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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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姉に彼氏を寝取られシチュ:肉親に見守られてプレイ

「今日はお父さんとおじいちゃんの前でハッキリとさせてもらいます」


 始まった。この子度胸あるなぁ。父親と祖父の前でこの内容のプレイをするなんて、相当プレイ経験を積んだお客様(アクトレス)でも出来ないぞ。本当に初回プレイか?


「お姉ちゃん、何で呼ばれたか分かってるよね?」


 うわぁ、こいつ牡丹ぼたんも巻き込んだぞ……。設定要望プレイオーダーではそこまで言ってなかったのに。

 牡丹が俺の隣でコクリと頷く。そうだな、今喋らないのは得策だと思う。


紗丹さたん君、どうしてお姉ちゃんの誘いに乗ったの? 私だけじゃ満足出来なかった?」


 お姉ちゃん悪女!? 姉に彼氏を寝取られたシチュ!!? それも身内の目の前で。

 この子、出来る……! 負けてられねぇ。


「いや、乗ったと言うか、乗られたと言うか……」


「そこを聞いてるんじゃないっ!!」


 バンッ! と机を叩く美惠みえさん。ビクッ! ってなったわ。

 健一ジェンイー社長と国治クニハルさんがソワソワし出す。分かります、気まずいですよね。

 2人が同時にテーブルに手を伸ばし、パイナップルケーキの包みを丁寧に開ける。


「お父さん! おじいちゃんも! お菓子なんて食べてないで何か言ってよ!!」


 ブフォ! 国治さんが盛大に咳き込む。あ、涙目になっておられる。ジェンイー社長がそっとお茶を勧める。仲良さそうだなぁ~。

 このままでは美惠さんのオンステージになってしまう。何とか流れを変えないと。


「チッ」


 舌打ちをすると、キッ! と俺を睨んで来た。よし、矛先が俺に戻って来たようだ。


「何で今舌打ちしたのっ!? 悪いとか思ってない訳っ!!?」


「ん? あぁ、ゴメンな?」


 目を合わさず、俺も机にあるパイナップルケーキを2つ手に取る。1つを牡丹へ渡して、自分の分の包みを剥がす。


「何で今イチャイチャし出す訳!? 信じらんないんですけど!!?

 私達付き合ってるんだよ、それもアンタが付き合ってくれって言ったんじゃん! もうすぐ付き合って3ヶ月だから、どこか旅行にでも行こうかって話してたとこじゃん!!

 それなのに……」


 下を向き、膝の上で両手を握り締めている美惠さん。役に入り込んでるな。全くの初めてのプレイで、なかなかあの小芝居まで出来る人はいない。


「はぁ~、何でバレたんだよ……」


 ため息を付いて脚を組んでみる。ついでに牡丹の髪の毛の先を摘まんで、クルクルと弄る。


「……!! 隠すつもりがなかったからでしょうっ!? 浮気するにしても絶対バレないようにするとか、相手をちゃんと選ぶとか出来ないのっ!!?

 私がどれだけ惨めな思いでここに座ってるか、分からない?」


「だって、お姉ちゃんの方がおっぱい大きいじゃん」


 ブーーー! ジェンイー社長がお茶を噴き出す。すみませんね、でもこれが俺の仕事なんです。


「な、な、なっ!!!???」


 美惠さんが自分の胸を持ち上げてゆさゆさし出す。「止めなさい」と手首を掴んだ国治さんの手をバシッ! と払いのけて立ち上がる。


「サイテーーー!!!」


「だって、なかなかさせてくれないじゃん」


「さぁ~~~!? そっ、そんな毎日のようにするものじゃないでしょう!?」


 よしよし、攻撃一辺倒だった流れを止める事が出来た。成り行き的に俺はチャラ男なキャラだな。

 美惠さんが本気で慌てているようなので、このままのキャラで行こうと思う。


「正直面倒なんだよね。いちいちロマンチック? な雰囲気にしないとダメじゃんか。ホント手間。

 その点お姉ちゃんはお姉ちゃんから誘ってくれたし、清楚な雰囲気とのギャップがあってさ、グッと来るよね。大人だなぁって引き込まれるんだよ」


 牡丹はノーリアクションでエキストラに徹している。ように見えるがわずかにもじもじしている。こっちはこっちで別のプレイが進行している状況だ。

 プレイのマルチスレッド処理、またプレイヤーとしてレベルアップしてしまった。


「わ、わ、わ…、私とは身体の相性が良いって、言ったのは嘘だったの!?」


「「ストップストップストップ!!!」」


 ジェンイー社長と国治さんが立ち上がって両手でバツを作る。父親、祖父からしたら見るに堪えないだろう。


「何で止めるのよっ! 私はまだお断りされてないっ!!」


 美惠さんが地団駄を踏んでいる。まだプレイも序盤、不完全燃焼なのだろう。現実とプレイの間で感情が迷子になっているようだ。

 プレイにストップがかかる事を想定して、早めにお断りをする方向へ持って行くべきだっただろうか。


「もうぉぉぉ! これから良い所だったのにぃぃぃ~。紗丹さん、続きお願いします!!」


「お断りします」


 牡丹が、え、止めちゃうの!? みたいな顔で俺を見て来るが、これ以上やってしまうとジェンイー社長と国治さんが可哀想だ。

 娘、そして孫娘のこんな成長を見たくはないだろうし。


「とりあえずみなさん、お座り下さい」


 着席を促し、プレイ続行が出来ない理由を説明する。

 美惠さんが俺の事を本当に浮気をした彼氏を見るような目で睨んで来るが、この説明をクーリングタイムに代えさせて頂こう。


「まずジェンイー社長に質問させて下さい。お断り屋をオープンさせるとして、ターゲットは美惠さんのように日本語が出来て、日本文化に精通している10代の女性ですか?」


 少し考える仕草をし、ジェンイー社長が答える。


「いや、日本語が出来る女性も多いと思うが、ターゲットはあくまで台湾の一般女性、それも経済的に余裕のある20代以降の女性になるだろうな」


「ええ、私もそうだと思います。ですので、この場での美惠さんとのデモンストレーションは台湾でお断り屋を展開するにあたっての参考にはなりません」

 

 国治さんが頷いて同意して下さる。美惠さんは相変わらずぶすぅ~っとした表情でソファーにもたれ掛っている。後で何かしらフォローが必要だな。


「う~ん、では紗丹君はどのような形でデモをすればいいと?」


「正直申しましてデモプレイは台湾語……、という表現で合っていますか? この国の言語で行われるべきです。

 が、そもそもジェンイー社長はお断り屋をどのような形で展開される予定ですか? スペックスのチェーン展開ですか? それとも新たなブランドを立ち上げられますか?」


 ジェンイー社長が腕を組み、美惠さんを見やる。

 10代で、お金持ちのお嬢様とはいえ自分で稼いでいる訳ではない、日本語を話せる女性。ジェンイー社長がターゲットと想定している層には当てはまらない。


「なるほどね、その経営方針次第でプレイ内容が変わると言うのだね?」


「そうですね、スペックスブランドで展開されるのであれば全て日本準拠のシステムをお教えしましょう。その際は美惠さんのように、日本の事を好きでいて下さる方がメインターゲットとなるでしょう。

 独自ブランドを立ち上げられるのであれば、幅広い方をターゲットにした台湾スタイルでのプレイという物が生まれるかも知れません。

 それはそれで、私達が教えて頂く事があるかも知れません」


 そう言った後、口を潤す為にお茶へと手を伸ばす。視線に気付き牡丹を見ると、何やらニヤニヤしている。それはまるで弟の成長を見守る姉のような……。

 しまった、今の俺はプレイヤーとしてこの場にいるのに、突っ込んだ話をし過ぎたかも知れない……。


「そんな事よりも早くプレイの続きをさせて下さい! こんな機会滅多にないんだから!!」


「まぁ落ち着きなさい、メイラン。今はビジネスだ、わきまえなさい。プレイなら日本へ行った際にスペックスでお相手してもらいなさい」


 でもでもだってと、聞き分けられない美惠さん。う~ん、ちょっと気になるな。一応確認しておくか。


「今さらなのですが、美惠さんはおいくつですか?」


「私? 17ですけど」


 あ~、残念ですがお相手出来ませんね。どう伝えようかと思案していると、牡丹が俺の代わりに説明をしてくれる。


「スペックスではアクトレス登録の対象年齢を18歳以上と定めております。プレイ内容によっては先ほどのように、性的な会話が入る事も多々あります。

 性的サービスをしている訳ではありませんので、具体的に法律に触れる事はないですが、一応線引きは必要ですので。

 ですから、日本にお越し頂いて紗丹にお相手させるのは、美惠さんが18歳の誕生日を迎えられて以降がよろしいですね」


 そんなぁ! と美惠さんはより不機嫌になる。しかし、それはあくまでお客様としてお相手する場合に限る。


「美惠さん、今の話はあくまでアクトレスとプレイヤーとして、商売としてプレイする場合についてです。今日のお話が終わった後、個人的にお相手する分には何ら差し支えないものなので、この後お時間がおありでしたらプレイをしましょう。

 ただ、先ほどの続きだとお父様とお爺様が耐えられないと思いますので、エキストラなしで続けるか、もしくは別なシチュエーションでするかになりますが」


「本当ですか!?」


 美惠さんがまたも興奮気味に立ち上がり、あのシチュがいいか、それともこのシチュがいいかとブツブツ独り言を始めた。

 その様子を見て、「これは儲かる訳だ……」と国治さんが呟いた。



 ジェンイー社長との商談を終えた後、約束通り美惠さんと浮気した上で手酷く振るお断りプレイをした。

 牡丹は日帰りのつもりだったようだが、時間が遅くなったのと是非ホテルを用意させてくれとのジェンイー社長の申し出で、一泊する事となった。

 台北にある5ツ星の一流ホテル、それもプレジデンシャルスイートとかいう部屋を用意してくれた。

 ちょっとこれは値が張り過ぎるんじゃないかとも思うが、これも美惠さんのプレイ相手を勤めた対価なのだろうと思い満喫する事にした。


 レストランでゆっくりと食事を楽しんだ後、豪華な部屋で寛いでいると、牡丹が俺にしな垂れ掛かって来た。


「ねぇ優希ゆう、さっきお姉ちゃんの事を清楚な雰囲気なのにエロいのが、ギャップがあってグッと来るって言ってたよね?」


「言ったよ?」


「あれは本心? それともプレイ上のセリフ?

 もっとゆっくりと詳しく聞きたいなぁ~」


 そうだなぁ、どうしようかなぁ。

 俺に詳しい説明をせずに台湾へと連れて来て、デモンストレーションとしてプレイをいた悪いお姉ちゃんに、何て言ってあげようか。


「本音だよ。でもさ、最近はちょっとさらけ出し過ぎだよね。がっつき過ぎと言うか、隙あらばと言うか。もうちょっと控えめに出来ない?

 それとさ、商談としてプレイするなら事前に言っておくべきだよね?

 それをさ、パソコンでゲームしてて自分に構ってくれないからってのに対する意趣返しにするのってさ、どうなの?

 ジェンイー社長も言ってたじゃん、ビジネスだから弁えろって」


 牡丹の顔が引き攣り、そしてだんだんと涙目になって行く。

 弟にマジ説教されて凹んで行く姉、正直グッと来ます。


「しかも商談中の説明とか提案ってほとんど僕がしてたよね? 僕はプレイヤーとして連れて来られた訳でしょ? 何でお姉ちゃんが黙ってニヤニヤ見守ってる訳?

 絶対向こうサイドとしては不思議に思ってたと思うよ? 何でこいつが話を主導してんだって。それならそれで取締役の名刺を渡すように言うべきだったよね、タイミングを失ったから結局渡せずじまいだしさ。

 次会う時僕はどんな顔してたらいいの? プレイヤー? それとも経営者?」


 違う、思ってたのと違うと首を振る牡丹の顔をガシッと掴んで、「だいたいお姉ちゃんは……」と目を見て続ける。

 あうあう言ってる、可愛い。



 こうして台湾での夜は深まって行くのであった。


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誤字訂正致しました。

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