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クラス丸ごと奴隷召喚 ~至高の黄金球使い~  作者: 濃縮原液
第4章 奴隷オークション
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01 グラリエン帝国

 グラリエン帝国はこの世界最大の軍事国家である。同時に商業も栄えており、首都エンバランには世界中から様々な物資が集まっていた。


 そしてその中には人――つまり奴隷も含まれる。


 そんな奴隷商の中でも高級奴隷を扱う店の前にレンセ達はいた。


「よくお分かりになりましたね。確かに珍しい黒髪の少女四人が今朝入荷されたばかりです。ですが、まだお売りするわけには参りません。彼女らは二週間後に控えた奴隷オークションの目玉商品ですからね」


 芹達は奴隷として奴隷商人の手に落ちてしまっていた。


 レンセ達にその経緯を知るすべは存在しない。だが創世神教会側の傭兵達に掴まったのだろうと予測は出来た。


 レンセは街に入った後黄金球を一つ換金している。


 その資金で芹達の購入を申し出ているのだが、奴隷商は首を縦にはふらなかった。


「金額の問題ではないのです。私どもは高品質の性奴隷を提供するのを売りにしております。その私どもに取りまして、月一回のオークションは店の名を売る舞台でもあるのです。特に今回の四人はレア物です。これを私どもの店からオークションに出品することに意味があるのですよ。ですのでオークションの日までどうかお待ちください。そこで落札さえしていただければ喜んでお売りいたしますので」


 それでも引かないレンセに商人はいやらしい目でこう言った。


「心配なされずとも四人とも綺麗な状態で出品しますよ。素晴らしいことに四人とも処女だそうですから。当方は性奴隷の教育も全て女手で行っております。これも私どもの店の売りの一つです。ですので早く楽しみたいというお気持ちは分かりますが、オークションの日までどうかお待ちください」


 そこまで聞き、レンセは彩亜とトキナに半ば引きずられるようにしてその場を後にした。



 その後街で宿を取り三人は今後の計画を練る。


「早く助けたい気持ちは分かるが落ち着けレンセよ」


「芹達なら……多分大丈夫」


「うん。ありがとう二人共。僕ももう大丈夫だよ」


 宿に入る頃にはレンセも落ち着きを取り戻していた。


「あの奴隷商の店を襲撃して芹達を助け出すのはたやすい。でも……騒ぎを起こして帝国や創世神教会に目をつけられるのがまずいのは分かってる。芹達がオークションに出されても、落札自体はほぼ確実に出来るしね」


「うむ。主が換金した黄金球が約一千万エフ。奴隷はオークションでも五十万が相場、高くても百万を超えることはまずないそうじゃからの。単純計算で十人は買えるというわけじゃ。四人なら確実に助けられるじゃろう」


 時間こそかかりはしても芹達を助けることは可能である。奴隷商の言葉を信じればそれまで芹達が取り返しのつかないことになる恐れもない。


「芹達を追って必死でここまで来たけれど、助けるメドだけはたった感じだね。芹達のことはもちろん気になるけれど、オークションのある二週間後までどうするか考えようか」


「……情報収集?」


「じゃの。主らはまだ他のクラスメイト達も助ける気じゃろ。中には復讐したい相手もおるかも知れぬが。ともかく、イルハダルとはまたぶつからねばならぬはずじゃ。そのための有益な情報は探さねばなるまい」


「うん。それに加えて、助力を得られそうかも調べておきたいね。助力が無理でも、イルハダルとどこかがぶつかる情報を得られればそれを利用する手もある」


 そうしてレンセ達三人は今後の予定について話し合う。



 その後宿の食堂で夕食を取りその日は休むこととなるが。


「妾は朝まで宿を離れる。戻るのは夜明け頃になるじゃろう」


 トキナは部屋を出ようとしていた。


「トキナさんどうして? 疲れてないの?」


 心配したレンセが止める。だがトキナはレンセと彩亜の顔を見てこう言った。


「疲れておらぬとは言わぬが心配するな。封印されておった時に比べればなんでもない。それより……主らはやっとで再会出来たのじゃ。二人だけで話したいこともあるじゃろう。じゃから……今夜は二人だけで過ごしておけ。他のクラスメイトも助ければ、こういう機会もより取れなくなるじゃろうしの」


「トキナさん」


「ありがとう。……トキナいい人?」


「妾は……レンセに封印から助けてもらった恩があるからの。それに、妾自身主ら二人を再会させてやりたいと思っておった。じゃから気にするな。妾は二、三日寝ずとも平気じゃからの。ついでに街の様子でも見といてやるわ」


 そうしてトキナは二階の窓から街の闇へと消えた。



 部屋にはレンセと彩亜だけが残される。


「久しぶりに二人きりだね」


「……うん」


 レンセ達は飛空艇の後を追い丸一日近く飛行していた。その後も芹達を助けることのみ考えて動き続けている。そのためレンセと彩亜には互いの再会を喜ぶ時間もあまりなかった。


 だが芹達を助ける一定の目途が立ち、それを機にトキナも気を利かせて二人のそばを離れた。



 二人の顔が自然と近づく。


「……レンセ、愛してる」


「うん僕も。幼馴染としてとかじゃなくて、彩亜のこと世界で一番愛してる。……言うのがこんな遅くなっちゃったけど、この世界に来るずっと前から、ずっと彩亜のこと大好きだよ」


「……うん。知ってた。……わたしもずっとずっとレンセが好き。……知ってた?」


「……うん。知ってた。でもちゃんと言葉で聞くと、すごく胸があったかくなるね」


「……うん。……すごく幸せ」


 レンセと彩亜は甘い口づけを交わしあう。



 そしてこの日、二人は最後まで結ばれた。


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