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クラス丸ごと奴隷召喚 ~至高の黄金球使い~  作者: 濃縮原液
第1章 囚われの空中要塞
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10 対ボス戦闘

 訓練用迷宮の攻略は一日一階のペースで進んでいた。十日目となる今日はいよいよ第十層、ボスがいる階層の攻略である。


 地下第十層はダンジョンらしいダンジョンだ。


 白い壁に囲まれた大きな広間となっており、部屋の中に丸い柱がいくつも立って天井を支えていた。柱が邪魔なのかボスの姿は見えない。


 だがボスの放つ強烈な魔力が部屋全体を覆っていた。


 レンセは素早くスキルを発動。《気配感知》によりボスの位置を特定する。


「ボスは部屋の右奥にいる。こっちに気付いてないのか動きはまだないみたい」


 レンセは生徒達に注意を促した。だが。


「なら先手必勝だぜ! じゃあなレンセ!」


 剛とその取り巻きの生徒三人が先行してしまう。


「おい剛!」


 ナイトが叫ぶが既に手遅れであった。


「大丈夫だよナイト。剛は魔道士系だからそこまで接近はしない。剛がボスの気を引いてる間に僕達はボスの側面を狙おう。あ、彩亜はもう《不可視化(インビジブル)》で姿を隠しておいてね」


「了解」


 レンセの指示によって残りの生徒は剛達とは別方向からボスの元へと向かう。



 残りの生徒達を率いるリーダーはレンセである。


 レンセは感知系の能力を鍛えていた。そのため指揮官的なポジションとなっている。


 もちろんこれに反対する生徒は存在した。だが学級委員長のナイトが賛成したため多くの生徒はレンセの指示に従っている。


 ただし剛とその取り巻き達はこれに強く反発しておりその結果が今の暴走だ。


 だがレンセはその剛達の勝手な行動さえ戦術に組み入れ成果を出し続けていた。そのため十日目の今日には、剛達以外の生徒は皆レンセを信頼して指示に従うようになっている。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 レンセ達がボスへと近づくとすでに戦闘は始まっていた。


 第十層のボスは真っ赤な鱗を持つ巨大なワニのような魔物である。


 剛の爆撃魔法をすごい勢いで受けていたが、あまり効いてはいないようだ。


 レンセは《鑑定》のスキルを使いボスの能力を確認する。


「レッドアリゲーターLV20。口から炎を吐いて火に耐性があるみたい。剛の魔法は爆発だから無効化まではされてないけど効果が薄い感じはするね。逆にまゆの氷は有効なはずだよ」


「おう。頑張るぞー」


「うん。じゃあみんな行くよ。水樹、全員に補助をお願い」


「はい! 行くよ皆。スピードアップ! ディフェンスアップ! シールドアップ! パワーアップ! マジックアップ!」


 《付与術師》の職能を持つ高橋たかはし 水樹みずきが続けざまに補助魔法を発動させる。


「一気に魔力減ったよぉ……みんな後は頑張って」


 複数の仲間に対して魔法を連続使用し、水樹の魔力が一気に削れる。


「マジックリカバリー! 水樹大丈夫?」


「うんありがとう絵理香」


 《治癒術師》絵理香のMP回復魔法により水樹の消耗が回復する。


 そしてレンセ達もレッドアリゲーターを遠距離攻撃の射程に収めた。


「遠距離攻撃開始! まゆは氷魔法で奴の足を止めて!」


「了解だー! 出でよ氷柱、あいすぴらー!」


 《氷使い》まゆの攻撃魔法が発動する。レッドアリゲーターの左後ろ脚が氷の柱に覆われ地面にくっついた。


「敵の動きは鈍った! 私達も出ていいなレンセ?」


「うん! 芹、ナイト、陸はボスの左側を狙って攻撃して!」


「「「了解!」」」


 レンセの指示に従って前衛メンバーも攻撃を開始する。


撃裂剣(ゲキレツケン)!」


「大切断!」


 《剣士》のナイト、《斧使い》の陸が続けざまにスキルを放つ。


 ナイトの剣がレッドアリゲーターの左前足の付け根、陸の斧が左前足の膝へとヒットした。


「私も行くぞ。《影の監獄(シャドウプリズン)》」


 芹も《影使い》の能力を発動させる。足元にある影がレッドアリゲーターの方へと急速に伸びた。そこから黒い刃が無数に飛び出しアリゲーターの左わき腹へと突き刺さる。


「ゴラァァァァッ!」


 ダメージを受けた巨大ワニが地響きのようなうめき声を上げる。力任せに左後ろ脚を強く引き上げ、まゆのアイスピラーによる拘束を砕いた。


 レッドアリゲーターはそのままレンセ達の方へと向きを変える。その口に魔力が集まるのをレンセは感じた。


「ブレスが来るっ! 全員奴の前方から退――」


 レンセは素早くみんなに指示を出そうとした。だがレンセの感知能力がブレスの攻撃範囲を警告してくる。範囲が広すぎて全員は避けられない。


「芹達は回避! こっちは防御! まゆ! 絵理香!」


「了解だー!」

「任せて!」


 レッドアリゲーターの側面に回り込んでいた前衛はともかく後衛の回避が間に合わない。そのためこちらは防御へと方針を転換する。


「あいすうぉーる!」

「ライトシールド!」


 氷の壁と光の盾による二重防壁を展開。氷の壁は瞬時に溶けるが二枚目の光の盾によりなんとか炎のブレスを防ぐ。


「ゴォォォォォッ」


 攻撃を防がれたアリゲーターが大きな咆哮を上げた。ターゲットを後衛のレンセ達へと定め勢いよく走り寄ろうとしてくる。だが――


「ハッ、よそ見してんじゃねぇぞ爬虫類! 柱でも喰らいやがれ!」


 剛がボス部屋を支える柱の一本を破壊した。倒れた柱がレッドアリゲーターへと圧し掛かる。芹達も巻き添えになる角度だ。


「芹、ナイト、陸、後ろに下がって!」


 剛の行動を事前に察知していたレンセの指示により三人はなんとか剛の攻撃を回避する。


「僕達まで巻き添えにするつもりか剛!」


「ハッ、当たる方がとろくせぇんだよバーカ」


 仲間を顧みない剛の行動にナイトが怒る。だがレンセはここはチャンスだと思った。


 剛が倒した柱の下敷きとなってレッドアリゲーターの動きが一時的に止まっている。レンセはここで一気に止めを刺す決断を下した。


「いまだ彩亜! 首を貫いて!」


「了解」


 どこからともなく返事が聞こえる。


 そして突然、レッドアリゲーターの喉元から大量の血が噴き出した。


「……《死撃》」


 彩亜のスキルが命中する。


 《死撃》、相手のHPに関係なく当たれば一撃死も可能な技である。具体的にはHPによるバリアを貫通して直接相手の肉体にダメージを与えるスキルだ。


 バリアを突き破る為の大量の魔力とそれを貯める時間が必要なのがネックだが、当たれば必殺の威力を誇る《暗殺者》最強のスキルである。


 その《死撃》によってのど元を突き刺され、レッドアリゲーターは多量の血を流して息絶えた。


 血の海の横から《不可視化(インビジブル)》を解除した彩亜が姿を現す。



 こうして五分もかけることなく、生徒達は第十層のボスを倒すことに成功した。


 これは後ろで見ていたボコラムが舌を巻くほどの手際である。


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