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クラス丸ごと奴隷召喚 ~至高の黄金球使い~  作者: 濃縮原液
第4章 奴隷オークション
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10 そして新たな地へ

「落札してくれてありがとうございますご主人様。まゆは性奴隷として一生懸命尽くして値段以上の満足をレン――ご主人様に与えてみせます。だからお願い捨てないで」


「捨てないから! っていうかまゆを奴隷にするつもりもないからっ! だからお願いそういうのやめてよ!」


「……ほんとに?」


「もちろんだよ。僕はみんなのこと助けるために来たんだから」


「……ほんとにか? じゃあ……まゆは喜んで泣いてもいいのか?」


「うん。もちろんだよ」


「ぐすっ……怖かったよぉおおお」


 泣き崩れるまゆを水樹が優しく抱き留める。



 続く絵理香もほぼ同様だった。


 この高橋たかはし 水樹みずき天羽あもう まゆ、はざま 絵理香えりかの三人は元から仲の良かった三人組だ。


 そのため要塞からの脱出時も三人揃って芹の誘いに乗っていた。そして互いの無事を確認し、三人は涙を流して喜びあう。


「ありがとうレンセ君。助けてくれた礼は必ず返すわ。そ、その……体で返せと言われたらもちろんそれでもお返しするし。この首輪がある限りそんなことしか出来ないかも知れないけれど」


「だからそういうのはもういいから! 首輪もこの街を出たらすぐ壊すし」


「えっ、この首輪って壊せるの?」


「首輪自体はただ固いだけだから、外から力を与えれば壊せるよ」


 正確に言えば、魔族相当の力があれば壊せる。であった。


 レンセはすでにトキナの封印の首輪を破壊している。だが封印された者が自力で破壊できないのはもちろん、通常は外から破壊するのも難しい。


 あくまで魔族かそれに類する強い力を持つ者だけが力づくで壊せるのである。もっともレンセにはその力があるので、封印の首輪などあってないような物であった。


 さらに言えば、きちんと奴隷解放の手続きを取れば封印を解いて首輪をはずすことも可能である。


 もっとも買った奴隷をすぐ解放しては怪しいことこの上ないため、レンセは力づくで首輪を破壊する予定だ。


 奴隷解放自体はどの町の奴隷商でも行えるので、後日首輪がないのを見られても問題になることもない。


 その辺を三人に説明し、次は芹の待つ部屋へと入る。


 芹とは二人きりで合わせようということで水樹達三人は外で待っていた。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 レンセが中に入ると、芹は複雑な表情でレンセを見つめる。


 芹にとっても、レンセが自分を助けに来たかは分からない。だがそんなこと芹にはどちらでも構わなかった。


 芹は自分の意志をレンセに伝える。


「レンセが私を助けに来てくれたのならそれはすごく嬉しいし、そうでなくても私は落札額以上の働きをして見せる。買ったことをけして後悔させはしない! 私を好きに使い倒してくれ。私は絶対にレンセの期待に答えてみせる!」


 言っていることがまゆとほとんど同じだった。


「うん。とにかく僕は芹を奴隷にする気なんてないから」


「そうか。レンセならそう言ってくれるかも知れないとは思っていた。だがそれならレンセは恩人だ。一生尽くすことに変わりはない。レンセに救ってもらったこの命、どうかレンセの為に使わせてくれ」


「う、うん……ありがとう芹」


 芹の気迫に思わず押されてしまうレンセであった。



 ともかくこうして、奴隷オークションは終了を迎える。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 レンセは芹達四人を連れて宿へと帰った。その後改めてみんなで話をする。


「傭兵団か。面白い。ぜひ私も参加させてくれ」


「わ、わたしもやるよ! 戦えるし、他にどうやって生活したらいいかも分かんないし!」


「右に同じくー」


「あたしもやるわよ! 助けてくれたレンセ君に少しでも恩返ししたいのはもちろんだけど、まだクラスの仲間は残ってるもの! あんな目にあったレンセ君がまだみんなを助けるつもりなのに、それを黙って見てるなんてあたしには出来ないわ!」


「左に同じくだー」


 レンセは傭兵団を組織するつもりであるが、芹に残りの三人も、快くこれに参加するという。


 レンセとしては、魔族化しておらず強いとは言えない芹達を傭兵にするのには抵抗があったが。


「私達とて実力に合わないことをするつもりはない。穏健派の魔族とやらが仲間になってくれるのなら、私達は後方支援に回るべきだろう。前に出ずともレンセを助けることは出来ると思っているぞ」


「……わたしは前に出るけど」


「彩亜は能力が凶悪だからな。それと……トキナとか言う奴。お前化物だな。これだけ戦力が揃っているのなら、戦闘能力は十分だろう。僭越ながら私は頭の回転には多少の自信がある。その方向で役に立たせて――」


「おい。とりえあずこのガキ殴ってよいか。人のことさらっと化物とか言うような失礼な奴が頭良いとはとても思えぬのじゃが」


「化物と言ったのは謝ろう。だがそれにしても頭の悪そうな子供だ」


「なんじゃと貴様。消し炭にしてくれようか?」


「……トキナも芹も兄弟喧嘩しちゃ駄目」


「「誰が兄弟だ!」じゃ!」


 トキナと芹の仲がなぜか悪いことを除けば、話は概ね平和に進んでいた。


「まあとにかく、奴隷になってた子達もちゃんと助けられたのにゃ! 次はアロと一緒に叔父のとこに行くのにゃー! 叔父は首を長くしてレンセが来るのを待ってるにゃー」


「あー、それだけど、おじさんはビリーバラさんのとこにはいけないからね。ビリーバラさんにはおじさん頭上がんないから。この街でちゃんと待ってるから話がついたら戻っておいでー。傭兵団作れるようならちゃんと協力させてもらうからさー」


「モッフェルはいい加減叔父に借金返すのにゃー」


「あはははは。無理ぃぃーー」


 こうしてレンセ達はモッフェルを残し、レンセ、彩亜、トキナ、アロ、芹、水樹、まゆ、絵理香の八人でアロの叔父が待つ森へと向かう。


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