第十章 リベンジ
オリジナル:http://blogs.yahoo.co.jp/kome125
同じベッドで朝を迎えたこの二人は、近藤は起きて直ぐに、
キッチンでモーニングの準備を始めた。
テーブルには昨夜の出来事を、思い起こさせる様に、
包丁が置かれていた。
それをキッチンに持って行き、まな板を用意してそこに置き、
冷蔵庫からレタスを出すと、その包丁で刻んでいた。
そしてトーストをオーブンで二枚焼いて、やかんでお湯を沸かしていた。
その最中、利奈は起きて来て、キッチンに佇んだ。
すると近藤は、「座れよ」と、テーブルの椅子を指差した。
利奈は椅子を引いて、静かに腰掛けた。
そして俯きながら、「ごめんなさい、
迷惑をおかけしました」と、小さく頭を下げた。
近藤はキッチンで、作業しながら振り向いて、「利奈を自分のマンションで、
一人にしておいたら、もっと会社に多大な迷惑が掛かる所だったよ、
幾ら会社とはなんら関係ない、プライベートの出来事でも、
君の両親が嘆き悲しむ姿を、目の当たりにしなければ成らなくなる。
それは企画部一同全員だからな」と、忠告すると、
利奈はまた涙を流し、「それだけですか」と、問い掛けると、
近藤は、「昨夜約束したろ」と、告げると、
利奈は、「本当に犯さなかったのですね」と、涙を拭った。
それに対し近藤は、「そんな卑怯な真似はしないさ、失恋した事を糧に、
君との約束を破ってまで、無理やり犯そうなんて、ガキみたいな行為はしないよ」。
利奈はその優しさに心を打たれた。
だが昨晩の本当の利奈の気持ちは、光秀の思いを拭去りたくて、
めちゃくちゃに、犯して欲しかったのであった。
そして利奈は、「必ず見つけます、あなたの真実を。
あなたが話せないと言うのなら、私はこのフラッシュバックを頼りに、
あなたとのルーツを探ります。
その時はきっと、私はあなたを心から、
愛しているはずです」と、語ったのであった。
それに対し近藤は、「今は心の療養が先だ」と、言って利奈の前に、
作ったモーニングを、テーブルの上に並べて行くのであった。
そんな近藤を、深く愛して行く利奈であった。
そして日曜日、利奈は事情を伝える為に、
友人と会う事になった。
後二ヶ月で結婚と言う所を、全てキャンセルしなければ成らなくなり、
貸し衣装店にも式場にも、断りの連絡を入れる破目になってしまい、
とても辛い思いであった。
光秀もあれから、利奈の前に姿を見せず、携帯での連絡すら来ない有様で。
利奈の方から連絡を入れても、音信不通で、
携帯からは、[現在この番号は、使われておりません]の、
アナウンスが流れるだけであった。
光秀の住んでいるアパートに出向いても、いつも留守で、
利奈はアパートの、光秀の部屋の合鍵は、持っていなかった。
なのでアパートの部屋で、帰りを待つ事も出来なかった。
唯一の救いは、光秀に自分のマンションの鍵を、渡していない事だけであった。
仕方なく利奈が後始末を、行わなければ成らなくなり、
慶子の企みで、態と携帯を変えさせられ、自分に会わせない様に、
借金を片棒に脅されていると思った利奈。
そう思うだけで、やるせない思いであった。
そして友人達とファミレスで、落ち合っていた。
輝美がため息を付いて、「光秀君、優しいけど昔から噂は遭ったのよ、
大学在学中も、女友達はそこそこいたけど、本命があいまいで、
その内、着いて来る女もいなくなって、一人ポツーンと講義受けていたわよ」と、
利奈の顔を伺った。
清美も光秀の事を、「結局、あの男は優しさは売りだけど、
ろくでなしで何に対しても、だらしが無くて、出来るのは仕事だけだった。
でもその仕事も、今では海外に仕事を取られて、
挙句の果ては社長の娘に嵌められて、追い詰められて言い訳出来ずに、
あっさり利奈を手放した訳か」と、光秀を非難した。
美奈も頼んだカフェオレを、ストローで一口飲んで、
利奈を見詰めて、「結局女神のお告げを、
追求するからこう言う事に成るのよ。
もっと疑わずに、神話を聞き入れれば、
泣く事には成らなかったのよ」と、咎めた。
利奈は俯いて、「そんなの無理よ、現に二年前から、
光秀に社長の娘である慶子は、多額の金を融資していたのだから。
例え私があの時、女神から素直に神話を受け入れ、
信じてめでたく結婚していても、あの女は借金を片棒に、
どんな形であれ、光秀を脅かして来るはずよ」と、解いた。
輝美、「確かに結婚してから、その事実が発覚したなら、
もっと最悪な結果を招いたわね」と、腕を組んだ。
清美、「最悪、裁判ね」と、呆れてため息を付いた。
美奈、「それで利奈、よく自殺しなかったわね。
気が小さいあんたが」と、言うと利奈は、「自殺は未遂に終わったの」と、語った。
友人は全員同時に、「へ」と、驚いた。
すると輝美は、咄嗟に利奈の左手首を掴み見詰めた。
輝美、「何も傷ついてや、しないじゃない」と、
答えると利奈は、「止められたの」と、一言呟いた。
清美は、「まさかあんた、会社で皆んなが見ている前で遣ったの」と、激怒した。
利奈は、「そうじゃない、近藤さんの家に夜、一緒に連れて行かされて、
居間に布団を敷かれて、『ここで今日は寝ろ』と、言われたの。
私が夜、喉が乾いて起きたの。
その時キッチンで包丁見つけて、手首を切ろうとしていたら、
近藤さんに手首を掴まれて、事なきを終えたの」と、語った。
すると輝美は、「本当の預言者は、その近藤さんじゃない」と、呆れて言った。
利奈、「そうなの、彼は何か私と繋がっているはず。
だからこれから、その真相を探りに、私の脳裏に起きる、
フラッシュバックを宛てに、有給休暇を取って、旅に出てみようと思うの」。
そんな利奈に美奈は、「宛ては有るの、無闇に旅に出ても、
真相は把握出来ないでしょ」と、美奈も腕を組んだ。
利奈は、「宛ては有るよ、昨日もどこかの山の中を、
二人で車で走っていたら、軽井沢と言う看板が、
出て来たフラッシュバックが起きたの、だからそこに行けば、
何か手掛かりが掴めるはずだから」。
すると輝美は、「何で直接、その真相を近藤さんに聞かないの」と、尋ねると、
利奈は、「頑なに拒むの、真実を語る事を」と、語ると、
友人は同時に、「ふーん」と、言いながら首を、立てに振ったのであった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




