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紫音の少女 郷愁  作者: 柊 潤一
向日葵の中で
7/41

昨夜は久し振りのお酒で、大騒ぎをした。


 カレンお婆もマイクもジャネットも、紫音という家族が増えたことを喜んでいた。


 紫音も破目を外して飲んだ。


 皆が酔い始めた頃に、ジャネットが歌を歌い、カレンお婆がその歌に合わせて踊り出した。


 マイクはギターを持ってきて、ジャネットの歌に伴奏をつけた。


 ジャネットが歌い終わると、マイクがギターを弾きながら歌った。


 マイクの次に紫音が立ち上がり、綺麗な旋律の歌を歌い出した。


 紫音の声は、身体の隅々にまで染み込み、心の底まで洗っていくようだった。


 そして暫くすると、部屋に漂う紫音の声が、透明な緑色の霧になり、段々とシャボン玉のようになっていった。


壁や身体に当たった緑色の透明な玉は、ゴム毬のように跳ね、又ふわふわと部屋を漂って消えていった。


 みんな紫音の歌を聞きながら、その様子に見とれていた。


 その時、玄関のドアを叩く音がした。


「こんな時間に誰だろう?」


 マイクが言うと、紫音が歌を止めて


「多分、私のお客様だわ。開けてあげて。」


 と言った。


 マイクが立ってドアを開けに行くと、ドアの前には、五・六匹のふくろうや狸や、熊がいた。


 動物達は、驚くマイクの横を通り抜け、部屋の中へ入ると、挨拶のつもりなのか、神妙な顔で一声鳴き、紫音の周りに集まった。


 紫音は又、歌い出した。


 動物達も、紫音の歌に合わせて高く低く鳴き出した。


 それは、ほのぼのとした人間と動物のコラボだった。


 部屋にいるみんなは、同じ生き物として紫音の歌を聞いていた。


 歌が終わり、三人は手が痛くなるまで拍手をし、動物達は床をバンバン叩いた。


 その後、マイクが賑やかな曲を弾きながら歌い、みんなそれに合わせて踊り、動物達も一緒に飛んだり跳ねたりして踊った。


 狸と熊は器用に後ろ足で立ち、手足を動かして踊っていた。


その滑稽な踊りに、みんな声をあげてゲラゲラ笑った。


そんなふうに、人間と動物達の楽しい宴会は、深夜まで続いたのだった。

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