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クラス丸ごと奴隷召喚 ~至高の黄金球使い~  作者: 濃縮原液
第5章 エピオ領内遭遇戦
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01 LV上げ

 レンセ達がグラリエン帝国の首都エンバランをたって既に一日が経過していた。


 エンバランとアロの叔父がいるエピオ領との距離は比較的近い。レンセ達はすでにザンジェビア公国との国境付近に差し掛かっていた。


「あれがロキディナル山脈じゃな。三大国を分ける巨大山脈にして、神の塔とイルハダルの本拠地のある山脈。じゃが神の塔のある付近とは違いこの辺は大して標高がないようじゃ。これは山脈というより高地と呼ぶのが正解じゃろうな」


「うん。高地の中は全体的に森が広がってる感じだね。人の気配もないみたい。街からも随分離れたし、この辺で芹達の首輪も壊しちゃっとこうか」


「ああ。よろしく頼む。私自身は一生レンセに仕える腹積もりが出来ているが、封印されたままでは逆に足手まといになってしまうからな。山越えの際にも魔物はやはり出るだろうし、戦えない状態は心苦しい」


「うん」


 そうしてレンセは、芹達四人の首輪を破壊する。


「あー、やっとで奴隷から解放されたって気がするよぉ~」


「レンセが恩人なのは変わらないけどなー」


「でもこれで少しは恩返しも出来るわ! 戦闘も出来るし、魔物だってバンバン倒しちゃうんだから」


「いや、出来ればみんなにはあまり危険なことして欲しくないんだけど」


 封印の首輪がはずれ戦闘が出来るようになったと言えど、彼女達とレンセの間には圧倒的な力の差がある。だからレンセとしては魔物も全て自分が倒してしまえばと思っていたのだが。


「……戦闘はさせた方がいい。LVが上がる。わたしも強くなっておきたいし」


 彩亜の言葉を聞きレンセは考えを改める。


 芹達はすでに傭兵団への参加を申し出ている。戦争に参加すれば必ず危険な場面はあるはずなのだ。


 その時になってLVが低かった為に死んだとなっては話にならない。


 その為レンセは、エピオ領へと向かう間芹達のLVを上げることに重点を置くことに決めた。


「主と妾の出番はなしか。体がなまってしまいそうじゃが」


 レンセとトキナは見学である。この世界においては魔物を倒すと経験値を得られLVが上がるが、もらえる経験値の量は戦闘への貢献度により大きく左右される傾向があった。


 その為レンセやトキナが魔物を倒すのをそばで見ているだけでは駄目なのである。


「僕とトキナさんはびっくりするほどLV上がんないしね」


 レンセは魔族になってからまだLVが1しか上がっていない。トキナに至ってはLVの上昇は0だった。Aランク相当の依頼を多数こなした上でである。


 その間に彩亜のLVは10近く上がっており、現在の彩亜はLV26となっていた。


「私達のLVはまだ16前後。彩亜と同じ26くらいまでは上げておきたいな」


「……わたしのLVも上がるけど」


「まあとにかく、五人で戦闘頑張ってみようか。でも危ないと思ったら僕もすぐ出るからね」


「アロも後ろからしっかりと応援してるのにゃー」


「……アロちゃんはLV上げないの?」


「アロは非戦闘要員だからにゃ! 彩亜達の戦いっぷりを後ろでハラハラしながら見てるのにゃー」


 こうしてレンセ達は山越えをしつつ、彩亜、芹、水樹、まゆ、絵理香の五人のLV上げを開始する。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「スピードアップ! パワーアップ! マジックアップ!」


 水樹が続けざまに補助魔法を発動させる。あまり必要ないような場面でも水樹は補助をかけていた。


 これもLV上げの為である。間接的にでも戦闘に参加していれば水樹も経験を得ることが出来る。


「あいすぴらー、三連柱!」


 まゆが三本の氷の柱を出し魔物の動きを止める。大きなカエルのような三体の魔物が丸ごと氷漬けになっていた。


「ライトソード! でもってまさかの直接攻撃よ!」


 魔法で作った光の剣を右手に持ち、氷漬けになったカエルを絵理香が真っ二つにする。


 ちなみに絵理香は《治癒術師》であり本来攻撃は得意でない。ライトソードも生成後は射出するのが本来の使い方なので、かなりカエルを嘗めた戦い方だと言える。


「いや、決して遊んでるとかそんなんじゃないわよ。戦場では何が起こるか分からないもの! いざという時の為に接近戦も鍛えておかなきゃ」


 というのが絵理香の弁であった。


「凍った敵を斬る分にはあまり危険もないから良いがな。む、新たな敵だ。《影の刃(シャドウエッジ)》!」


 少し離れていた鹿型の魔物に芹の影が伸びていく。その影の中から大きな刃が飛び出し、刃はそのまま魔物を貫通する。


「……意外とみんな戦闘出来る」


 感心しながら彩亜が見ていた。ちなみにその彩亜は近くにいたウサギのような魔物を狩っている。本来警戒心の強い魔物だが、彩亜の気配には気付くことなく狩られていた。


「……傭兵始めてから《魔力隠蔽》も覚えたし。わたしの強さも上がってる」


 彩亜のLVも高くなっている。《気配隠蔽》と《魔力隠蔽》の両方が揃い、普通の人間では不可視化した彩亜を捉えることはもはや不可能となっていた。


 レンセクラスの人間であれば実力差により隠蔽を破ることも可能だ。だがそれも彩亜がその場にいるのを理解した上で、注意して探らなければ判別出来ないほどである。


「この付近の魔物はそれほど強くもないみたいだし、僕とトキナさんの出番はなさそうだね」


 そんな風にレンセは余裕を感じ始めていたが。


「うっそでしょ! ワニ! あのワニ出たわよ! 何あれボスじゃなかったの! 普通にエンカウントしてるんですけどー」


 レッドアリゲーター。ニムルス地下迷宮で生徒達が唯一戦ったことのあるボスモンスターであった。ただし地下迷宮で絵理香達の戦ったアリゲーターはLV20。目の前にいるのはLV36のアリゲーターであった。


 平均18LVに上がっていた芹達にとっても恐ろしいボスとなりうる魔物である。そのため先行していた所を絵理香達はレンセの元へと逃げていた。


 その絵理香達へと向かいレッドアリゲーターは炎を吐こうとしていたが。


「……黄金球一番から四番。連続落下」


 森の上空に待機していた黄金球が四球落下。アリゲーターの鼻先から尻尾までを上から串刺しにするように貫いていく。ただし急所ははずしており、致命傷には至っていない。


「HPも一割くらいは残ってるかな。でもまともに動けないと思うから倒せると思うよ」


「う、うん。頑張るわね。みんな行くわよー!」


「おー」


 絵理香の掛け声に合わせて五人は反撃に出る。水樹の補助魔法により威力が上がった光の剣、氷の槍、影の刃が次々に襲う。


「……《死撃》」


 最後に彩亜のスキルを受けて、レッドアリゲーターは息絶えた。


「……やったわ。ボスを倒したわよ!」


「やったのほとんどレンセだけどなー」


「レンセ君、本当にびっくりするくらい強くなってるね」


 絵理香達はレンセの強さに改めて驚きを感じつつ、レッドアリゲーターのドロップアイテムである巨大な鰐肉を切り分ける。


 レンセもそんな皆の様子を微笑ましく見ていたのだが。急に表情が険しくなるレンセを見て芹が尋ねる。


「どうしたレンセ? 新たな魔物か?」


「うん。新しい魔物って言うか、レッドアリゲーターがいっぱいいる」


「嘘! それってやばいじゃん! あんなでかいのがいっぱい来たら怖いよー」


「ふふっ、どうやら妾の出番が来たようじゃの。この女共にも妾の力をちゃんと見せておかねばなるまいて、どれ妾の《黒炎魔法》で火を吐くワニさえ消し炭にしてくれようぞ」


 そうしてトキナがやる気になっていたのだが、真剣な顔でレンセが止めた。


「待ってトキナさん。……中に人の気配がする。数は二人。レッドアリゲーターに囲まれてるみたいだ」



 レンセ達は急いでその場所へと向かう。


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