表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/212

バイト先とアパートと

本日1回目の投稿です。


11/4 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正

 瑠璃るり牡丹ぼたんさんと軽くハグしてからオフィスを出る。バイト先までは昨日乗った紗雪さゆきの車で向かう事に。

 運転しながら空いている左手で俺の手を握ったり、信号待ちでキスをせがんだりと、さっそく2人だけの秘密モード。外から丸見えなんですが。

 さゆが外に向けて手を振る。知り合いか?


「大学の先輩に見られちゃった。先週振ったところなんだよね~」


 そんな相手に手を振るな。もう振った後だろうが! その先輩には同情を禁じ得ない。振られた相手のドライブデートでキスしている場面を目撃するなど、想像しただけで胃に来るものを感じる。


 ほどなくしてバイト先近くへ到着する。俺のアパートから歩きで通えて、深夜帯の時給がいい居酒屋だ。

 駐車場はないのでコインパーキングへ止め、そこからは徒歩で向かう。今は営業に向けて仕込みをしている頃だろう。


「一緒に来るつもりか?」


「え、何で? ダメなの?」


 世間体を全く気にしない宮坂みやさか三姉妹。


「辞めますって言いに行くのに何で女連れなんだよ、余計気まずいわ」


「え、優希ゆうき彼女いたの!?」


 店の前を掃除していた友一ゆういちに見つかってしまった。顔には複数の絆創膏。昨日の今日だからな、あの後大変だったんだろう。


「よう友一、大変そうだな。どうしたんだその顔」


「あぁ、コレ? 知美ともみに浮気現場見られちゃって、肩叩かれたと思ったら引っ叩かれた。手ぇ繋いで歩いてただけでさ、まだ何もしてないの。

 連れてた女の子さ、知らない間にどっか行っちゃってた」


 どうやら友一の彼女は俺が一緒にいた事を伝えていないらしい。なかなか律儀な子だな、ちょっとだけ見直した。いや、俺に告る時点で評価は限りなくゼロに近いが。


「で、今日はどうした? 彼女の自慢に来たのか?」


「いや、ちょっとバイトを辞めないといけない事情が出来てな。店長もう来てるか?」


「突然だな、まだ入ってそんな経ってないぞ? まぁ店長なら仕込みしてるけど」


 そんなタイミングで、店長が店先へと出て来た。どうやら話し声が店の中まで聞こえていたらしい。


「ちょっと桐生きりゅう君! これ君だよね!?」


 手にはスマホ、プレイヤーデータベースに載せられた俺の顔写真が表示されていた。あんたアクトレスだったのか!?


「話が早く付きそうで助かります。私こういう者です」


 そう言ってさゆが、いや紗雪が店長に名刺を手渡した。


「スペックスの取締役!? 紗雪ちゃん!!? 本物だ……」


 渡したのはスペックスの方の名刺らしい。お断り屋協会の取締役でありスペックスでも取締役。

 ややこしいな、どっちにしても俺から見たら紗雪だしさゆだし、まぁいいか。


「と、とりあえずここじゃ何なんで中へどうぞ……」



 店内の事務所へと場所を移し、事情を説明する。スカウトされた事、契約した事、今日デビューした事。

 千里ちさとさんのブログを毎日見ている店長はすぐに事情を分かってくれた。ちなみにすでにお気に入り登録をしてくれているそうだ。どうもありがとうございます。


「私としては引き留められないね。店にとってはかなりの損失だけど、応援しないわけにはいかないもの。たまにでいいからお客さんとして来てくれたらいいよ。そしたら常連さん達も喜ぶから」


 との事で、俺のシフトは全て取り消してくれた。紗雪からスペックスの優待券をもらい、飛び上がらんばかりに喜んでいた。

 お礼とお詫びもそこそこに、店を出ようとしていると友一が掃除を終えて戻って来た。


「あ、友一君。桐生君今日でこの店辞める事になったから、シフト埋めるの協力してね」


「え、マジっすか……」


 頑張って~。




「しかしあんなにすんなり行くもんかね。もちろんさゆは店長がアクトレスだって知ってたわけじゃないんだろ?」


 バイト先から俺のアパートは近いので、このまま歩いて行く事にした。


「うん、でも何とでもなったよ。牡丹ちゃんからこれ預かってたから」


 そう言って紙袋を見せてくる。分厚いな、全部優待券か?


「この厚みなら200万かな。店長さんが女でも男でも何とかなったんじゃないかな?」


 恐るべし金の暴力ちから。使い方を知っている人間は違うな。割を食う友一(人間)は大抵無力だ。


「お邪魔しま~す」


 俺のアパートに女の子が来るなんて、想像も妄想もしなかった。ってかぐちゃぐちゃだな。洗濯物も干しっぱなし、洗い物もシンクに溜まりっぱなし。


「優希は必要な物まとめてて~」


 そう言ってさゆは手早く散らかった部屋を片付けて行く。


 昔テレビで言ってたな、「私頑張って掃除するね!」って張り切って家事をやり始める奴は、普段は全く何もしないって。最悪自分の部屋よりも汚部屋おへやに住んでいる可能性まであるとか。

 その点さゆは家事スキルを持っているので、これくらいお手の物なのだろう。


「あ、イイもの見っけ~」


 あ、コラヤメタマエ、これはちゃんと片付けていたはずだ!!

 返しなさいと取り合いをしているうちに、2人ともバランスを崩してベッドへと倒れ込む。下が俺で上がさゆ。すでに手にDVDはなく、両手とも恋人握り状態。


 謀ったな、サユァ!!


「昨日の続き、する?」


 坊やだからさ、そりゃしたいよね?



今後の投稿予定

土曜の23時:32話「2人だけの秘密の部屋」

日曜の22時:33話「牡丹のターン」

投稿予約済みです。よろしくお願い致します。


コメント・評価・ブックマークよろしくお願い致します!

活動報告にも遊びに来てね!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ