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クラス丸ごと奴隷召喚 ~至高の黄金球使い~  作者: 濃縮原液
第5章 エピオ領内遭遇戦
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03 未管理迷宮

「それにしても、あのレッドアリゲーターの群れはなんだったんだろうね」


 レンセは疑問を投げかける。この付近の魔物はLV20くらいのものが多かった。LV35前後のアリゲーターが多数出現するのは少しおかしい。


「近くに未封印の迷宮が存在するのかも知れません」


 《聖女》シルリアスがこの世界の迷宮についてレンセ達に説明する。


「一般的にはあまり知られていませんが、各地に存在する迷宮を封印するのも教会の使命の一つとなっています。迷宮そのものにはドロップアイテムなどの恩恵もありますが、管理できない迷宮に対するための封印処置ですね」


「攻略対象じゃねぇ迷宮に対する処置だな。街の近くとかなら迷宮は管理下にあるか封印されてるのがほとんどだけど、森の奥とかここみてぇな国境線上とかだとどちらもされてねぇ素の迷宮が存在しやがる」


「未管理の迷宮の存在は好ましくありません。中からあふれた魔物が周りに害を及ぼしますから。ここは高地の奥になっているので管理は難しいでしょう。場所さえ分かればわたくしが封印しておきたい所なのですが」


「シルリアスさんそんなことが出来るの?」


「はい、可能です。ただ最下層にまで行く必要がありますが。最下層にあるコアの起動を止めれば迷宮は停止させることが出来ます。コアのある場所は通常の数万倍ほどもの高い濃度の魔素に覆われているため行けばすぐに分かりますし。ただし、コアやそれのある部屋を破壊しても自動で修復されてしまうため、封印には特別な処置が必要ですが」


 最下層にある魔力の濃い場所。この言葉にレンセはトキナが封印されていた部屋のことを思い出す。


 レンセ自身は特にコアらしき物をあの部屋で発見したりはしていなかった。


 封印を解いた際にトキナの魔力で部屋にダメージを与えたりもしている。だが地上に戻る際にも魔物はいたのであれでコアが止まったと言うこともないようだ。


 元々レンセは迷宮を封印するために潜っていたわけでもない為どちらでもよい話であったが。そして今回も封印のために迷宮に潜る必要はないと判断する。


「アリゲーターが出てきた迷宮がどれくらい深いのか分からないけれど、最下層まで潜るのは少し寄り道が過ぎるかな。シルリアスさん達にもそんな時間はないはずだし」


「そ、そうでした。今は迷宮にかまけているような情勢ではないですからね。ここは付近に村もないですし。現状を報告した上でビリーバラ氏に判断を仰ぐのが無難な対応になるでしょう」


 戦争が起きそうな今の情勢で言えば、ザンジェビア公国側としてはわざと迷宮を放置するという選択肢も十分ありえる。


 迷宮から魔物を溢れ出させていればグラリエン帝国の軍が山越えをするのが難しくなるためだ。ビリーバラ・エピオがザンジェビア公国側として敵対するなら迷宮は残す方がメリットがあるのである。


 ビリーバラがシルリアスの提案をのみ軍の通行を許可するのであればまた話は変わって来るが。


 どちらにせよビリーバラに会ってからの話となるのでレンセ達は歩みを進める。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 その後の山越えは特に問題なく進んでいき、魔物への対処は芹達のみで上手くこなせていた。レンセはその様子を眺めつつ、エミリスやシルリアスと話をする。


 レンセと同じく手空きとなっていたトキナも近くで話を聞いていたが、そのトキナに対してエミリスが話しかけた。


「ところであんたさ。空中会戦の時あの場にいたよな。ボコラムと戦ってただろ?」


 エミリスの言葉にトキナは警戒心を強くする。だが。


「いやいや、あたしにゃ敵意なんかねえからな。ていうかあの時もあたしゃあんたのこと助けたんだぜ。マシンガンで援護してやったろ」


「あれはお主じゃったのか。確かにあれは助かった。じゃがなぜ教会の人間が魔族である妾を助けた?」


「いやぁ、そりゃあんた見た目が少女だし、ボコラムが敵だったのは間違いねえしよ。敵の敵は味方? みたいな? ともかくあたしは魔族だからってすぐ攻撃するようなたまじゃねえんだよ」


「わたくしもあなた方に敵意はありません。エミリスの話は初耳ですが、ビリーバラ氏が既にイルハダルと敵対していたというのなら心強いお話です。もし差支えなければですが、なぜ穏健派の魔族である貴方方があの戦いに介入していたのかお聞かせいただけないでしょうか?」


「ああ、うん。えーっと。……僕達は別にビリーバラさんとは直接関係ないんだよね。話をすると長くなるけど」


 シルリアス達はレンセ達をビリーバラの実行部隊と勘違いしていた。


 トキナは真実を話すべきか判断がつかなかったが、レンセは迷わず話すことを選択する。


「よいのかレンセ?」


「うん。僕の方にもエミリスさん達に聞きたいこともあるしね。マシンガンのこととか。それにシルリアスさんはいい人そうだし、僕達のことを話すのも悪いことばかりじゃないと思うから」


 そうしてレンセはこれまでいきさつをシルリアス達に話して聞かせた。


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