ランクアップ
突然ですが、今日1回目の投稿です。
10/26 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正
何が突然だったのか全く覚えていない件。
受付カウンターへと戻ると、フロアにいるプレイヤー全員が俺の方を窺っているのが分かった。どんなプレイ内容だったか気になるんだろうか。そんなに俺の顔を見ても何も分からんと思うが。
受付嬢にプレイ終了の報告をする。
「お疲れ様、紗丹。途中からしか見れなかったけど、かなり入り込んでたね。
2人とも迫真のプレイだったよ、やるじゃないか」
信弥さんが俺の肩を拳で押す。途中から見てたって?
「あぁそうか。喫茶ルームに関わらず、このビル内でのプレイは全て撮影されているんだよ。それぞれ専用のモニターで職員が監視してるんだ、2人きりでプレイする時もあるからね。
変に手を出したり出されたりしたら店としても困るだろ?」
ほうほう、一応それらしい理由があるんだな。出来れば先に教えておいてほしかったが。
「でね、君を案内した受付嬢がここに戻った時に、みんなで観戦出来るようにってテレビで中継してたんだよ」
あのテレビで!? 60インチくらいあるんじゃないか、あれ。さっきも今も地上波の放送流してるじゃん。
「新人の、それもデビュープレイをあのテレビモニターで中継するなんて本当に異例なんだよ。
本当に君は一体何者なんだい?」
それ言わないと死んじゃうの?
「千里さん、もう評価付けてくれてる頃じゃない? 彼女の評価、入れるのめっちゃ早いんだ。プレイヤーカード立ち上げて確認してみたら?
初ポイント、何点入ってるか気になるでしょ」
信弥さんにそう言われてアプリを立ち上げてみるも、飛び交うハートが邪魔で操作が出来ない。いったん落ち着いたと思ったのにまたこれかよ。
「何この状態、初めて見るんだけど。本当に君h「言わせねぇーよ!?」
信弥さんは次のプレイがあるとかで、受付嬢に渡されたアクトレス情報を確認している。
周りのプレイヤー達がそわそわしながらこっちを窺っているはのに気付いたが、俺も初プレイという事で疲れていたからわざわざこちらから声を掛けに行く事はしなかった。
一番後輩なのにすみませんね。ただただ飛び交うハートを眺めていたら、牡丹さんから声を掛けられた。
「紗丹君、Eランクへの昇格おめでとう! プレイヤー最短ランクアップ記録更新よ!!」
「「「「「うおぉぉぉ~~~!!!」」」」」
「ちなみにDランクへのランクアップポイントはすでに獲得済みよ! 後はもうお1人アクトレスとプレイをすれば、今日で2ランクアップ達成よ!!
さぁ、早く受付へ!!! 速さが大事!!!!」
「「「「「うおぉぉぉ~~~!!!」」」」」
テンション上がり過ぎた男子校生のように豹変したプレイヤー達に胴上げされながら、受付へと運ばれた。
何ぞこれ、俺に拒否権はないのか!? お断り屋だろ、俺。何で流されるだけで断る事をさせてくれないのか!!?
「フリーマッチングで待機中のお客様がおられます。急いでこちらのアクトレス情報をご確認下さい」
いやご確認下さいって言われてもこのうるさい奴ら何とかしてくれよ!!
服は掴むは尻は叩くわ肩パンするわ、うっわ髪の毛ぐしゃぐしゃにすんなよ! 喜んでんのか嫉妬してんのかハッキリしろよ! ゆっくりファイル読めないって。
あぁもう嫌、アクトレスが待ってるってんならもう行こう。ここに長居するより初見プレイする方がよっぽどマシだ。
「ちょっと待て紗丹! そのファイルのアクトレスは!! ~~~~~~~~~~~!!」
ゴメン信弥さん何言ってんのか全然聞こえない、俺が戻って来るまでにこの馬鹿集団何とかしといてね、マジで。
受付嬢がエレベーターを停めた状態で待ってくれてたので、逃げるように飛び乗る。さすがに奴らはエレベーターまで入ろうとはしなかった。挟まれたら危ないからな。最低限の知性はあるらしい。
壁を背にへたり込む俺の方へ、何やらお尻を突き出すように前かがみになる受付嬢。
あの~、どういうつもりですか? あぁ、見せてんのよって? じゃぁ失礼して、じ~っ。チンっ、目的階に着いたようだ。
おっと紗雪久しぶり。
「ふ~ん、いい度胸ね?」
慌てて走り去る受付嬢。素敵な眺めをありがとうございました。
「ちょっと優希、変なのに手を出されないように気を付けてよ?」
2人だけの秘密モードらしい。手早く髪型を直してくれる。
「さゆは大学終わったのか?」
「うん、本当に必要な授業だけ受けたから早かったの。だって優希のデビューよ? 生で見たいもん」
俺はまさか誰かに見られると思ってなかったけどな。そうそう、お客様がお待ちなんだったな。
「牡丹さんのテンションがやたら高くてな、連戦でもうお1人お相手してランクをDにしろってさ。案内してもらってたけど走って逃げたな、どこ行けばいいか分かるか?」
「え!? ダブルランクアップって事? すごいわね、さすがあたしの優希ね。
ちょっと待って、牡丹ちゃんに確認する」
電話で牡丹さんに確認してもらっている間にこのフロアを見回す。どうやらカラオケボックスの店内を模したフロアのようで、ところどころ個室から歌声が漏れ伝わって来る。
「お待たせ、803号室でアクトレスが待機中らしいの。10分くらいお待たせしているみたいだから、入室したらまずその事についてお詫びを言ってくれる?
ごめんね、優希のせいじゃないのに」
「いや、それは構わないよ。俺ももうスペックスの一員だからな」
キラキラと目を輝かせて、さゆが俺の手を引く。そこは調理スペースじゃないのか?
「ちょっとだけ、ちょっとだけだから……」
そう言って俺の胸に顔を埋めるさゆ。分かった分かった、抱き寄せてさゆの感触を楽しむ。
「もう、お客様がお待ちなのに……」
お前が言うな。
本日は22時、23時の3回更新でお送り致します。予約投稿を入れるので必ず更新されます。
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この作者よっぽど暇だったんだろうね。




