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紫音の少女 郷愁  作者: 柊 潤一
向日葵の中で
18/41

紫音の秘密3

「むうぅ」


 ジャンヌお婆は水晶玉から手を離し、宙を睨み腕組をして、何やらじっと考え込んでいた。


 それから、水晶玉を上から横からと、いろんな角度で覗き込んだあと水晶玉に手を当てて


「ふぬっ」


 と気合を発した。


 水晶玉の中では赤、青、黄、三つの丸い物が出てきて、まるで生き物のように飛び跳ねていた。


「ほほお・・・元気に跳ねとるわい」


「ジャンヌよ、何をしとるんじゃ」


 ジャンヌお婆の言葉を待っていたカレンお婆が、しびれを切らせてジャンヌお婆にたずねた。


「ん・・・いや何、水晶玉の具合を見とるんじゃ。お、そうじゃった。すまんすまん」


 ジャンヌお婆は紫音に向き直った。


「おぬしの求めておる答えは東の方にある。おぬしは東の方に縁がありそうじゃな。東と言っても遠いぞえ。この大陸から海を超えて更に東の方じゃ」


「そこに何があるんですか」


「何かはわからん。分からんが、おぬしは何かの答えをずっと探し続けておるじゃろ。その答えがそこにはある」


「もうちっと、どの辺りとか詳しくはわからんかのぉ」


 カレンお婆がたずねた。


「わしには分からん。が、そこへ行けばこの娘が自然に見つけるじゃろ。水晶玉のあれはもともとこの娘が出して見せたものなんじゃ。わしは手助けをしただけじゃぞえ」


 そう言ってジャンヌお婆はまた水晶玉を()めつ(すが)めつ眺め始めた。


「まったくこ奴は、面白いものを見つけるといつもこうじゃ」


 カレンお婆はやれやれといった様子で苦笑いをした。


「ジャンヌよ、おぬし今晩わしんとこへ来んかえ。一緒に飯を食おうぞ。一人でろくなもんも食っとらんじゃろ」


「おお、それはええの。じゃがおぬしの所まで行くのが面倒じゃな」


「それは心配せんでええ。紫音があっという間に連れてってくれるぞえ」


「ほぉ、そうか。それじゃ行こうかの」


「よし、決まった。それじゃわしは市場で買い物をしてくるからの。戻ったら行こうぞ。紫音も一緒に来てくれんか」


 カレンお婆と紫音は出ていき、市場で買い物を済ませ戻ってきた。


「戻ったぞ。ジャンヌよ行こうか。紫音やあれを頼めるかえ」


「わかりました」


 三人は店へ降りて、紫音が店の中にカレンお婆の家へのゲートを作リ始めた。


「おお、そうじゃ。戸締りをしておこう」


 ジャンヌお婆が玄関へ行っているあいだに、店の中にはドア一枚分の空間が現れ、向こうにはカレンお婆の家が見えていた。


 戻ってきたジャンヌお婆が


「ほほぉ・・・」


 と、感心して見ているのを


「さあ、行くぞえ」


 とカレンお婆がせっつき、ジャンヌお婆は


「おお、そうじゃ。水晶玉を持っていかねば」


と慌てて水晶玉を抱きかかえ、三人はゲートをくぐってカレンお婆の家の前に出た。






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