4 主人と配下
本日2回目です!
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陣は気持ちのいい朝を迎えていた。
「まさか、野宿をしなくてすむなんてな」
陣は、ベットから起き上がりながら、昨日のサヤカとの出会いを思い出していた。
野宿のために入った洞窟が、まさかの昔ダンジョンだった場所で、そこで美人と出会う。
俺の異世界生活最高じゃないか!!
陣はそんなことを考えながら、部屋の中を見渡した。デスクに、本棚、そして、ベット。とても質素な部屋だった。
この部屋はもともと、前のダンジョンマスターが住むはずだった部屋だそうだ。
しかし、数回しか使われなかったようだ。そのため、周りにあるものは新品のような綺麗さのままだった。
陣がまわりを確認しおえたとほぼ同時に扉をノックする音が聞こえてきた。
「ジン。起きていますか?」
サヤカが起こしに来てくれたみたいだ。
まさか、美人に起こされる日がくるとは思っても見なかった。そんなことを考えていると
「ジン。起きていないのですか?」
サヤカからの再度、といかける声が聞こえてきた。陣は慌てて我に帰り、
「ごめん。今行く。」
陣はそう返事をして、扉に向けて歩き出した。
今、陣とサヤカは朝ごはんを食べていた。
しかも、和食。白米に、焼き魚、そして味噌汁。
昔ながら日本の朝ごはんだ。陣はもともと、和食が大好物であった。そのため、こちらで和食を食べれないと諦めていた陣にとってこれ程嬉しいことはなかった。しかもサヤカの作る和食はとても美味いのだ。
「そんなに喜んで貰えると、作ったかいがありました」
サヤカは微笑みながらそういった。
「でも、なんでサヤカが和食を知っているんだ?」
「前のマスターに教えていただいたのですよ。ほとんど、関わりはありませんでしたが、これだけは、教えて貰っていてよかったです」
「前のマスターに? ということは……」
「ジンの考えている通り、前のマスターはジンと同じ異世界人です」
「な!?」
サヤカのいきなりのカミングアウトに陣は混乱していた。それに、おかしな点があった。
それは、前のダンジョンマスターが異世界人、つまり地球出身の人であるという事だ。シャルミラいはく、俺が召喚されるまで数百年、異世界召喚が使われたことがなかったと言っていた。
まず、前のダンジョンマスターが異世界人であることは、和食を知っていたので、間違いないだろう。
なら、どうやってこっちの世界に来たんだ?
考えられるのは、3つ。
1つ、シャルミラが嘘を付いている。多分これはないと思う。
どんなにシャルミラが、人が罪悪感に、かられているのを嘲笑うようなクソ女神でも、嘘はつかないと思う。
2つ、ほかにこちらの世界に来る方法があるということ。これは、今の俺にはどうすることも出来ないことなので、放置。
3つ、シャルミラの前のマスターが異世界召喚が禁術に指定される前にこちらに呼ばれたというもの。これは、可能性はある。
サヤカの種族のダンジョンドールは基本寿命がない。そのため、数百年間生きることも可能である。
いったいどれが正解なんだ?
考えても仕方ない。聞くしかないか。
陣は覚悟を決めてサヤカに質問した。
「なぁ、サヤカ。そのダンジョンマスターはいつ、どうやってこっちに来たかいっていたんか?」
「えっと。ダンジョンマスターが亡くなったのは17年前のことですから。確か、今から20年ほど前に時空の歪みのようなものに吸い込まれてこちらにきたと言っていました。」
正解は2でした。3じゃなくてほんとに良かったー。もし3だったら、なんて反応していいかわからなかったよ。
そして、サヤカは17年もの間ずっと新たなダンジョンマスターを待っていたということを知った陣は、サヤカを大切にしようとあらためて思うのだった。
陣はもう一つ疑問に思っていたことをさサヤカに質問してみた。
「あ、それとなんで俺が異世界人だとわかったんだ?」
そう、陣は1度も異世界から来たとは言っていなかった。
「あー。それなら、前のマスターがここら辺では聞かない名前で黒髪で、黒い瞳なら間違いなく異世界人だと教えて貰っていたので。」
あー。そういう事か。でも、かなり適当だな。黒髪ぐらいのどこにでもいるだろ。
「ジン。色々とお話したいですがまずはご飯を食べましょう。せっかくのご飯なのに覚めてしまいます。」
そう、サヤカにせかされて、陣は話をやめ、ご飯を食べ始めた。
「それじゃ。サヤカ、ダンジョンメイカーについておしえてくれるか?」
「はい。まず私を配下に入れてもらえませんか?」
「ん? 配下?」
陣は聞きなれない単語をきいたため、聞き返してしまった。
「はい。そうです。ダンジョンにはモンスターを呼ぶ方法が2つあります。
1つはDPを、つかってモンスターを召喚する方法。そして、もう一つはダンジョンとは関係ないモンスターを配下にする方法。これは、普通は配下にするにはDPが必要何ですが、両方の同意がある場合DPは必要ありません。」
へー。そーなのか。
「でも、なんで配下になりたいんだ?」
「配下にしてもらうと、任意でダンジョンメイカーの力の一部を譲る事が出来るのです。その力を使って、私はダンジョン運営のお手伝いをさせて貰いたいのです!!!!」
サヤカはそう熱弁してきた。
「配下っていうのはあんまり気には要らないがまぁ、そういうことなら。」
「ほんとですか!?」
サヤカ身を乗り出して、とても嬉しそうにそういった。
「あ、ああ。」
陣はサヤカの一生懸命さにすこし引いてしまったのだった。
陣とサヤカは、食器を片付けて向き合ってすわっていた。
「それでなにをすればいいんだ?」
そう、サヤカにきくと
「難しいことはありません。まずダンジョンメイカーと念じてください。」
サヤカにそういはれた陣は、ダンジョンメイカーと、念じた。すると、ステータスと似たような薄緑色のボードがあらわれた。
「その様子を見るとダンジョンボードが出たんですね。」
「ん? その言い方だと、このボードは見えないのか?」
「はい。ダンジョンメイカーの力を譲って貰うと違いますが、基本は見ることはできません」
へー。それは便利じゃないか。
「で、次はどうしたらいいんだ?」
「その画面の中に『配下契約』という項目があるはずです。その項目をおして下さい。すると呪文がでてくるので、私の体のどこかをふれながらその呪文を読めば契約完了です」
サヤカにいわれたとおりに、操作していくと呪文が、ボードの画面に、あらわれた。
陣は立ち上がってサヤカの隣まで歩いていき右手でサヤカの肩にふれた。
そして、陣は深呼吸をし、一呼吸置いたあと、呪文を読みはじめたのだった。
『我は汝を配下とし、汝は我に心血をそそげ。
汝は我に全てを捧げ、我は汝に力をあたえる』
陣が呪文をいいおえると、サヤカの体を光がつつみこんだ。その光がおさまり、陣が手を離すと、陣のふれていたサヤカの肩にタトゥーのような模様が入っていた。
サヤカはその模様をみて、
「契約は成功したみたいですね。この模様がその証です」
しばらく自分の肩の模様を見たあとサヤカがこちらをむき、一言
「これから末永くよろしくお願いします!」
満面の笑みでそういったのであった。
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