その後
本日の投稿は三話。
このお話は三話中の三話目です。
『LGBTQを理解しよう。同性愛を社会全体で受け入れようなどという報道はよく見ます。ですが複数人恋人を持つ男性もしくは女性を理解しよう、受け入れようという話が出て来ない。
これはおかしいと思います。今は超少子化の時代ですよ、俺達のように一人の男性が複数人の妻と生活を共にしていても良いはずです!』
「友一、動画見ながら電話掛けて来んな」
『八百万再生おめで』 プツ、ツー、ツー、ツー
この時の生配信のアーカイブ動画が脅威の再生回数を叩き出し、未だにその回数を伸ばしているそうな。もちろんそれに伴う収益を得ているのだが、俺達は日本にいられなくなってしまった。
マスコミだけでなくよく分からないプラカードを持った人権団体や活動家達に取り囲まれてしまったのである。俺達の立場・方針に賛同するという集団もいれば、お前達はおかしい・重婚は法律違反だと叫ぶ集団も見られ、それまで以上の騒ぎになってしまった。
厳密に言うと俺はみんなと籍を多重に入れていた訳ではないので、重婚だと言われるのは筋違いなんだけど。まぁ言いたい事は分かる。良い女を一人で独占している俺が羨ましくて仕方なく、悔しくて堪らないのだろう。
分かる、分かるとも。でも俺の足を引っ張るよりも自分も俺のようにハーレムを作れるよう努力した方がよほど健全だと思うのだが。
まぁ俺は努力した訳じゃなくいつの間にかこうなってたんだけど。はっはーーー!
はぁ……、これくらいナチュラルに思えれば苦労しないんだけど。
残念ながら俺のメンタルは一般人とそう変わらないので、日本を脱出して今は台北にある5ツ星の一流ホテルで生活をしている。いつか牡丹お姉ちゃんと泊まったプレジデンシャルスイートという部屋だ。
「私もお兄様と一緒にこの画面に映りたかったですわ……」
騒動が治まるまで台湾にいなさい。そう誘ってくれたのは陳健一社長だった。娘婿の国治さんが諸々の手配をして下さり、知らぬ間にハーレムの中に妹キャラが居ついてしまった。
「美惠、そろそろ離れて」
「何でですの? 私はお兄様とずっと一緒にいたいですわ!」
牡丹が聞いた話では、美惠は国治さんの一人娘であり、ゆくゆくは婿を取る立場だそうだ。それならいっそ俺の子供を産んで育てても問題ないでしょう? と父親と交渉し、今現在ここにいるらしい。
国治さんも結婚相手に娘を取られるよりはいいか、と思っているそうだが、まぁ考え方は人それぞれなので俺がとやかく言う立場ではないなと思い、そのあたりの話題には触れないようにしている。
元々ハーレムのマスコットキャラだったひめが、この美惠のハーレム加入によって自分の存在価値がなくなってしまうのではと怯えている。
そんな心配する必要ないんだけど。
今はこの部屋からリモートプレイでプレイヤー業を続けている。YouTubeの動画撮影や生配信もしているし、TwitterやInstagramも続けている。騒動が過熱したお陰と言うべきか、収入は今までよりも数倍に増えている。
生活スタイルは特に変わっていない。住んでいる場所が違うだけ。
あと、美惠のハーレム加入の前にどさくさに紛れて滑り込んで来た形の千里さんと花蓮さん。この二人については、YouTubeの生配信だけでなく地上波全国放送に俺の恋人という顔をして映ってしまったので、なし崩し的にハーレム加入となってしまった。
瑠璃。女社長にして正妻。
牡丹。美人秘書にして甘やかしてくれるお姉さん。
紗雪。義妹時々美少女メイド。
夏希。幼馴染にして人気女優。現在は休業中。
ひめ。ハーレムのマスコットキャラ&舞台女優。現在は休業中。
みみ。女スパイにして有能な部下。
千里さん。プレイヤーちゃんねるの管理人。合法ロリ。
花蓮さん。希瑠紗丹のサブマネージャー。ダメな方のお姉さん。
美惠。社長令嬢で甘えたい妹。
最初は3人だけ(?)だった恋人が、今では9人か。さすがにもう増えないだろ。増えないよな?
「ゆう、聞いて? お姉ちゃん良い事思い付いたの!
あのね、ゆうが瑠璃ちゃんと婚姻届けを出すでしょ? でね、すぐに離婚届けを出すの。
次は私で、その次は紗雪ちゃん。そうすれば、全員の肩書が元妻になるの!
どう? 素敵だと思わない?」
「それだと俺、バツキュウになるじゃん……」
「あたしの順番を最後にしてくれたらバツハチで止まるよ」
いや、そういう問題じゃないんだ。
「アナタ、騒動が落ち着いたらまず何がしたいですか?」
「そうだなぁ……。
みんなで家族の墓参りに行きたいな。俺のお嫁さんですって、全員紹介したいな」
まぁ、当分先になりそうだけど。




