第十四章 同感7
オリジナル:http://blogs.yahoo.co.jp/kome125
神奈川のと或るこの病院は、異常な事態を迎えていた。
そう東京在住の人々が、続々と詰め掛けて来ていた。
東京都市部は、完全に都市機能が麻痺した為に、
徒歩や自転車などで、水害に遭った軽症者達が詰め寄せて来た。
ここで幾つかの、水害に対しての問題点が浮き彫りと成った。
まず下水だが、洪水時地下に溜まった水は、ジェットエンジンで神田川に、
吸い上げる仕組みだが、その肝心の神田川の水が掃き切れず、
溢れてしまったら、元も項もない。
二点、病院などの災害時の発電機は、地下に設置されている事が多く、
その地下に水が入ると、発電機は使えない。
三点、やはり利奈と近藤が体験した様に、下水機能が予想し得ない、
大量の水が地下で流れ、溢れた状態であれば、地下から地上に噴出した水は、
街をゆっくりと流れるだけだが、雨が引き下水機能が急に発揮されると、
街に溢れた水は、急に下水に返されそれが、急流になる事だった。
つまり水害は都市部では、二次災害の方が被害は大きかった。
そして意識が戻らないまま、三日目が過ぎた近藤。
病院はパニックで、すでに病院のモラルなど、従っている暇は無く、
後から後から、都内で水害に遭われた方々が、押し寄せて来た。
利奈は一頻り、近藤とベッドを共にして、近藤の体を温めていた利奈。
そう近藤が聖菜に行った事を、今度は生まれ変った、
聖菜である利奈が行っていた。
利奈は近藤の頬に、自分の頬を寄せて、
「私が、私が智彦の意識を戻すから」と、呟いて、自分の体で近藤の体を温め続けた。
だが智彦の心臓のパルスは、弱まるばかりであった。
それを見守る、会社の社員達であった。
利奈は必死に、智彦の心臓マッサージを行っていた。
そしてマッサージを止めると、心臓の数値を示すスコープモニターは、
直ぐに最悪のパルスを示すのであった。
何度も何度もそれを繰り返した利奈。
医師達は、次々にやって来る患者の処置で忙しく、
近藤まで手が回らなかった。
同じ繰り返しで、疲労が溜まる利奈。
時々社員達が心臓の蘇生を変わって、行って上げていた。
そして最後の力を振り絞り、利奈が心臓マッサージを続けて、
手を休めて、パルスモニターを見詰めた。
それは僅かな時に、起きた出来事であった。
一瞬パルスの数値が大幅に振れたが、その後数値はゼロを示した。
その瞬間近藤は、右手をベッドから自然に下ろすと、握っていた指を開き、
利奈の婚約指はが、カランと音を立てて床に落ちたのであった。
利奈はその時、智彦の胸に顔を埋めて、泣きじゃくったのであった。
近藤は、あの世に召されたのであった。
社員達は言葉をなくし、ただ帰らぬ近藤を見詰めるしか、手立ては無かった。
するとベッドの前に誰かが佇んだ。
ふと利奈は顔を上げると、シスターであった。
それは軽井沢の教会で見た、あの幻のシスターであった。
シスターは近藤を見詰めて、「聖菜、私の娘があなたを、
この世で不幸にさせたくないと、願っています。
だから一度だけで、あなたにこの魂を、この世で生かして上げます。
でも決してこの世で性を受けている間、この魂を粗末にしては成りません。
もし粗末にする様な事が有れば、この世からこの魂を奪いますよ。
粗末にしない事を誓いますか」と、尋ねられた利奈は、指を組み目を瞑り、
シスターに心から願いを込めて、「誓います」と、呟いた。
するとシスターは、両手で輪を作りゆっくりと開いて行った。
開いた所の輪が光輝くと、急にモニターのパルスは、大きく山を描いた。
そしてシスターは、消えて行った。
利奈はその時、近藤を見詰めた。
そして近藤は目を開けて、利奈の頭をなでて、「生きてるよ」と、呟いた。
その瞬間利奈は気が狂う様に、近藤にすがり着き、
声を上げて「智彦」と、泣き叫んだのであった。
周りに居た社員達も、皆涙を流して近藤の復刻を、称えたのであった。
すると紗江が、床に落ちた利奈の婚約指輪を掴み、
息を吹き返し、下に下ろした近藤の手に渡して上げた。
近藤は手を自分の顔の所に持って行き、
指輪を見詰めると、「利奈、もう一度俺と、婚約してくれないか」と、呟くと、
泣きながら利奈は、「はい、喜んでお受けします」と、誠実な態度で答えた。
そして利奈は近藤の前に、左手を差し出すと、
近藤は摘んでいた指輪をそっと、利奈の左薬指に嵌めたのであった。
万感な思いの利奈は、何も言わずただ近藤の胸に、自分の頬をよせて、
涙を流すだけであった。
この光景を目の当たりにした、会社の社員達もただ、涙するだけであった事は、
言うまでもなかった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




