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7 サヤカのために

ゴブリン撃退後のお話です!

陣は今絶望に打ちひしがれていた。




時は少しさかのぼり、コブリン達を撃退した後の事だった。

「はーー。 疲れたな。」

陣は深いため息を付きながら、そう呟いた。

すると、

「ハチミツレモンを用意しました。

これでも、食べて疲れを取ってください。」

そう言いながら、サヤカは小皿にもられたハチミツレモンを陣の前に差し出した。

ハチミツレモンには、疲労回復に効果があると言われている食べ物である。

それを、陣が疲れたと言っただけで、でてくるなんて、なんてよく出来た子なんだろう。

陣はサヤカの気遣いに感激しながら、ハチミツレモンを食べ始めた。

うん。美味い!!

陣が満足げにハチミツレモンを食べていた。

そして、その様子を見ていたサヤカは、陣にはバレないように小さくガッツポーズをしていた。

サヤカの種族、ダンジョンドールは、ダンジョン運営のお手伝いをするための生き物である。

そして、その中にはダンジョンマスターへの手伝いも含まれている。

そのため、今、陣の役に立てていることが、サヤカにとって、とてつもなく嬉しい出来事だった。

サヤカが感極まっている間に、陣は用意されたハチミツレモンをすべて食べきっていた。

そして、一言

「ご馳走様でした。 サヤカ。とても美味しかったよ!」

そう呟いたのだった。

たったその一言だけでも、今、感極まっているサヤカにとっては、嬉しさに追い打ちをかけることにかわりなかった。

サヤカは、こんな些細な出来事だけであっても、17年間も来るかどうか分からないダンジョンマスターを待ち続けて良かったと心の底から思っていたのであった。





「ところでサヤカ。サヤカのステータスを見せてくれないか?」

ハチミツレモンを食べ終えご満悦な陣は、サヤカにそう聞いた。

「ステータスですか? そんなことを私に聞かなくても見ていいですよ?」

サヤカは陣は何を言っているのだろうと、不思議そうにそう返してきた。

「いや、そんな事言われても俺はサヤカに見せてもらわないと、サヤカのステータスは見れないだろ?」

そして、こちらもサヤカが何を言っているのだろうと不思議そうにそう返す。

するとサヤカはなにかに気づいたかのように

「え? あ、そういうことですか。」

と呟いた。

一方の陣は、未だどういう事か分からないままであった。

「えっと、ジン。私はジンの配下になりましたよね?」

「あぁ、そうだが?」

そう聞いてきたサヤカに陣は何をいまさらとばかりにそう答えた。

「そうです。私はジンの配下です。そんな配下である私のステータスを、マスターであるジンが見れないわけないですよね?」

サヤカにそういわれた陣は、なにかに気づいたように、慌ててダンジョンボードを呼び出した。

そして、配下という項目を探し、タッチすると、そこにはサヤカという文字か追加されていた。

陣は恐る恐るそのサヤカとい文字をタッチすると、ダンジョンボードにはサヤカのステータスが表示された。



ステータス

サヤカ(配下)

種族:ダンジョンドール

性別:女

年齢:17

Lv:78

称号:ダンジョンの守護者

HP:6500

MP:5400

攻撃力:3800+1000

防御力:2500

賢さ:1500

早さ:4000+1000

運:120

*ダンジョン外の時ステータス半減

《装備》

進撃にメイド服

(着用時:攻撃力、早さ1000up)

飛躍の靴

(着用時:空を5回歩ける)

《スキル》

剣術、拳術、槍術、投擲術、回避、激怒、

瞬足、風魔法、火魔法、生活魔法、メイド術、

《固有スキル》

全鑑定

(一部:ダンジョンメイカーの力 授与中)



サヤカのステータスは最強の一言だった。

な、なんだこれは!?

え、サヤカってこんなに強いのか? Lv78ってなに?え、サヤカって勇者だったのか? それぐらいのステータス持ってるじゃないか。

それにサヤカって結構、脳筋な感じ?

サヤカのステータスを見た陣は混乱していた。

落ち着け。落ち着くんだ。

そう陣は自分に落ち着くよう言い聞かせて、サヤカのステータスをまとめだした。

・サヤカは俺よりも強い

・ステータスを見る感じ案外、脳筋?

・ダンジョン外に出た時、ステータス半数される

・思ったよりスキルが多くない

・全鑑定という固有スキルをもっている

こんなところだろう。結論、サヤカは強い。

俺よりもこっちにいる時間は長いので、俺よりもLvやステータスが高いことは分かっていたが、それでもここまでとはおもっていなかったな。

サヤカのステータスはそれほどまでに陣の予想を上回っていたのだ。

しかし、陣は一つ気になっていたことがあった。

「サヤカって運は高くないんだな。」

そう、サヤカの運は思ったより高くなかったのだ。ほかのステータスと比べてみてもその差は歴然だった。

しかし、陣は思いもよらない答えがサヤカから帰ってきた。

「そうですか? そんなことないと思うんですけどね。普通の人は100なんで20も高いんですけどね?」

ん? 今なんていった?

「普通の人は100?」

「はい。そうですよ。運は天性のものなのでLvをあげても変わらないですよ。ちなみにジンはどれくらいなんですか?」

サヤカはそう興味津々に聞いてきた。

そして、陣は

「俺、10なんだけど」

と正直にこたえた。

しばらくの間、陣とサヤカの間には沈黙が流れたのであった。





そして、冒頭に戻る。

俺、神木 陣は、今、絶望に打ちひしがれていた。そうか、そういう事だったのか。

[脆い石壁]であまりゴブリンが死ななかったのも、[飛び出す矢]で、普通死ぬはずのゴブリン達が死ななかったのも、全部俺の(運の)せいだったのか!!普通の人の10分の1とかもう、笑うしかないよな。

「だ、大丈夫です! 例え運が低くても、ダンジョン運営はできますよ!!」

サヤカはそうやって慰めてくるが、今の陣にはその慰めは逆効果でしかなかった。

「ハハハハ。サヤカ何言ってんだよ。ダンジョン運営に俺の運が関係ないと言うなら、どうしてゴブリン達があんなにも死ななかったのか説明してくれよ!!!」

完全な八つ当たりである。

たが、それほどまでに陣は絶望していた。

それは、何よりもサヤカに申し訳ないという気持ちが大きかった。

せっかく17年もまってやってきたダンジョンマスターが陣のような運の低い奴だということをほんとに申し訳ないと思っていた。

しばらく2人の間に沈黙が流れ、陣が遂に決意した。

俺はこのダンジョンをでていく。陣がそう口を開こうとした時、

「あーーーーー!!!」

というサヤカの何かを思い出したかのような声に遮られた。

「ジン。こっちに来てください!!」

サヤカはそう言うと唖然としている陣の手を取り、部屋の外へ走り出したのだった。







「おい。ちょ、サヤカ。ちょっとまてって。いったい俺をどこに連れていく気だ!せめて説明してくれ」

陣はサヤカに手を引っ張られながらそういった。

しかし、サヤカは

「大丈夫です!ついてくれば分かります!」

となんの説明も返えってこなかった。

その時、陣はサヤカはやっぱり脳筋だということを確信した。

考えるよりまず行動!! そして、説明がない。 まさに今のサヤカにはそれが当てはまっていた。

陣がそんなことを考えていると、サヤカは急に止まった。

陣はサヤカが急に止まったことに反応できず勢いそのままサヤカにぶつかり、こけてしまった。

いてて。一体なんなんだ。そうサヤカに文句を言おうと顔を上げると、そこには大きな扉がそびえ立っていた。

なんだここは、そう陣が言おうとするより早くサヤカは

「着きました!!」

そう言ったのだ。

そして、サヤカはすみやかに陣をたたして、扉の前まで歩いていった。

そしてその扉を片手で押す。

おいおい。なにしているんだ!! その扉は絶対女性ひとり、しかも片手で押して開くような扉ではない。

しかし、その扉はゆっくりと開き出す。

陣は目の前で起こっている事に唖然とした。

そして、陣は扉の中の光景を見ると、更に唖然としてしまった。

「な、なんだここは!?」

陣はそう叫んだ。しかし、陣が叫ぶのも仕方が無いことだった。

扉の中は、数えれんばかりの金銀財宝で埋め尽くされていたのだ。

そんな中をサヤカ平然と進みながら

「ここは、昔ここらに住み着いた竜を倒した時に手に入れた財宝の貯蔵庫です」

そう答えてきた。

え、なんていった?竜を倒した?

もう訳がわかんねえよ。遂に陣は思考が停止したのだった。







「あった!!これですよこれ!」

陣が思考を停止してから数分後。そんなサヤカ声が聞こえてきた。

そして、サヤカがこちらに近づいてくる。

その手には赤色の宝石が付いた指輪が握られていた。それを陣に差し出してサヤカは、こう言った。

「これをつけて、ステータスを確認してください!」

陣はサヤカに言われた通りに、指輪をつけてステータスを確認した。すると、



ステータス

神木 陣

種族:人族

性別:男

年齢:17

Lv 12

称号:元勇者

HP:750

MP:800

攻撃力:500

防御力:720

賢さ:900

速さ:450

運:10+100

《装備》

学ラン

スニーカー

幸運の指輪

(着用時:運100up)

《スキル》

HP自動回復、MP自動回復、不屈、生活魔法

《固有スキル》

ダンジョンメイカー



そう表示されていた。

まず、Lvが上がっている。これは、ゴブリンを倒したからだろう。トラップで倒してもLvは上がるようだ。

しかし、そんなことはどうでもいい。

陣はもう一度ステータスを確認した。そして、

「運が……あがってる」

こう言ったのだ。理由はあの指輪だった。

サヤカはこれを探していたのか。陣が顔を上げると、そこには、顔や服を土で汚した状態で微笑むサヤカがいた。サヤカ陣の顔をみつめながら

「これで、問題ないですね。だから、私のダンジョンマスターでいてくれますよね?」

そういった。サヤカは陣がこのダンジョンから出ていこうとしていたのを気づいていたのだ。

陣は、涙が溢れてきた。

サヤカがこんなにも陣のことを思ってくれていたこと。

自分がダンジョンにいていいということ、そして、なによりサヤカのダンジョンマスターでいれること。

その全てが陣にとって、とても嬉しかったのだ。

この時陣はサヤカのためのダンジョンマスターになろう、そう決意したのだった。


ステータスすこし付け足ししました。

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