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明智日向守光秀

夢かうつつか…わしは燃え盛る本能寺をみてふと思った。今まであらゆる大名が束になっても倒せなかった信長がこうもあっさりと誅されたのか・・いや、信長は生きているのかも知らぬ。わしはいてもたってもいられず本能寺へとまっすぐに駆けながら、なせ、信長を誅そうとしたのかを思い出していた。

「上様、朝廷より、三職推任がきたとはまことですか」

「うむ。」

三職推任とは朝廷より、将軍か、関白か、大政大臣かを受けるようにいわれることだ。

わしは天下を泰平に導いた信長ならば平氏であっても将軍になってもおかしくはないと思っていた。しかし次の信長の答えは予想だにしてはいないものだった。

「どれも受けぬ。」

「なんと、しかしそれではどうやって日の本を治めるつもりで」

「わからんか、キンカン」

信長はふん、と鼻をならした。

「天皇がこの乱世をおださめるのになにをした。」

「いえ、とくには」

「だろう。それなのにのうのうと御所に居座るなんていうのはおかしいだろ」

このときは信長が何を言いたいかわからなかった。否、わかっていたが、考えないようにしていたのだ。

「御所を焼き払い、天皇になる」

わしは鼓動が激しくなった。

「光秀、わしはそなたを今度来る家康の馳走役とするが、途中でお役ごめんとし、サルの援軍とする。」

「羽柴殿の・・・」

「そうじゃ、しかし山陽に行く途中軍を反転し京にいき、御所を包囲しろ。わしはすぐ御所に向かうため本能寺におる。」

わしは口がひきつった。

「その後、わしの下知により、御所を焼き払う。心配するな。大騒ぎする京の治安維持は信孝の四国遠征軍にまかせる。」

そうか、なぜ四国遠征軍を出発させないかその答えがわかった。

「わしはその後、安土で天皇に即位する。そのときの式は光秀、おまえにまかせる。」

「は、ははあー」

わしは汗だくになりながら平伏した。

その後、家康殿の馳走役をうけたがお役ごめんとされ、羽柴殿の援軍とされた。

どうしようか・・・・

このまま山陽に向かうか、もしくは京に向かうか。いや、もうすでに羽柴殿に話はついているのだろう。もうどうすることもできぬのか・・・・

いや、ある。御所を焼かずにすむ方法がそれは、信長を誅すこと。だが、それでは謀反人の汚名を・・・いや、天皇を殺める謀反人よりましだろう。わしは決心すると家臣たちにこの旨を話した。

「殿、まことですか」

先に声をあげたのは従兄弟の秀満だった。

「ああ、あのような謀反人は誅すべしだ。」

「しかし、天皇を殺めるなどそんなだいそれたことを上様が・・」

「拙者は賛成です。このようなこと許せるはずがございます。」

藤田行政が正論を吐く。これをいわれればだれも発言できない。わしは立って宣言した。

「信長、誅すべし」

その後、雑兵の前にたち宣言した。

「敵は西ではなく、本能寺にあり」

利三は大声を発した

「殿はこれより天下様になられる。ものどもかかれ」

兵たちは天下という言葉に狂喜した。

夜中、本能寺

いよいよか・・・信長は思った。尾張のおおうつけが天皇になる。だれにも予想しなかっただろう。信長はやがてくる大いなる災厄を予想だにしなかった。

ドヤドヤドヤ大きな音が響く。

「なにごとか!」

「上様、敵襲です。桔梗の旗です!」

「なに・・・」

光秀め、臆したか・・・信長はほぞをかんだ。が次に明るい顔をうかべこういい放った。

「是非におよばず」

信長は弓をとって戦い、尽きれば、槍をとった。信長にとって、自ら槍をとって戦うのは桶狭間以来だった。

やがて敵が多くせまりもう無理だと悟ると奥の部屋に下がり刀をとって首にあてた。

「人間五十年下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり」

信長は敦盛を歌うと背筋を伸ばした。

「・・・・さらばだ。浮き世」

信長は刀をひきこの世をさった。享年49

本能寺は炎でつつまれた。御所をつつむはずの炎によって。

「探せ!なぜ信長の首がみつからん!」

わしは金切り声をあげた。

「上様、もう無理です」

利三が落胆したようにいう。

その後、うわさはたった。信長はいきていると

さらにわしを追い詰める報告がきた。

「なに!羽柴軍が姫路に!?」

「ありえぬ、なぜこんな速く・・」

それは信長の指令のよることだった。

姫路城

「さあさあ、この姫路の食料を食って逆賊明智を打ち払うぞ」

おおーと秀吉の宣言に兵士たちが応じる。

横で黒田官兵衛が耳打ちする。

「殿、ようござりましたな。まさか上様の指示が役立つとは」

「うむ、天皇死亡による播磨以東の騒ぎをおさえるため、すぐ軍を反転させる準備をせよ、というな」

「まこと、ようござりましたな。天皇は死なず、殿は天下人。」

「まだ速いわ」

秀吉が鼠のような笑みをうかべた。

戦いがふりしきる雨のなか始まった。しかし、わしら明智軍一万六千

羽柴軍四万。さらに小高い天王山をとられているとあって、もう、結果は見えていた。しかし、倍以上の戦力差がありながら奮戦し、戦いは互角だった。しかし薄い左翼を敵につかれ我が軍はくずれた。

「申し上げます。藤田行政様、あえなき御最後」

「申し上げます。斎藤利三様、お討ち死に」

くそ・・・もうおしまいか

「上様、逃げて再起をはかりましょう」

逃げても再起をはかる気はなかった。ただ家族と会いたかった。ふりしきる雨の音が首だけになった信長の笑い声にわしは聞こえた

<完>

























信長、誅すべし これで終わりです。読んでくれてありがとうございました。

次は、野望の花は休載しようと思います。

そのかわり新しい作品を連載しようと思います。

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