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紫音の少女 郷愁  作者: 柊 潤一
流転の中で
40/41

家族

 主屋にはカレンお婆と、農作業を終えたマイクとジャネットの全員が揃っていた。


「いま、帰りました」


「あら、紫音おかえり。ねぇねぇ、今日はどこに行ってたの?」


 ジャネットが待ち構えていたように聞いてきた。


「革命軍と一緒にいたわ。昨日もよ」


「やっぱりだわ。今日町へ行ったらね、大変な騒ぎだったのよ。革命軍のリーダーの声が頭の中に聞こえてきたり、空から大きな声で聞こえてきたり、お城が沈んでしまったりとか、軍神が革命軍の味方をしたのは本当に神を味方につけたとか、いやいやリーダーのゾロは魔法を使ったのだとか言ってたのよ。でもね、私はきっと紫音の仕業だと思ってるのよ。そうでしょ?」


「ええ、全部私がやったのよ」


「やっぱりね。凄かっただろうなぁ。私も見たかったなぁ。ねぇねぇ、大きな軍神なんて、どこから呼んできたの?」


「あれはね、土で作って膜で包んで、中の空気を抜いて固めてそれを動かしたのよ」


「へぇー。じゃあさ、頭の中に声が聞こえてくるのは?」


「あれはね、どう言えばいいかな。声っていうのはね空気を震わせて、それを耳の鼓膜が受けて頭が言葉に変えてるのよ。それと同じ様にね、耳には聞こえないけど遠くまで届く振動を使って頭の神経に直接伝えるのよ。だから、頭の中に聞こえてくるの」


「ふーん。じゃあ、城が沈んでいったのは?」


「あれは、城の下の土を抜いたのよ。城の下に穴を掘ってね、そこに強い振動を当てて土を柔らかくして吸い出したのよ」


「へぇー、紫音ってほんとに何でもできるのね。いいなぁ。羨ましいなぁ」


「ところで・・・」


 ジャネットの質問攻めが一段落したところでカレンお婆が言った。


「国王はどうなったんじゃ」


「牢に入ってます。戦争の怖さを嫌というほど体験させてやりましたからね。今頃はいろいろ考えている事でしょう」


「そうか。革命軍のリーダーは国王を殺しはせなんだんじゃな」


「ええ、あの人も私と同じ考えでした」


「それを聞いて安心したぞえ。これからはゾロ?じゃったかの。あ奴が国王になるんじゃろうが、人の生命の大切さを知らん者は信用出来んからの」


「あの人なら大丈夫だと思いますよ。これからきっとこの国を良くしていってくれるでしょう」


「そう願いたいもんじゃ」


「さあ、じゃ夕食の用意をするから紫音も手伝ってくれる?」


「ジャネットや、紫音は疲れてるじゃろうから無理を言ってはいかんぞえ」


「いえ、大丈夫ですよ、お婆さん。私も手伝いたいの」


 ジャネットにとって、そして紫音にしても、二人はただの仲の良い兄弟のようなものだった。


 紫音にはそれが嬉しかった。


 食事が終わり部屋に戻った紫音は、しばらく行っていない東の国のことを考えながら眠りについた。






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