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紫音の少女 郷愁  作者: 柊 潤一
流転の中で
28/41

三人の秘密

 二つの物を合わせて、すぐにはなんの変化もなかった。


 が、見ていると徐々に合わせ目が消えていき、二つの物が完全にひとつになった時、店にいた筈の三人は違う場所にいた。


 それは、三人が違う場所に移動したのではなく、ひとつになった物から三人の頭の中に送られている映像のメッセージで、これを作った人と同じ遺伝子を持つ者が受け取れるものだった。




 その場所は、この星とは違う星で美しい風景だった。


 三人の頭の中に、映像と一緒にその星の歴史自体が次々と浮かんで来た。


 その星に住む人々は、みんな何かの能力を持っていた。


 例えば、意志だけで物を動かす力や、相手の体の中を見て細胞の異状を治す力、好きな場所へ瞬時に移動する力、違う場所へ移動出来る扉を作る力、などそれぞれに力の強い弱いはあったが何かしら持っていた。


 そしてそれに見合った力を職業としていた。


 その中で、すべての力を持つ者が数人おり、その中から選ばれた一人が国王のような役割をして、それ以外の者が補佐をしていた。


 平和に暮らしているこの星も、以前は争いが絶えず起こっていたが、欲望に支配される自分を変革する方法を見つけた者が現れ、自分の生命と他者の生命の尊さに目覚めた人々が増えるにつれて、戦争という力を使う交渉から、お互いを理解する方法で争い事を解決するようになっていった。


 そして長く平和が続いていたが、やがてその星の寿命が尽きる時が来て、全ての人が他の星へ移住する事になった。


 多くの船を作り、移住先の星へ人々は移って行ったが、不幸なことに何隻かの船が移動の途中でコースを逸れブラックホールに飲み込まれてしまった。


 船の人々は逃げられないと悟った時に、船を捨てて移住先の候補にあった一番近いこの星に瞬間移動をしようと決めた。


 だが、近いといってもかなり離れていて、二人若しくは三人の者が力を合わせて一人を送るのがやっとだった。


 そして、選ばれたものが他の献身的な犠牲で、この星に送られてきた。


 最後に、船に残った人々のメッセージが流れてきた。


 その時に、紫音は自分で封印していた記憶を思い出した。


 彼女は、数少ないすべての力を持つ者の一人だった。


 紫音の両親は二人とも瞬間移動の力を持っていたので、両親の力で紫音はこの星に送られてきた。


 両親の犠牲で、自分が生き長らえる事に耐えられなかった紫音は、記憶に蓋をしたのだった。


 次々と流れてくるメッセージの中に懐かしい両親の顔があった。


 紫音は泣きながら両親のメッセージを見ていた。


 すべてのメッセージが終わり、三人はまた元の店にいたが、紫音は顔を覆って泣き続けていた。








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