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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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電子書籍版公開記念SS第二夜:紗雪

7月27日金曜日に電子書籍版お断り屋が公開される事を記念致しまして、六夜連続投稿致します。

電子書籍版の詳細情報につきましては私の活動報告からご確認願います。


第二夜は紗雪です。



コンコンコンッ。


「あ~い」


 ガチャ、誰か入って来た。

 瑠璃(るり)と2人でイチャイチャしながら電子書籍を読むのもいいんだけど、どうしても集中出来ないのと、瑠璃が教えたがりで「この子が実は……、アハッ♪」ととっても嬉しそうにネタバレしようとするので、瑠璃を振り切って1人自室へと戻って続きを読んでいるところだ。


「旦那様、お部屋のお掃除をさせて頂きたいのですが……」


「ん~」


 紗雪(さゆき)か、大学終わったのかな?

 俺は今ベッドに横になりながらスマホで小説を読んでいるから、掃除の邪魔にはならないだろう。


「…………」


 お、何かこの主人公の気持ち分かるわぁ~。ヒロイン達から強気で迫られると戸惑いつつも流されちゃうんだよなぁ。


「…………」


 な~、男ってそういう所あるんだよな~。だって男だもの。


「…………」


 ね~、急に持て囃されてもその気にはなれんよね~。このドッキリいつまで続くんだろうって気持ち、痛いほどよく分かるわ~。


「…………」


 さて、スマホから目を離さなくても紗雪が何をしているかは見える。メイド服を来ている事から、今はメイドモードだ。もっとも、俺を旦那様と呼ぶのはメイドモードの時だけなんだけど。



 紗雪は瑠璃の妹であり、牡丹(ぼたん)とは従姉妹。宮坂(みやさか)家の諸事情により瑠璃と紗雪のご両親に引き取られた牡丹を合わせ、俺は宮坂三姉妹と一纏めで呼んでいる。

 紗雪は俺と同い年で、瑠璃が正妻というキャラ属性である事から、普段の紗雪は義妹属性な為に俺をお義兄(にー)ちゃんと呼んでいる。

 そして、瑠璃と牡丹の世話をしている時の紗雪はメイド属性へと属性チェンジするのだ。



 メイドモード紗雪はこちらにお尻を向けて、四つん這いになって床の掃除をしている。ロングスカートのメイド服だから下着が見えるという事はないものの、すらりスレンダーな腰回り、そして形よく張り出したお尻がよく見える。とってもよろしい。


 使用人、メイドなりの主人へのアピール。俺が瑠璃に構ってもらおうとちょっかいを出していたように、紗雪もまた俺に構ってほしくてメイドという役柄の中でアピールをしているのだ。


 そもそも、普段の紗雪は俺が部屋にいる間に掃除をさせてくれとは言わない。普段からメイドモード紗雪がこの部屋だけでなく家全体の家事を一手に引き受けてくれているんだけれども、部屋の主がいる前で掃除を行うなどという失礼な事はしないのだ。


 いや、しないというのも嘘になる。俺が部屋にいるにも関わらず、掃除をさせてくれと部屋に入って来る事はある。

 それこそがメイドなりの構ってほしいアピールなのだ。


「…………」


 可愛らしく、ふりふりとお尻を左右に揺らす紗雪。下品にはならぬよう、しかし上品過ぎてもアピールにならない。淫靡な、妖艶な腰使い。

 いつもであれば、旦那様とメイドでのシチュエーションプレイが始まる訳だが、今日はそんな気分ではない。今日は紗雪ではなく、さゆとイチャイチャしたいと思う。


「紗雪、こっちにおいで」


 ピタッ、と動きを止める紗雪。無言のまま背後から抱きすくめられるのを期待していたのだろうか。

 予想外に名前を呼ばれ、またこちらへ来いと声を掛けられ、今後起こるであろう展開をシミュレーションしているのかも知れない。


「紗雪」


「はい、旦那様」


 俺はスマホを枕元へと放り、仰向けの状態で両手を広げて紗雪を招く。紗雪はベッドの端に腰掛け、俺に背中を向けつつ横になった。


「さゆ」


 呼び名を変えると共に、紗雪が頭に着けていたブリムを外す。これがメイドモードの本体であり、このブリムを外す事で紗雪のメイドモードは解除される。


「どしたの? 優希(ゆうき)、この恰好のあたしを楽しみたい訳?」


 首だけ振り返りつつニヤニヤと笑みを浮かべるさゆ。ハーレムにおいて、紗雪のキャラ付けは義妹である。そして先のブリムを着けている際は美少女メイド紗雪。

 そして、ブリムを着けていない義妹としての紗雪は、俺と2人きりの時だけさゆとなる。姉の旦那との禁断の恋、という設定だ。

 まぁ最近はその設定条件が大分緩くなって来ているのを感じているんだけども。


 メイド服のままのさゆを後ろから抱き締め、耳元で囁く。


「今日瑠璃と2人きりだったんだけどな、瑠璃がスマホに夢中で俺の相手を全然してくれなかったんだよ。

 で、メイドモードの紗雪を焦らしてる時に、紗雪もこんな寂しいような虚しいような気持ちになってんのかなぁと思うとさ、そのままのさゆを抱き締めたいなと思ったんだ」


 首筋にキスをして、すぅ~っとさゆの匂いを嗅ぐ。帰って来てからシャワーを浴びたのだろうか、爽やかな石鹸の香りがする。


「優希さ、それいじわるで言ってるでしょ?」


 当たり。

 さゆが、いや紗雪がメイドモードの時の性的嗜好として、被虐的なシチュエーションを好む。相手にされず、辛く当たられ、そして(もてあそ)ばれる。

 それを知りつつ優しくしようと思う、と伝えるのは本人の口から「いじめて欲しいの……」という甘いおねだりの声を上げさせようという魂胆。

 それも含めてのプレイではあるんだけど。


「たまにはメイド姿の紗雪にもイチャイチャさせてやってくれよ。いつも頑張ってんだから」


 何も紗雪は多重人格を患っている訳ではない。ないけれども、明確にキャラとして別人格を強く意識している。記憶も……、いや記憶まで独立させる事はないが。


「ふふっ、そ~ね~、たまにはあたしを全力で可愛がってほしい、かもっ?」


 身体を捻り、俺に向き直って胸に顔を(うず)めるさゆ。

 さゆは、紗雪は、瑠璃や牡丹(ぼたん)ありきのキャラが濃い。だからこそ隠れての2人だけの秘密があったり、隠れてする事での禁忌に触れて楽しむ。喜びを感じる。そのような傾向がある。


 たまにはいいじゃん、さゆと俺と、2人の甘いひと時を楽しんでも。



 ガチャッ!!


「アナタ! あの小説読めましたか!!?」


 瑠璃が部屋へと飛び込んで来る。読むのを邪魔する癖に、感想を言い合いたいタイプ。やっかいなタチだなぁ。


「あっ!? 紗雪、メイドの癖に泥棒猫のようなマネをして、分かってるんでしょうね!!」


「あ~あ、お()ぇに見つかっちゃった。旦那の部屋であっても入る前はノックした方がいいよ?

 あんまりお義兄(にー)ちゃんのプライバシーに土足で踏み込むと、痛い目見るんじゃな~い?」


「あら、今はメイドモードじゃないのね……、ってそれとこれは別よ!」


 トウッ、と瑠璃が俺達目掛けてダイブをする。広いベッドとはいえ、抱き合っている2人はそう簡単に避ける事は出来ない。

 くんずほぐれつ、口では何だかんだと言いながらキャッキャとじゃれ合う2人。仲が良いのは良い事だ。


「ゆう~、お姉ちゃん疲れちゃったのっ! 抱き締めていい子いい子してぇ~」


 おっと、お次は牡丹お姉ちゃんの登場だ。こちらもノックなし。


「へぇ、牡丹ちゃんったら優希の前ではそんな甘えた声出すんだ~」


「あらあら牡丹ったら、とっても可愛いわねぇ~」


 ニヤニヤとする2人と、顔を真っ赤にして慌てる1人。


「ちがっ、こ、これはそのっ、あのっ……」


 慌てるあまり眼鏡がずれ、今にも落ちそうになっている。


「ほら、牡丹もおいで」


 宮坂(みやさか)三姉妹は今日も仲良し三姉妹です。



「え? 私の出番これで終わり!? そ、そんな事ないよね!!?

 ゆう、次のお話は私とゆうの2人だけのお話だよね、ね!?」




第三夜は明日22時投稿予定です。

感想・評価・ブックマーク・レビュー等で盛り上げて頂ければ非常に嬉しいです。


各電子書店様にて電子書籍版お断り屋の予約受付中、書影がご確認頂けます。


よろしくお願い致します。

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