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第十四章 同感2

オリジナル:http://blogs.yahoo.co.jp/kome125

夜、利奈と近藤はベッドを共にしていたが、利奈が泣いていた。



それは彰子の事であった。



自分の親友が刃物を顔に突きつけた事が、



聖菜だった頃の記憶から蘇ると、悔しかったからだ。



それを補う様に、近藤は利奈の頬に自分の頬をよせて、利奈を癒していた。



利奈は涙を流しながら、「悔しいの、彰子が私の頬に刃物を向けるなんて」と、



涙ぐむ利奈の瞼に、近藤は唇を着けて利奈の涙を飲んでいた。



瞼にキスをされる利奈は、より心が篤くなった。



近藤は、「俺も同じ気持ちなんだ。



少なくとも中学高校だった頃、聖菜が居たから、彰子は対人関係が上手く遣れた。



聖菜が彰子の仲間に取り持つから、彰子は仲間同士上手くと遣れた事は、



あいつもよく解っているはずなのに」と、悔やんだ。



利奈は一頻り涙を流し、それを近藤が瞼に口付けをしながら、



流す涙を飲んでいた。



利奈はその時、「智彦だって垣田さんが言う様に、今まで何不自由無く、



暮らしを立てて来たのに、それを忘れて智彦の私を糧に、



私を傷つけ様とするなんて」と、嘆き心を痛めたのであった。



智彦、「あいつの性格だから、いつか何処かでこうなるだろう。



若い時からあいつの性格の事では、



仲間内も業を煮やしていたからな」と、蟠るのであった。



そして利奈は、「彰子のあの言葉が頭を過ぎるの、



『あいつ、あんたが死んでから、あんたの家の布団で横たわる、



あんたの頬を愛しそうになでては、涙を流して自分の頬を、あんたの頬によせて、



『聖菜、聖菜』と、泣いていやがった。



今は生きた聖菜の頬に顔を寄せて、あんたはそれに対して、



強い安心感を得て、深い眠りに落ちるのだろ。



私に一度でも、そんな事はした事は無い。



そうだこれからちょくちょく、顔に傷を付けて、



智彦を苦しませてやる』」と、言われた事」。



それはまさに、今の智彦も同じ気持ちであった。



それは近藤にとっても、惨い仕打ちであった。



堪らなくなり、利奈を強く抱きしめると、



利奈も更に感情が高ぶるのであった。



そして近藤が、「ああ、何とでも言うがいいさ、



そうだ俺はこうして聖菜を抱きしめて、聖菜の体を温め、



いつまで死んだ事を認めなかった、未練がましい男さ」と、語ると利奈は、



泣きじゃくり、「それは智彦だけでは無かった。



仲間達は皆んな同じ気持ちだった。



そうこの間のあの海岸で、良ちゃんに抱きしめられ、



そして皆んなが私を囲い、私を暖めてくれた事、私は耐えがたかった」。



近藤はそんな聖菜である利奈が、愛しくて堪らなかった。



彰子の暴言は、二人の心を酷く傷つけたのであった。



近藤は利奈の頬に、自分の頬をよせながら、「辛かったさ、気が狂う程辛かった。



誰に当たれば気が済むのか、誰に訴えれば少しは気が晴れるのか、



まったく見通しが利かない毎日を送ると、俺は酒びたりで、



仕舞いには病院のベッドで寝かされていた。



それを彰子が補い看病してくれて、励ましてくれた。



そんな彰子を愛したから、なに不自由の無い暮らしと、



あいつを尊重して、一家を任せた結果がこの様だ。



家に居るのが嫌ならば、子供を預けて仕事に出ても、



構わないと告げていたが、



気が狂ってその結末が、こんな形で返されるなんて」と、



悲しみに尽き果てる思いであった。



利奈、「もう彰子は私の前に現れない」」と、



呟くと近藤は、「どうしてそう思う」と、



問い掛けると利奈は、「私の怖さ知っているもん彰子。



私、中学の時の聖菜でいた頃、彰子を本気でぶん殴った事が有るの。



彰子、当時女友達の一人に彼氏が居たの、



その彼氏が居た女友達に黙って、



女友達の彼氏に、意味深気な内容と、その女の子の嘘の浮気話、



手紙で送っていた事が発覚して、その女の子が泣いてしまったの。



私は頭に来て、その事に対して彰子に怒ったら、



『奪ったもの勝ちよ』って言ったの、だから殴ったの」。



近藤は呆れて、「自分勝手な理屈は、もうその時から始まっていたのか」と、



救い様のない彰子に初めてこの時、心の底から哀訴が尽きた近藤であった。


この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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