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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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年明けライブ!

年明け一発目の投稿です。

本年もどうぞ、よろしくお願い致します。

『普段とは違うお前らの姿を見せてみろやぁ~~~!!!』


「「「「「うおぉぉぉ~~~~~!!!!!」」」」」


 たった3人の人間がステージへと登場しただけで、会場が割れんばかりの歓声で満たされた。

 待ちきれないとばかりに期待で胸を膨らませていたオーディエンス。3人の姿を目にした瞬間、その熱によって室温が上昇し、室内の空気は体積を一気に膨張させていった。

 ライブ会場という閉鎖空間の圧力が急激に高まり、圧力に耐え切れなくなった俺の鼓膜よ破れろとばかりに空間そのものを震わせる。


『年明け一発目はこの曲!!』


 ヴォーカルが歌い始めるとオーディエンスが縦に飛び横に揺れ、俺自身の心臓の鼓動と相まって世界そのものが拍動しているかのような錯覚に陥る。


『殺すぞボケ! 殺してみろボケ!! 殺すぞボケ! 殺してみろボケ!!』


 呼吸が上手く出来てない事に気付く。無意識にその場で飛び跳ね、両手を挙げて叫んでいる為に酸素が足りず、頭がクラクラする。

 それでもステージから会場へと発せられるバイブスに身体が反応し、発狂が加速する。

 息が出来ない! 助けを求めるように手を伸ばすと、同じように飛び跳ね叫ぶ夏希の手と重なった。


『現実から目を逸らして 俺はお前と離れたい!!』


 ヴォーカルが叫ぶ歌詞とは裏腹に、俺と夏希は抱き締め合って飛び跳ね続けた。



「え、マジで!? よくチケット取れたな!!?」


「これでも売れっ子女優だもの」


 クリスマスイヴのパーティーの際、夏希からバンドのライブに誘われた。なかなか入手出来ないプラチナチケット。

 結城ゆうきエミルとして芸能活動をしている夏希だからこそ手に入ったんだろう。そのお誘いを断るバカはいない。

 相手を瞬殺出来る歩数テリトリーを示し、いつでもれるぞという彼らからの警告の意味が込められたバンド名。俺と夏希が生まれた街出身の彼らのライブにはいつか行ってみたいと思っていた。

 毎年夏に数日間掛けて開催されるフェスも大人気で、日本一ゴミが出ないフェスとして有名だ。夏希と何回もチケットを取ろうとしたけど、一度も当選した事がなかった。

 年明けすぐのライブ、当日はライブDVD作成の為にカメラ撮影があるらしい。エミルが映ると肖像権とか色々と大変だろうけど、一観客として行くだけだから顔が映り込む心配はないだろう。


「うわぁ、めっちゃ楽しみやわ!」


「ええクリスマスプレゼントやろ!」



「めっちゃしんどい……、真冬やのに汗でびちょびちょやわ」


「まだ3曲目やで! テンション下がるような事言わへんのっ!!」


 あまりの熱気と興奮で全身疲労感。逆にもう終わってくれと思うくらいにしんどい。何で夏希は平気なのか。

 ステージに無理やり上がってダイブをする入れ墨の兄ちゃん。モッシュと呼ばれるおしくらまんじゅうを始める集団。その元気はどこから来るんですか……?

 俺と夏希は関係者席のような場所におり、一般客からは隔離されている。

 夏希の売れっ子女優発言は、芸能人だから優先的にチケットが取れたという意味ではなく、芸能人だから入れる特別な席に招待してもらった、という意味だった。周りにはバンドの関係者や業界人っぽい人がおり、みんな全力で盛り上がっている。

 夏希は特に変装などしていないが、取り囲まれるような事はなさそうだ。


『狂ってく 狂ってく クルクル狂ってく Don't Stop』


 はぁ、やっとスローテンポな曲になった。でもこの曲も好きやけど。

 つま先でリズムを取りつつ、スタッフさんからプレゼントされたライブタオルで汗を拭く。この際タオルと一緒に貰ったライブTシャツに着替えてしまおう。

 着替え終わったらちょうど曲が終わり、MCの時間になった。


『楽しんどるけぇ~!?』


「「「「「うおぉぉぉ~~~~~!!!!!」」」」」


『楽しない言う奴おったらしばき倒したるさかいいつでも掛かって来いや!!』


「「「「「うおぉぉぉ~~~~~!!!!!」」」」」


『そのリアクションおかしない!? まぁええわ。

 今日はな、特別なゲストが来てくれてんねん。お前らみたいなしょうもない奴とはちゃうぞ! ドラマやCMやと引っ張りだこの超売れっ子女優や!!』


 げっ、雲行きが怪しいぞ。隣にいる夏希を見ると大喜びでステージに向かって手を挙げている。お前マジか!?


『はいここのスクリーン見とけよ、今カメラがばっちりべっぴんさんをねろてるしな!

 行くぞ、はいドーン!!』


 ステージ上部に用意されたスクリーンにどアップで映し出される夏希。そしてめっちゃキョドってる隣の俺。


『我らが結城エミルちゃんでぇ~す!!』


「「「「「うおぉぉぉ~~~~~!!!!!」」」」」


 ボーカルのキャラが変わってしまっているが、気にせず盛り上がるオーディエンス。そしてニコニコ顔で映し出される夏希。おじぎをして、また手を振っている。


『おいお前らちょっと待てや!! エミルちゅわんの隣に立ってる奴は何や!!?』


 うわぁぁぁぁぁぁ、勘弁して下さいぃぃぃぃぃぃ!!!


『お前エミルちゅわんの何や!? お? よう見たらお前見た事ある顔やのぉ……。

 ポカルのCM出てる奴かボケぇぇぇ!!!』


「「「「「ぐるぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~!!!!!」」」」」


 一斉に俺へと向けられる敵意。ヤバい、俺殺される……。


『こっち来いやゴルァァァァァァァ!!!!!』


 突然現れたスタッフジャンパーを着た厳つい兄さん達に両脇を掴まれ、ステージへと連行される。


「頑張れ!」


 そう言って背中を叩く夏希。

 お前知ってたな!? やられたぁ!!!



次話は近日中投稿予定です。

よろしくお願い致します。


一部歌詞修正致しました。

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