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朝倉左衛門督義景

まったく、儚いな・・・・あれほど栄えた一乗谷も、それと共にあった朝倉家も滅びようとしている。これこそ天命なのかなと、朝倉左衛門督義景は思った。義景は、傍らの奏者鳥居兵庫助景近に言った。

「景近、今までついてきてくれてありがとう。、礼を言う。わしは自害する。」

「おやかた様、なにを仰いますか。おやかた様さえ、生きていれば朝倉復興は必ずなります。」

「ああ・・・・」

義景は力なく頷いた。義景は、意志が弱かった。だが、ひとつだけ義景には譲れないものがあった。それは一乗谷の民を守ること。それだからこそ、義景は13代将軍足利義輝の弟義秋上洛要請をしたときも無視したし、義秋が信長に担がれて15代将軍になり、朝倉家に上洛命令をしたときも無視した。が、しかしそれがあらたな、戦の種をまくという行為に過ぎなかった。ようは、優しすぎたのだ。と景近は思った。信長をみればいい。あいつが生まれた土地清洲を愛しているとは思えない。あれこそが戦国大名だ。ならなぜ景近は義景に従ってきたのか。そんなことはしらんと景近は思った。

「ふ、信長、誅すべしか・・・・」

義景が自嘲気味に呟いた。

「景近よ、信長と争ったのは、正しかったのか?」

「それがしにも、わかりませぬな」

それが義景と景近にとっての正直な感想だった。

朝倉の誇りのためにはよかったのだろう。しかし、現に朝倉は滅びようとしているし、いや、義景にとっては、軍役と重税によって一乗谷の民は、疲弊したことを嘆いているのだ。が、戦国大名なのだ。そんなことは当たり前ではないか。

この優しさが朝倉の当主にえらばれたゆえんかと景近はふと思う。

朝倉当主の座はかつて、義景と景鏡によって争われていた。が、先代の妻の一声で当主は義景に決まった。

「景近よ、なにがおかしい。」

「いや、なにも・・・」

景近は、この優しい当主をみていると、微笑ましくなってくる。

「景近よ、わしは天下などほしくはなかった。」

「はあ・・・」

景近は思い出した。かつて、反信長派は信長を殺しかけた。織田軍が野田・福島に龍興と本願寺を滅ぼしにいってる間、浅井朝倉連合軍が京を奪いにいった。信長にもう逃げ場なし。だが、信長は常人に想像できない手段できた。それは、天皇による和睦命令。

信長は和睦の場で義景に土下座してこういった。

「天下は朝倉殿がもちたまえ、我に2度と望みなし。」

これで義景の気をそぎ和睦とした。

だが、この和睦に反対のものもいた。景近もそのうちの一人だった。だが、景鏡は和睦に賛成した。

「この和睦により我が朝倉は、天下の執政。早々に兵をひくべきかと。」

ようは、戦いたくないというだけだった。だが、これに義景が賛成した。

義景は、このことを後悔しているのだ。

「景近、この寺によるぞ。」

「なぜです?自害はおやめください。」

「いいから、よるぞ!」

いつにない義景の大声に景近は圧倒された。

義景は寺のなかで目をつぶっており、おもむろに言葉を発した。

「わしは、5代続いた朝倉を滅ぼした。先祖に謝りたきゆえ自害する。」

景近をは慌てて、義景の腕を掴んだ。

「おやめください!おやかた様の死は、民のだれも望んでおりませぬ!」

景近は大声を発した。が刹那それをも打ち消す大声が響いた。

「よく聞け!!!義景、そなたの悪政で一乗谷の民は疲弊しておる!民になりかわり、まことの朝倉家当主朝倉景鏡が成敗しに参った。!!!」

その後ろでは、景鏡軍の兵士が口々にものをいっていた。が、それらはすべて義景を侮辱する言葉だった。義景は泣いていた。裏放られたからではない。愛する民に侮辱されたからだ。

「・・・・景近、介錯をたのむ・・」

「御意・・・・」

景近もそう言うしかなかった。

「殿、拙者からすれば、殿こそ一乗谷の主です」

「そうか、礼をいう」

それが最後の言葉だった。景近は、武具をとり、馬にのり景鏡軍に突撃した。なぜ、そうしたのか、許せなかったのだ。自分の主人の、優しき当主義景を殺した景鏡を。

景近は体に何本もの弓をうけながら、景鏡軍の兵士を撫で切りにした。が、力尽き、首を取られた。

現在、景近の墓は義景の墓の隣に寄り添うようにしてある。

























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