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『X・OVER WORLD』  作者: 工人
第一章『近代魔法世界編』
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第三話『定められた運命』

 しばらく更新が不定期になることをお知らせしておきます。



 さて。今回は唯貴君とリアン君のバトル風の話です。

 あくまで風なのは、内面描写が主で場景の描写が殆ど無いに等しいからです。まあ、仕様であるということで今回は一つ。


 なお、作中では独自のようなそうでもないような神話や英雄譚が登場する予定です。確実とは言えませんが。

 ――自由意志なんてものは錯覚に過ぎない。

 全ては必然によって選択されていく。

 意志なんて、意識の表層で生まれる錯覚といってもいい。

 例えば貴方は今、死の間際にいるとする。

 まあ死の間際とはいっても、余裕で回避が可能な場面だ。

 この場合、貴方は死を回避するか否か。

 普通は回避する。生物の本能として、貴方個人の理由として、死を選びはしないだろう。

 これは必然だ。

 そしてそれを踏まえて思考すれば、逆説的に考えて『死を選ぶ人間には、生を選ぶ理由がなかった、もしくは死を選ぶ理由があった』ということになる。

 これも必然だ。

 つまり、そこに『理由』というものが付属する限り、決して自由に決められた結果だとは言い難い。

 しかも、例え理由なく選択したように見えても、そこには必ず選んだ、ないし選ばなかった理由があるとも考えられる。

 因果説、決定論的な考え方だ。


 人間の脳にも同じ事が言える。

 他人の行動を予測できるのはその為だ。

 個人の癖、行動パターン、思考パターン、知識や経験などの判断材料、エトセトラ、エトセトラ。

 そういったものを元にして考えることこそが、知性というものなのだから。

 そうでなければ世界は混沌の坩堝と化していただろうし、人類は一時間と経たずに滅んでいたのだろうから。

 だからこそ、声を大にして言おう。

 人間なんて、与えられた刺激に規定のリアクションを返すだけのロボットだ。

 ロボットと違うのは、人間はそれを自分の意思であると思い込んでいるということだけ。

 この世にあるのは、本当の意味での自由ではない。

 尤も――自由のという言葉の意味なんて、それこそ人によって違うのだけれど。





第三話『定められた運命』





 眼鏡の位置を直すと、頬を撫でて風が吹き渡っていった。

 外套が風にはためくままに、胸元に手を伸ばし服の中からチェーンを引っ張り出しておく。

 ジャラリと音を立てて垂れた黒い指輪が、気温に従って再び冷えていく様だった。

 勿論それは目には見えない。だけど、そこには確かに温もりがあった。

 戦いに身をおかなければならない今、急速にその熱が冷めていくように感じている。

 ――ボク達は、研究所から丘の上に来ていた。

 周りには真遊と養父、その他の警務官の皆々様方。

 ボクと彼の魔法決闘を観戦しようという気らしい。

 そして当事者である彼――リアンヌ=エルスィーネ少年、通称リアン少年は、ボクの前に対峙していた。

 目を閉じ、傍から聞こえる観衆の声に耳を澄ます。

「しかしいいんですか隊長? リアンの奴、新人ではありますがあれでも戦闘資質だけなら外套警察(うち)でも人一倍です」

「この場には、殺傷出来ないように訓練用結界装置を使っている。この中では、例え『A級魔女』レベルの自己魔力を持っていようと相手を傷つけられん。せいぜい気を失う程度で済むさ」

 養父の説明に、周囲のお祭りムードが更に上昇。

 部隊でも図抜けた実力を持つ期待の新人リアン。

 志渡の養子であるあの(・・)夜城。

 熟練の魔女連中は、観戦には値すると見たらしい。

 まあ魔女とはいっても男連中がほとんど。

 今生では男だし、『夜城唯貴(このカラダ)』にはソッチの趣味はないようなので別に嬉しくもない。

 肉体のない本来の精神体の状態であればどう転ぶか分からないというのは不安要素ではあるが……

「――何をやっているのですか少年!!」

「……げ」

 突然の呼び掛けに振り向くと、そこにいたのは観衆から身を乗り出した明石少尉だった。噂をすれば女性である。

 面倒な……(シチカ)から派遣された人間は持ち場がないから、こちらの事件の調査にも来たのだろう。これだから『特務課』の連中は……。

 まあ、この人が悪い訳じゃないんだけど。

「左門さん、あの人ちょっと押さえてて」

「あいさー」

 これでよし。

「え、そんな、なんで貴女が――」

「はいはーい、前科一犯になりたくなかったら黙って見てようにゃー」

「うっ……いや、そもそも私は人探しに……それにあの少年は……!」

「見てれば分かるよー、唯ちゃんは天才なんだー」

「いえそうではなくて……」

 唯ちゃんじゃない。

 そんな言葉を敢えて口に出さないまま、視線を正面に戻す。

 相も変わらず相対した相手は、静かに、拳銃型魔動機を構築し終えた所だった。

 先の戦闘で真遊に対し使っていた物とは完全に別型。

 おそらくは自作のカスタム機だろう。結構な技術を持っているのが見て取れる。

 大気中の魔力素――世界魔力(マナ)と呼ぶ――を物質化させることで構築出来る機能を実装させるのは、たかが拳銃サイズとはいえかなり高い技術力が必要になるのだ。

 ……見た限りで把握できた機能は少ない。

 大気中等、外部から魔力の供給を受け、大容量かつダウンサイジングされた魔力コンデンサでそれを貯めておく。圧縮率を高める装置で圧力を高め、二つを魔力素の持つ特性を前提にした相互作用させることで瞬間的な爆発力を効率的に向上させる。更にソフトウェアとハードウェアが高いレベルで融合しているのは間違いない。おそらくOSも専用のもので彼の自作――

 ………………ああ、いや、つい熱くなってしまった。

 『何言ってるか分かんない』とは、研究中のボクに対する相槌のことである。

 反省。

 つい解析系の技能(スキル)まで使ってしまった。生身の人間が初見でソフトまで読み取ってたまるか。

 科学にも魔導にも当て嵌まらない転生者の能力(スキル)は、下手をすればこの世界ですらオカルト扱いである。

 万が一にバレたりして自分から不幸になるつもりはない、自重せねば。

 えーと、結果を要約する。


 本来、大気中の魔力素は無色で不安定な為、個人が持つ固有特色のある魔力と混ぜて染め上げることで安定させて利用する。


 ただし、人の固有特色を持つ自己魔力は、他人にとっては毒である。


 魔力素と生物の精神活動は感応し、互いに影響を与え合う。故に魔力自体の強さは、精神の強さに由来する。


 ……これら魔動科学の基礎理論を前提に考えてみる。

 つまり、あの拳銃は大気中の無色で無害な魔力素を蓄積。

 使い手の魔力を少量使い特殊な方法で圧縮。

 無色な魔力素が不安定であるという性質を逆手にとって、人為的な暴発により瞬間的な出力を得る。

 引き金を引いた瞬間周囲に複数の魔法陣を展開、そこからの一斉射撃で殲滅、といった所だろう。

 一目見た限りではそれ以上の機能までは見極めきれない。

 ――だが、十二分。

 いくらカスタムしようと、既存の技術から抜け出せない以上は、ボクには敵わないのだと証明しよう。

 ――君は専門家だが、ボクは発明家なんだよ。

「ボクは自作の魔動機械を複数使う戦法だ。異論はない?」

「……戦法を教えて良かったのか?」

「フフ、君は優しいな。そして真面目だ。

 ――いいよ、全力で来てくれ。そうすれば、同じように全力でお相手しよう」

 ……今の身体にはかなり似合ってない言動だが、これまでの人生での戦闘経験を引き出す為には、本来の性格に近くならければならない。

 理想としては天階にいる時のような素の■■■■に戻ることだが、あそこまでやると前回のミーティングのように違う人生の記憶が簡単に出てきてしまうので危険だ。

 今は男のボクが、急に女言葉で喋り出したりしたら絶対変な目で見られる。

 何度も言うが、平和な未来以外はお断りなのだ。

 ……基本的に今の人生は脳に記憶され、転生者としての記憶は脳ではなく魂に記録される。

 死ねばその人生での記憶が記録として魂に移されるようになっているらしい。

 元々は輪廻転生の為にある仕組みだが、本来観測不可のそれを知覚できるようにした……されたのが、転生者である。

 故に両方の記憶を引き出して使おうという今のボクは、脳と魂を同時に参照しなければならないのである。

 これが案外疲れる。精神的にだ。

 だが、ボクはその価値があることを仕掛けようとしている。

 相手が転生者とはいえ、一回や二回ではまだまだ普通の人間なのだから可能な悪事。

 ロクでもない奴だな、ボクって。

 それでもボクは――

「では、勝利条件はどちらかが戦闘不能になるまでとする! この俺、『外套警察総括司令官』空辺志渡の立ち合いの下――この試合を開始する!」

 ――死にたくないんだ。

「いくぞ七光り。素人は――引っ込んでいてくれ!」

 叫ぶのと同時、リアン少年はボクに向かって拳銃を一閃。

 牽制か。

 銃声は一度。

「中々筋は良いね。でも、これでボクに当てるつもりなら――」

 弾道を予測し、一撃三射(・・・)の魔力弾丸を、半身になって躱す。

「――来世から出直せ」

「ッ……言ってくれるっ!!」

 ……危ないな。

 挑発していても内心ではギリギリだ。

 戦闘開始時に解析しておかなければ、当たっていたかもしれない攻撃だった。

 いまいち派手さに欠けるそれは、堅実で効率的。

 銃口から火球でも打ち出した方が、ずっと簡単で見栄えがするだろうに。

 転生者らしくないそれは――実に、好感が持てるセンスだ。

「焦るな、ボクはまだ起動してもいない」

 胸元の指輪を握り締める。

 使うのは……これ(・・)でいい。

 表向きの切り札があれば、十分だ。

 ここで手札を晒そうが、いざとなれば能力(スキル)を使えば問題はない。

 この時この場で行われるボクとリアン少年の決闘は、物語(イベント)の上ではそれだけの価値があると踏んでいる。

 上手く、転ばせる。

 リアン少年が持つ、ボクが転生者を必死に避けていたのに関わってくる程の『物語干渉率』。

 今回の物語を無事に生き残る為に必要な主要登場人物(キーパーソン)なのは、もはや疑いようもない。

 全ての係数は、運命のままに処理されている。

 ――嗚呼、なんて忌ま忌ましい世界だ。

「なんで……当たらない?」

 ふと、無意識に弾道を避けている自分に気づく。

 そろそろか……?

「同時射撃機能は、銃口を辿ったって避けられる仕組みじゃないんだぞ……!?」

「ああ、慣れてるからね(・・・・・・・)。相手の気配を読めば、どこを狙ってるかくらい嫌でも分かるだろう」

 殺気が当たってるんだよ、弾より先に。

 いくら同時に放とうと、いくらフェイクを混ぜようと、どれが囮でどれが本命かなんて、割り振ってる感情の大小でまる分かりだ。

「……な……っ!?」

 三千回の人生で銃を向けられ続けた転生者の、数少ない経験則の恩恵である。

 そもそも、動体視力に頼っていては身体が貧弱な人生などの時には使えないのだ。

「なら、これはどうだッ!!」

 叫んだ直後。彼の銃を持っていない右手から、赤い燐光がほとばしる。

 それは固有特色を持った魔力。魔法を練り上げている時特有の光――

「まさかあれは……」

 観衆の中から、明石少尉の声が聞こえる。

 成る程、あの人はそういうポジションなのか。

「……この時代に、魔動機を使わない魔法を習得しているなんて……」

 今の主流は魔動科学で、本来の生身で扱う魔法の使い手はほとんどいない。

 方角や気候、日付などの要素に合わせて毎回わざわざ一から術式を組み直さないと使えない魔法より、あらかじめ式の雛形が組み込まれていてそれら変数を演算装置が自動で計算してくれる魔動機械の方が、圧倒的に実用性がある。

 その上、魔動機械を動かすのとは別種の才能が必要なので、本人に適正がなければ魔法は使えない。

 正しく生まれもっての能力だ。

 まさしく転生者として持つ才覚だ。

「――避けきれない面の攻撃ならどうだ?」

 それは、魔動機械では再現不能な特殊魔法でさえ扱えるということなのだから。

 理論的な勝利の確信を持って、リアン少年は腕を前に突き出す。

「――『鏡魔・“多重転写”』――」

 瞬間、手の平を中心に、自らの身長ほどの魔法陣を盾のように展開した。

 しかし、それは決して盾ではない。

 触れれば歪む儚いそれは、一方通行のブースト装置。

 概念系魔法、『鏡魔・“多重転写”』。

 ひそかに解析系技能(スキル)を発動、脳に流れ込む情報を精査する。

 ――あれは、本来なら何の使い道もない魔法。

 その効果は『術者側から魔法陣に進入した小規模エネルギーを数秒間の間だけ複製する』こと。

 つまり――

「――これがオレの切り札だ!!」

 引き金を引いた刹那。

 単純な掛け算。

 三掛ける二、掛ける十二。掛ける五。

 同時三射を複製、それを十二回。秒間七十二発を五秒間。

 展開される計三百六十発の魔力弾掃射。

 リアン少年の前を無数の小型魔法陣が埋め尽くして――


「――『黒天剣(アマテラス・ラヴ)』、起動――」


 ――空間を殲滅する直前、黒い指輪に魔力を込めた。

 音が消える。

 その次に訪れた吹き荒れる暴虐の風が、ボクの周囲を削り取り、陥没させる。

 拳銃を使って放たれたとは思えない圧倒的な火力。

 ガトリング砲でも喰らってるみたいだ。

「少年――!!」

 女性の声が聞こえる。誰だろう。

 聞こえていない筈なのに耳元で音がうるさい。

 意識が遠退く。

 長いのか短いのか分からない時間が過ぎ、やがて――光が視界に戻された。

 目の前に見える驚愕の表情。

 なんということはない。

 痛みすらない。

 ――ボクの前に展開された黒い硝子のような壁が、ボクの身を守っていた。

 自然界にすら存在しないほど超高密度の、純粋な魔力結晶。

「ありがとう、《黒天剣(アマテラス・ラヴ)》」

 声をかけて手で触れれば、その壁にヒビが走り……砕けると同時、中から顕れたのは――

「――黒い……剣?」

 ――人の暴力という罪を許さず。

 ――しかし断罪をするのは剣であり。

 ――罪を裁くのは何時の世とて人である。

 紅い意匠の入った黒晶の剣。

 名を、黒天剣という。

「にゃは……天照(アマテラス)なのに西洋風かぁ……君らしいね、唯ちゃん」

 誰が呟いたのかは知らないが、そんなことが聞こえる。

 違うよ、だってこの世界に日本神話なんてある筈ないじゃないか。

 『ラヴ』はこの世界では『剣』の意味。

 『アマテラス』は……

「――なんだよ、それ。なんで今まで使わなかったんだ――!?」

 おっと、また今度か。

 リアン少年が信じられない物を見る眼でこちらを睨む。

 そりゃあそうだろう。今のリアン君が放ったのは『A級魔女』にすら匹敵する魔法だったから。

 つまり魔王陛下の一撃レベル。

 防ぐなんて尋常じゃないし、今まで手を抜かれていたなら屈辱だろう。

 その質問に対する答えは一つだ。

 使いたくても使えない理由、それは――

「――使ったら、君が死んじゃうからさ」

「……へ?」

 呆けた顔をするリアン少年。それにしても、意外と女顔で可愛いな、この子。

 ああいや、今は男なんだった、ボクは。

「……待ってくれ、ここは訓練用結界が張ってあって……」


「この剣はAクラスオーバー、……つまり『S級魔女』クラスだから」


 この百メートル四方の結界が抑え切れるのは『A級魔法』まで。

 警察官環視のただ中で、使う訳にはいかないだろう。

「そんなの嘘だろ……確か今の技術力じゃ最先端でもBクラスがギリギリの筈だ……! だからオレは魔法まで併用してるっていうのに………………いや、待てよ……S級魔動機使いの黒い剣、それに名前は確か……」

「唯ちゃんだよー」

「違うっつーの。夜城唯貴だって」

 余計な口を出す真遊にツッコむ。

「……あ」

 パキン、と儚い音が響いた。

 今度は剣が砕けるようにして空気に溶けて消えていく。

「……綺麗だ」

 リアン少年がボクの最高傑作への賛美を口にする。

 ちょっと嬉しい。

 と、今度は明石少尉が何かに気づいたように呟いた。

「まさか――世界で唯一人の『特零級異端指定(マージナル)』、《黒天剣(アマテラス・ラヴ)》……!!」

「え……!? あ、アンタがあの『夜城唯貴』博士なのか……!?」

 ――やっぱり、こんな展開か。

 物語(イベント)、確定。

 分かっちゃいたさ、こうするしかないってのは。

 だけれど少し、罪悪感。

 まるで人の心を利用したかのような気分に沈んでしまう。

 こんなの、肉体がなければ感じることすらない偽善だってのに。

 ――嗚呼、煩わしい。

「改めてよろしく、リアンヌ=エルスィーネ君、明石少尉」

 自己紹介に対する反応も人それぞれ。

「あの……魔動機マニアとしてずっと博士は憧れでした、リアンって呼んでください!」

「ああ、ありがとう。ボクのことは名前で呼んでくれて構わないよ」

 眼を輝かせるリアン君に、また少し、胸がズキンと痛んだ。

「すいません夜城博士。先はとんだ失礼を……」

「気にしないで下さい明石少尉。特務課の貴女がいらっしゃったのは、ボクへの捜査協力の依頼、でしょう?」

「……! ご慧眼、お見それします」

 敬われて誉められて、酷く気分が悪い。

 なんて欺瞞だ、反吐がでる。

 しかもこの罪悪感ですら、ただの偽善なのが救いようもない。

 ああ、こうならないようにボクは生きてきた筈なのに……何をやってるんだよ、ボク。


 死にたいよ。


 なのに、死ねない。


「――試合は夜城唯貴の勝ちとする。良いな?」

「はい。あんな剣を使われたら一瞬で負けてしまいますから」

 養父の言葉にリアン君が頷く。

「ではボクと真遊、明石少尉と……」

「――オレも連れていってはくれませんか?」

 やはり、そうなるか……。

「……リアン君の四人で行動します。よろしいですか?」

「捜査協力に感謝します、夜城唯貴殿」

 独自捜査権限を持つ特務課の明石少尉はともかく、養父さんからの異論もなく、リアン君を借り出せてしまった。

「……じゃあ、研究所の調査に行こうか」

 全ては流れのままに。

 レールから外れないように。

 ――進むしかない。

 だって、


 ボクはまだ、死にたくない――



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