 何か必要な物を忘れているような、そんな気がするんだが。


「ちょっと髪の毛濡らさないでよ? 乾かすの大変なんだから。もう、ゴム持って来たら良かったなー」


 あ……。



 さゆがニヤニヤ笑いながら冷蔵庫を開けている。大丈夫心配ないよって言われてもなぁ。これ以上問い詰めるのは野暮になるんだろうか。でも昨日からずっとそうだしなぁ。いいって言われてもなぁ。



 これでも割と自炊はする方で、冷蔵庫には野菜や使い切ってしまわないといけない物がそこそこあった。


「何作るつもりだったの?」


「肉じゃがだな。肉じゃがとカレーとシチューは簡単で使い回しが出来るから」


「なるほどね~、男の料理だね~」


 お嬢様育ちのはずなのに、手早く材料を切って行く。米の研ぎ方も手馴れており、はや炊きをセットしていた。


「メイド修行の成果だよ~」


 それ花嫁修業だったんじゃないのか? 様になっている手つきとは裏腹に、その格好だけは頂けないと思う。


「へへへ、男の夢でしょ~? でも抱き着く前に言ってね? 手ぇ切っちゃうから」


 エプロンは服を着た上で使うべきいや何でもない。目だけで楽しみます。後ろ姿イイよ後ろ姿。


「せっかくだから撮ってよ、ハイ」


 自分のスマホを手渡すさゆ。ばしゃりと後ろ姿を撮り、返す。スワイプフリックしてクッションにポイっ。料理の続きにかかる。

 直後、さゆスマホがヴィーンヴィーンと鳴り止まない。


「鳴ってるけどいいのか?」


「いいのいいの、さっきのをおぇと牡丹ちゃんに送っただけだから。今日は食べて帰りますって」


 いやよくないが。



 夕食は結局肉じゃが、おいしく頂きました。はふはふ食べていると、ニコニコしながら見つめるさゆ。これじゃあ本当に新婚さんだな。あ、ちなみにさゆは服を着ているのであしからず。


「そうそう、今日お相手したアクトレスへの評価、まだ入れてないでしょ? こういうのは早めにしといた方がいいよ?」


 あぁ、忘れてた。プレイの後にまたプレイ、そしてその後に結城ゆうきさんとの仕事が舞い込んで、それどころじゃなかったわ。

 さゆに操作を教えてもらいながら、千里ちさとさんにも道子みちこさんにも10の評価を入れておいた。



「さて、そろそろスマホの電源入れますか」


 着信を無視し続けた結果、スマホの電源が落ちてしまった。電源をオンしないまま充電ケーブルを刺していたが、ようやく電源を入れるようだ。


「うっわ、着信48件にメッセージ69件だって」


 うっわ。


「もしも~し、え? お義兄にーちゃんの部屋。どこってこれから帰るから大丈夫だよ。もちろんお義兄ちゃんも連れて帰るから。

 え~? もう引き払うんだからいいでしょ? じゃあ~ね~」 プチッ


「そう言う事だから、早く荷物の準備しよ? あたし洗い物済ませちゃうから」


 ん~、瑠璃と牡丹さんに内緒であんな事をした後ろめたさがあり、今更引っ越さないとは言い辛い感がある。もしかしてこれもさゆの計算のうちだったりして。

 悔しいけど、これ、選択肢ないのよね……。


 自分達が家に呼ぶ以上、必要な物は何でも用意するとかたくなに言われてしまったので、通帳や数日分の着替え等をリュックに詰め込み、数ヶ月間暮らした部屋を後にする。ブレーカーを落とした暗い玄関で、さゆが抱き着いてくる。


「へへへへへ~、また来ようね? 優希♪」


 ムクムクっ、と欲望が沸き上がって来るのを察知したのか、さゆがゆっくりと身体を離す。


「ダメだよ、これ以上お姉ぇと牡丹ちゃん待たせたら。あたしだけ独り占めなんて出来ないもん」


 そう言うものなのかな。こんな状況に、いつか俺は慣れ切ってしまう時が来るのだろうか。

 いつまでもこの新鮮な、甘ったるく温かい、そして胸を締め付けるような感覚を忘れていまう時が来るのだろうか。

 流されるまま、流されるのが当たり前になってしまった時、ポイっと捨てられてしまったとしたら、俺は一体どうなってしまうだろう。


「優希、大好きだよっ♪」


「ああ、俺もさゆの事大好きだ」


「ホント!? 嬉しい!」



 愛していると言える日は、来るのだろうか。




今後の投稿予定

日曜の22時:33話「牡丹のターン」←ルパンザサー

投稿予約済みです。よろしくお願い致します。


コメント・評価・ブックマークよろしくお願い致します!

活動報告にも遊びに来てね!!


誤字修正致しました。

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