牡丹とのバレンタインデー
「お姉ちゃん、早く頂戴! 僕もう待ち切れないよ!!」
「もう、ゆうったら。そんなにがっつかなくてもあげるから慌てないの」
仕方ないなぁ、という雰囲気を出しながらも、弟からせっつかれて嬉しいという気持ちを隠し切れていない。
そこでさらに急かすと、牡丹はより嬉しくなるだろう。
「もう、早く! どこに隠してるの? ポケットの中?
あ、もしかしてここだったりして!?」
背後から牡丹の身体を包み込み、服の上から隠し場所を探るようにさわさわと触る。
「こ、コラ! もう、そんな事したらあげないんだからね!!」
顔を真っ赤にして怒る牡丹お姉ちゃんに対し、必要以上に反省した様子を見せる。
「あ……、ごめん、嫌だったよね? 変だよね、こんなの。でも僕、お姉ちゃんの事……」
後ろを向いて床を見つめて見せる。がっくり。そう言っている背中に、牡丹は飛びつかずにはいられないお姉ちゃんなのだ。
「ゆう!? 大丈夫、大丈夫だからね?
お姉ちゃん、ゆうに何をされてもゆうの事嫌いになったりなんか、しないんだからね?」
後ろから抱き締められ、頭をよしよしされる。頬を近付けてスリスリしたり、頭に胸を押し付けたり。牡丹は何とか俺の機嫌を直そうとするが、それでもまだ反応してはいけない。しょぼーん、時折鼻をすする。
「ほら、こっち向いて? ゆうが欲しがってた物、あげるから」
ここで振り返り、上目遣いで少し期待したような表情を見せる。
「はい、ゆう。どうぞ、チョコレートよ?」
次話は20時に投稿予約済みです。




