王女のフレイ
16
日が射し込む。私は窓の中の世界しか知らない。物心ついた時にはもうここにいた。もう見飽きた風景だ。いつもと変わらない生活を、いつも通りこなしていくだけだ。
両親は18年前の流行り病で逝ってしまった。
王宮殿はいわば、孤児院だ。召使いから王女まで。私は先代の王女が退位したために選ばれた。
王女になる人間は、輝石と呼ばれるマナに反応して光る石を近づければ分かる。稀な存在で普通は王宮殿以外の場所から連れてこられる。
外の世界に興味があった私はいろいろな話を聞いて回った。退位する王女がいるらしく、新しく連れてこられる様だった。
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その子はベッドに寝かされていた。
状況が分からず、戸惑っていた。
「ゆっくり、理解したらいいのよ」
あの子はリアンという幼なじみの話をよくして、私は村の話を聞いていた。ある日、猿が遊びに来た。イルージュになつき、毎日来るようになった。
その猿が衛兵のパートナーだと分かり、調べ、転属願いも取り消した。近衛兵に昇格させた。
あの二人は仲良くやっているようだ。
18
ナナシという人物が世界というモノを知りたがり、話を聞くために毎日、通うようになった。
そんなに知りたいのならばと近衛兵にした。
やっぱり私が目当てだった。
「テラ、いい名前じゃない」