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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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電子書籍版公開記念SS第三夜:夏希

7月27日金曜日に電子書籍版お断り屋が公開される事を記念致しまして、六夜連続投稿致します。

電子書籍版の詳細情報につきましては私の活動報告からご確認願います。


第三夜は夏希です



『そやねん、少しでも時間が空いたら新しい作品に触れて、その文章から心理描写や背景にある人間関係とかを読み取れるよう訓練せぇってうるさいねん』


 誰がうるさいって!? と非難する声が聞こえる。チーフマネージャー自ら所属女優の送迎とは、芸能事務所も大変そうですね。人足りないんですか?



 宮坂(みやさか)三姉妹とのイチャコラが終わった後、さて電子書籍の続きを読もうかと思いスマホを手にしたタイミングで、幼馴染の潮田(しおた)夏希(なつき)から着信が入った。


 俺達は生まれた頃からの付き合いで、物心付く前からゆーちゃん、なっちゃんと呼び合う間柄だ。

 もちろん俺はなっちゃんと呼び続けるのが気恥ずかしくなり、中学に上がる頃には夏希と呼び捨てにするようになっていた。

 夏希はと言うと、高校で起こったとある事件をキッカケに、ゆーちゃん呼びから優希(ゆうき)と呼び捨てするようになった。


 その事件からしばらく後、俺の家族が交通事故で他界。そのショックから塞ぎ込んでいた俺と、そんな俺を何とか励ましたいと思っていた夏希。

 色々あってお互い会えなかった空白期間があり、そして地元から遠く離れたこの街で、偶然とも必然とも言える形で再会を果たしたのだ。



『ゆーちゃん昔からよぉ本読んでたやろ? 何かオススメない? 読め読め言われても何を読もぉか探してる方が時間掛かるやん?』


「まぁ分からんでもないけどな、だいたいお前が本屋行ってじっくり選んでたら顔バレしてパニックになるやろうしな」


 俺と同い年であるこの幼馴染は、先ほど言った空白期間の間に人気女優になっていた。芸名を結城(ゆうき)エミルと自分で決め、CMや映画やドラマで活躍中だ。

 片や俺はと言うと、空白期間中に母方の叔母を頼って地元を離れ、知り合いのいないこの街へと移り、お断り屋という聞いた事もなかった業界へとスカウトされてプレイヤーとして活動すると共に、何故かハーレムの主として美女三姉妹と一緒に生活を送っていたのである。


 う~ん、夏希のインパクトもすごいけど、俺のインパクトもすごいな。どこのラノベ主人公や! ってツッコミが入りそうな予感。


 あ、ラノベと言えば……。



「今ちょうど電子書籍で瑠璃(るり)から勧められた小説読んでるわ。ラブコメのハーレム物やねんけど」


『へぇ~、瑠璃さんそぉいうん好きやもんな、ゆーちゃん的にはどうなん?』


「ん~、まぁラノベやからご都合主義が過ぎるって感じやけど、面白いと思うで?

 1冊の小説を小分けにした形でダウンロード購入出来るし、1話目だけでも読んでみるか?」


『うん、ちょっと読んでみよかなぁ~』



 通話をスピーカーにして、スマホを使って通販サイトへアクセスする。夏希のアカウントはこの端末に記録されているので、夏希のアカウントを通じて例の電子書籍の1話目のみ購入。

 もちろん俺のクレジットカードで決済をする。


「おっけ~、お前のスマホからアクセスしたらダウンロード出来るわ」


『ありがとう、うちもスピーカーにするわ』





『好きなの、付き合って下さい!』


『もちろん友一君とは別れる、だから……』



 夏希は通話をスピーカーに切り替えた後、すぐに通販サイトから電子書籍をダウンロードした。

 で、そのままお互いがお互いのスマホで同じ電子書籍を開きながら、朗読というか、その世界の男女になり切っての台本(ほん)読みをしようという事になった。

 セリフ以外に字の文がつらつらと書いてあるが、今は目を通すのみに留める。



『そっか、そうだよね、友一君と別れる前に告白なんておかしいよね。私どうかしてた、あなたの事で頭が一杯になっちゃってたみたい。

 うん、分かった。今から電話でお別れするね? そしたら返事、聞かせてくれる?』



 え~っと、俺のセリフはっと。


「ちょっと待って。友一に電話する必要はないよ」


『もしかして、友一君に黙ったまま付き合っちゃう感じ……?』



 うわぁ……、さすが人気女優。スピーカー越しでもこの演技力。背中がぞくぞくってなるわ。

 次の俺のセリフは……。


「僕は友一とずっと友達でいたいと思ってる。この関係は壊してほしくない。

 だから、今日僕は君とこのカフェでは会ってない事にしよう」


『そっか、やっぱり先に友一君とは別れないとだよね。それでちょっと時間を空けて、友一君に新しい出会いがあったくらいから付き合うのが一番だよね。

 そうだよね、そしたら友一君も私達の事、応援してくれるようになるよね?』



 怖いよ、ヤンデレ感漂ってスマホ越しなのに逃げたくなる。夏希の表情は見えないけど、多分目のハイライトが死んでる。

 いかんいかん、夏希の迫力に押されてる場合じゃない。俺も負けてはいられん。俺も俳優デビューして、映画の主演をするって言ったんだ。

 もう1人の主演の演技力に呑まれているようではやって行けん!


「僕は君の事、恋人としては見れないよ」



 ガチャ、とてとてとて。



『……、どういう事? それって、身体の関係で済ませたいって事?』


「違う、僕は君の事を、友一の彼女だとしか見れないいいっ!?

 ちょっ、ええ? うん、え~っと、友一は、いっつも、君の~こっとぉを自慢するんだ。友一が君の事を、どれっ!? だ、けっ大切に思ってるかも知って、るぅ! いっっ、しょっ!! けんめ、いろんな雑誌を見て、どうやったら君を満足させられるかなぁって、ひめぇ! もう無理、ストップストップ!!」


『友一君が、私の為に……? 知らなかったよ……』


 ストップつってんだろ! こっちの状況を察しろ!!



 何が起こっていたかと言うと、ノックもせずに俺の部屋に入って来た姫子(ひめ)が、俺と夏希が2人で台本読みしているのに嫉妬して、ベッドにうつ伏せで寝ていた俺の上に跨ってコチョコチョしていたのである。


「ずるい、私も一緒に台本読みする」


『残念ね~、ひ~ちゃん。これ台本じゃなくてゆーちゃんオススメの電子書籍なの。面白いから一緒に読もうぜって誘われて、朗読してたのよね~。

 いやぁ、熱いとこ見せちゃってゴメンね~』


「ちょっと待ってひめ! 俺のせいじゃないから!! ヤメてマジで、何でそんなに力強いんだよ!!!」


 それ以上煽るな夏希! ひめたんはもう半ベソよ!!


「分かった、私は朗読じゃなくて優希とエチュードするから。なっちゃんも参加させてあげる。シチュエーションはスマホが通話になってるのに気付かずに事を始めてしまう浮気カップル。彼氏を盗られたのに気付いていなかった夏希、じゃなくて彼女はスマホの向こう側でさめざめと泣くの。よーいスタート」




第四夜は明日22時投稿予定です。

感想・評価・ブックマーク・レビュー等で盛り上げて頂ければ非常に嬉しいです。


各電子書店様にて電子書籍版お断り屋の予約受付中、書影がご確認頂けます。


よろしくお願い致します。

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