Episode 2:例えば転生した先で使える魔法が特別だったと言う話
俺が転生してから三年がたった。
この三年間で俺はこの世界のことをいろいろ知ってきた。
まずこの世界はイグナリスと言って、三つの大陸からなる世界だと言うこと。そして、俺がいるのはそんな三つの大陸の中でも一番小さいグリスと言う大陸だと言うことだ。
「セナ!誕生日おめでとう!」
そんなことを考えていると横に座っていたトール兄さんが俺に祝いの言葉をかけてきた。
トール兄さんは俺の二つ上の兄だ。ちなみに俺の家族は両親とトール兄さん、それに一つ年下の妹のライラの五人家族だ。
父の名前はトーヤ、母の名前はラミアでなぜだか俺だけセナと言う関連性の無い名前なのはもう前世からの呪いかなんかなのだろうか…。
話がそれてしまったがトール兄さんの言うとおり今日は俺の三歳の誕生日だ。
この世界で三歳の誕生日と言うのは特別なものだ。
なぜなら自分が何の種類の魔法を使えるかがわかるのがちょうど三歳の誕生日だからだ。
そう、魔法だ。何を隠そうこの世界には魔法が存在していたのだ。
俺はこのことを知ったときから三歳の誕生日を楽しみにしていた。
「お父さん!お母さん!早く僕の魔法適正を調べてください!」
俺は物置から検査用の水晶を持ってきた両親に駆け寄る。
後ろから、トール兄さんがライラをつれて追いかけてきた。
「俺は水属性だったけど、セナはなんだろうな!」
俺の横に来て水晶を覗き込みながらトール兄さんがつぶやく。
迎え側にいる父さんと母さんもわくわくと言った感じで水晶を覗き込んでいる。
「い、行くよ?」
俺はドキドキしながら水晶に触って自分の体から何か気のようなものを水晶に注ぎ込む感覚で力を入れる。
すると、水晶は水色に光ってから何色ともいえない無色の光に変わって消えた。
「これは…!!」
「これって、何の属性なの?」
父さんの驚きを見て俺は少し不安になりながら聞いてみる。
もしかしたら俺には魔法の適正が無いのではないかと言う不安がこみ上げてくる。
この世界において魔法が使えないと言うのは致命的だ。
なぜなら、この世界では六歳から冒険者学校に通い二十歳までに最低一年はギルドに入って冒険者として生活しなければならないのだ。
これは世界の常識として奴隷以外みんなが守っている責任だ。つまり、この責任を破ると言うことは世間から奴隷扱いをされると言うことなのだ。
まあ、前世の記憶を持っている俺の場合最低魔法が使えなくてもどうにかなるとは思うのだが、せっかく魔法が存在している世界で魔法が使えないなんてことはあってほしくない。
「すごいぞ!セナはマギだ!」
そんな不安を他所に父さんはそう言って俺を抱いてきた。
マギとは二つの属性以上を使える魔法使いのことだ確か一万分の一ぐらいの確立で生まれてくるらしい。
そんなかなりレアな魔法使いに俺は成れたらしい。
俺はうれしさのあまり手を上げて喜んだ。
そして早速、夏休みで家に帰ってきていたトール兄さんと一緒に魔法の勉強をすることにした。
なんでも、マギは複数の属性を使うので普通の人よりも多くの時間練習をしないといけないのだそうだ。
ちなみに、俺が何の属性を使えるのかは父さんたちにもわからず翌日トール兄さんと行った近所の現役の冒険者の魔法使いのお兄さんに教えてもらった。それによると、俺の使える属性は水と特殊魔法だそうだ。
また、特殊魔法を使える魔法使いは一世代に一人しかいないそうでちょっとした騒ぎになったりしたけどそれはまた別の話だ。