表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

天文部の秘め事 Ⅶ

「何を言っているんだ?西藤」

「ありのままのことを話すって言っているんですよ、湊屋先生」

「俺が何したっていうんだ!」

「二十五年前、ここには天文部部員がいた。そして、あるものを見てしまった。それは…死体です」

「えっ?」

「何で見えてしまったか分からないんですが、偶然にも見つけてしまった。そのことをこの部誌に書いた」

「でも先輩、何で死体があるって分かったんですか?この部誌にはそんなことは書かれて…あれ?裏に写ってる…」

「紙には書いてなくても裏に写るってことはあるわ。先生は紙は破ったけど、ここまでは見なかった」

「だが、証拠もない。それはどうするんだ?」

「さらに、先生はその天文部部員も殺してしまった」

「えぇ!?」

「ほら、最初にここに入ったとき、二人とも言ってたわね。『ここだけ壁の色が違う』って」

「まさか…」

「ここに、あるわ。死体がね」

「くっ」

「先生、ここを崩してみます?」




俺達はいつも仲が良かった。そして、いつの間にか彼女のことが好きになっていった。

だが、あの二十五年前、彼女は別の男と結婚した。

「どうして結婚したんだ?」

「そりゃあ女は結婚するものよ」

「俺は、お前が好きだ。ずっと、ずっと前から」

「もっと早く言ってよ。でも、私はあの人が好きだけどね。あなたと違って真面目で優しいし」

その時にフッと俺の意識がなくなった。気が付いた時には…彼女は血だらけで動かなかった。

どうしようもなく、とりあえず隠そうと思った。自分に一番身近な天文部の部室に。

そして隠して一週間後、不幸なことに部員達にバレてしまった。また、あいつらを殺した。だが、その現場を西藤先生が見ていた。

「湊屋先生、これは一体…」

その台詞が言い終わるか終わらないかぐらいに俺は先生を大事な、この部に一つしかない望遠鏡で殴った。

先生は気付いたときにはその前後の記憶がなくなっていた。

 だけど、死ぬ間際に先生は俺を訪ねてきた。そして帰り際にこう言った。

「湊屋先生、私は思い出したんですよ」

あの時、殺しておけば良かった。何で殺さなかったんだ!?

だから、俺はお前を先生の代わりに復讐することにした…。




「西藤、笑えよ!!こんなにも愚かな俺を!!」

「私は笑いません!!大事な人な人が離れるってすごく…悲しいです。それに、先生は私のお祖父ちゃんを殺さなかった。きっと、分かってたんじゃないんですか?殺すことの意味のなさを」




「千星、ごめん」

「いいよ、光が悪い訳じゃないもん」

「ありがとう」

「さぁ、忙しくなるわよ!顧問、ちゃんと探さなきゃ」

「あの部屋で活動か?」

「ううん。あそこはそっとしておきたいの。私達の先輩の思い出を」

「そっか」

「千星せんぱーい、行きましょう!」

「おいてくぞ」

「…うん!!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ