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『X・OVER WORLD』  作者: 工人
第一章『近代魔法世界編』
3/25

第一話『この世で一番不幸な連中』

短いですが早めに投稿。


世界観の説明が多めかな?

なお、固有名詞には作中世界独自の言語が使われております。御了承くだされ。





あ、あと、この作品はフィクションです。オールフィクションです。あらゆる現実の固有名詞とは関係なく、あらゆる三次元からの干渉を遮絶する(作者にとっての)理想郷です。

 ――人間は誰しも理想に破れ、やがて誰もが望む理想など無いのだと気付く。

 そして理想という海に溺れることを恐れ、現実という陸に上がり、渇きを癒せぬまま何も無い荒野を這いずり回るようになるのだ。

 二本の足で自らを支え、命を繋ぐ代わりに渇きも癒せぬ糧を探し求めて。

 それが僕にとっての、『大人になる』ということだった。

 だが、その初めての理想の裏切りが、手遅れになる程に遅すぎたら?

 少しばかりすれ違ってしまっていたら?

 あるいは抱いた理想が、どうしようもなく大きすぎる物だったら?

 ……それは手遅れだ。

 もうどうしようもない。

 どうしようもないくらい狂ってしまっていて。

 凍てついて砕けた理想は、硝子の欠片のようにその身を裂く。

 そして、元通りには決してならない。

 新しく再生することも出来ない。

 既に後戻り出来ない。

 何故なら。

 凍り付いた道程、足場は……その時点で砕けてしまっているのだから。





第一話『この世で一番不幸な連中(レ・ミゼラブル)





「『幸せだとか、幸せじゃないとか、定義すること自体が悍ましいことだ』というのが、希望的観測と個人的主観から導き出された、唯一無二の結論な訳ですが」

 眼鏡を押し上げて口にした独り言に返ってくるのは、ボクとは話が噛み合わないテレビから垂れ流されるニュースの声だけだった。というか、もし噛み合ったりしたらホラーである訳で。

『昨夜未明、先日もニュースになった王都連続通り魔殺人事件の容疑者が逮捕されました。外套警察(シーキュリティア)の調べにりますと……犯人は依然黙秘を……猟奇的な犯行を繰り返し……』

 そのまま先日の駅前ビルでの集団強盗のニュースに変わり、しばらくしてニュースは終わった。

 リビングのソファーに腰掛け朝の薄いコーヒーを飲みながら新聞を広げると、そこには既に記事の一面に今朝の事件のあらましが載っていた。流石は天下の《王都タイムズ》だ。普段の情報規制の賜物か、やけに情報の扱いが上手い連中だ。

 今朝の事件というのは今言ったような事件とは違う。

海藤(カイドウ)魔動エネルギー工学研究所》での爆発事故だ。かねてより問題視されていた周囲への魔力汚染が懸念されたものの、最も魔力が残留し易い大気中ですら安全値のみの検出で問題はなかったらしい。

 これによって逆に本当に事故だったのかが怪しくなり、警察の中でもエリート対魔法精鋭部隊である《外套警察(シーキュリティア)》が駆り出された。

 ちなみに、ボクの養父はそこに所属し部隊長を務める凄腕の魔女である。

 お陰で養父は一昨日から帰っていない。

 ――蛇足かもしれない話ではあるが、この世には魔法という不思議な力がある。元は一部の人達の間で戦闘用に発達していた技術らしい。不思議とは言ってもちゃんと法則性はあるらしく、とはいえどもその法則性は未だ解明されていない部分がほとんどである。工業利用にはまだ試行錯誤の段階だ。

 だからこそ、このご時世魔法を扱える人間は希少な存在で、研究を行う為には魔力を制御できる人間を雇い力を借りねばならない。故に今や人気職業ナンバーワン、一部は国家公務員として管理されている、時代を支える職業だ。

 魔法を使える人間のことは、なぜか男も女も『魔女(ウィッチ)』と呼ばれる。

 この魔女の中でも、国に実力を認められると国家資格や、『称号』を与えられる。

 有名所だと、軍に所属する有数の『S級魔女(クラス・ウィザード)』であり『第二級異端指定』までも受けた近代最強の女性、『赤の魔女』ことシルヴァスタ=S=シルヴァニアン、『B級魔女』でありながら《赤の魔女》の相方を務める『第一級異端指定』の女性ルナテクス=愛那=ソラウライト辺りがメジャーだろうか。

 異端指定とは、個人が保有する希少な固有魔法能力の持ち主を、国が登録した証明のようなものである。ランクとして最低の『第三級異端指定』が既に『C級魔女(クラス・メイガス)』五人分に匹敵する能力強度である事を考えると、彼女らの戦闘能力は怪物級である。

 ちなみにさっき言った《外套警察》は国家資格が『C級魔女』以上でないと就けなく、『参加資格は全魔女中で上位三割に位置する実力』という狭き門である。

 普通の魔女は雇われたり、派遣されたり、講師になったり、自ら起業したりしているようだ。

 蘊蓄はここまで。

 ――さて、ここで今更だが自己紹介。

 ボクの名前は『夜城(やじょう)唯貴(いつき)』。

 背が低いのは悩みの種だけど、十八歳の普通の少年。

 アルフレド魔法工学高校三年生。

 趣味は魔動機制作。

 特技は――


『――前世の記憶があることです……なんちゃって』


 三千一回目の人生、ほどよくだるく謳歌中ですよ、神様。




「――ええ、すいません先生。今日は少し体調が優れないので休ませていただきます……ああ、今日まで提出のレポートでしたら僕の机に置いて有りますので、それで勘弁して下さい。ええ、はい、失礼しました――」

 かちゃり、と音を立てて静かに受話器を置くと、ボクはパーカーの上から黒い外套のようなコートを羽織った。

 季節柄、朝方の屋外はそれなりに寒くなっているだろうからだ。

 部屋に戻って、机の上からお守り代わりの黒い指輪のネックレスを首に引っ掛ける。冷たく冷えていたチェーンの感覚に首もとに鳥肌がたったが、すぐに体温が馴染むだろう。

 部屋を出て階段を下りる。マイルームは二階にあるのである。

「……っと、忘れてた」

 出掛ける旨を書き置きに残し、リビングのテーブルに乗せておく。

 あの養父は少々過保護だ。仕事に私情は持ち込まないが、私情に仕事を持ち込む大人げない大人だ。

 小さい頃、勝手に出掛けたボクを心配して捜す為に、部下のエリート達を街に放った危険な男である。

 玄関のカギを閉めて、と。

「さて……行くか」

 サラリーマンが持っているような黒い鞄を片手に、ボクは王都の街に歩き出す。

 目指すのは学校……ではない。

 不良学生のボクは、今回の事件に首を突っ込むことにした。

 いや、突っ込むしかない、か。

 ボクの長年の感覚が、危機察知能力が告げているのだ。

 ――これは、『物語(イベント)』だ。

 永く永く回り続ける世界に時折発生する、まるで漫画や小説のような展開。

 喜劇と悲劇を折衷した、劇的な現実の流れを感じて止まない刹那の瞬間。

 主人公となる人間を鍵にして仕組まれていたかのように起動する、転生者(クラフト)という客観的な視点からしか分からない人生の(トラップ)

「……いや、もう遅いか」

 既に世界は動いている。

 介入しなければ――ボクは死んでしまうのだろうから。

 このままでは、ボクは運命に殺される。

「今までの人生なら、そんなの知ったことじゃなかったんだけど……」

 三千回も死んだ奴が死ぬのが怖いなんて、笑えない冗談だとは思わないか?

 ああ、まったくもって――忌ま忌ましい。




 ふらりと立ち寄ったファーストフード店で朝食を摂っていると、新たな客――ボクの通う高校の制服を着た女生徒――が来店したのが目に留まった。

 それは、この世全ての絶望になけなしの希望をブチ混んで煮詰めた末に錬金術を使ってゲル状のナマコに仕立てあげたような珍妙な形状をしている。

 いや、当然だが女の子の話ではない。

 天然の金髪の横で、名状し難い色で誇らしげに輝く髪飾りの話である。

 そして残念なことに、ボクはそのカオティックなセンスの持ち主には心当たりがあった。

「……もしかして、《手首狩り(リストカッター)》?」

「……はい、と私は答えます。そういう貴方は……《自殺師(キリングドール)》ではありませんか」

 けだる気で、病的で、鬱屈とした表情で、ボクより小さな彼女はそう返してきた。

「その呼び方、恥ずかし過ぎて好きじゃないんだけど」

「自業自得でしょう。それに……私達のように比較的長生きな《転生者(クラフト)》を識別するには、転生者としての名前が無いと……分かりづらいではありませんか」

 確かにボク達のような連中は名前がころころ変わるので、なんと呼ぶべきかは悩みの種ではある。

 ボクはそもそも覚えていないけれども、最初の人生での名前を神聖視する転生者も多いのだ。だからこそ、ボク達は互いを通り名で呼ぶ訳だが……。

「今回の名前は夜城唯貴だけどね。まあ、固有名詞に拘りはないし、今までに名乗ってきた名前ならいいや」

「私は……いつの人生でも鬱っぽく、同じ名前を名乗り……続けていますが?」

「そういえばそうだったね、火無月(ひなづき)ちゃん」

「……ちゃんは止めてください。今回は同年代です……」

 総合するとボクの方が三十倍くらい長生きなんだけどね。言わぬが花か。

「分かったよ。ところで、火無月さんは相席でいい?」

「既に相席だと店員に言ってありますが……」

「手回しが早い……」

 ていうか店員、ボクに同意を求めないで決めちゃダメだろ……。

「……ナマコです。ナマコなのです」

「……何が?」

 ちなみに、たまに変な電波を受信するゆんゆん少女というのがこやつの立ち位置である。

「テーマですよ……髪飾りの」

「見りゃあ分かるけど」

「本当ですか……やはり侮れません……」

 ダウナー通り越してただの鬱。

 むしろ《鬱電波少女》というのがこの火無月という違法ロリの通称のような気がしてきた。

「……西区レーゲル社向かいの路地裏です」

「……はい?」

 目を丸くして首を捻るという妙なリアクションをさせられたボク。

「貴方の目的地ですよ……生き残りたいなら、そこに行くといいです……」

 何でボクの目的地を君が決めるんだ……って、まさか。

「……心、読んだね?」

「はい……前回は技能(スキル)ROM(メモリアルメモリーズ)』を頂きました……」

 相手の心を読む技能(スキル)、『ROM』。

 それは(オン)(オフ)の利かない常駐型、常時発動型という最悪の部類に入る技能(スキル)である。

「はあ……神も、なんでそんなスキルを人に渡したんだか……」

「昔……この能力で精神崩壊に……拍車がかかった転生者がいると、神様が言ってました……」

「うおーい、言わない約束じゃなかったんですか……」

 まあ、常に他人の思考を受信してしまうストレスに耐えられるのは、この既に壊れている少女くらいしかいなかったのかもしれないが。

「まあいいや、じゃあボクは行くよ」

 立ち上がり店を後にしようとすると、一言、後ろから声がかけられた。

「やっぱり……本当なんですね……死ぬこと自体が怖くなったって……」

 その声に、やはりボクも一言だけ返す。

「……精神は肉体に引き擦られるから。死ねば直るよ」

 手を後ろに振って、ボクはその場を後にした。

 結局、火無月さんが何をしに来たのかは、ボクにはよく分からなかった。



 歩くこと一時間。火無月さんに言われた路地裏まで来ると、そこには人だかりが出来ていた。

「……いやいや、路地裏に人だかりって……」

 口では軽く言いながら、しかし内心では一つの嫌な確信があった。

 ――間違いない、事件だ。

 寄って行くと、そこでは外套警察が野次馬を追い払っているところだった

 それでしっかりと人払いが出来ているあたり、外套警察の力の大きさが見て取れる。

「あれ、お疲れ様です、ケーニッヒさん」

 その人払いをしていた外套警務官(シーク)――外套警察の構成員をそう呼ぶ――は、養父(とう)さんの部下のケーニッヒさんだった。養父さんの関係で、今までに彼とは何度か会ったことがある。

 白髪混じりではあるがオールバックの髪と立派な髭が凛々しい剛毅かつ“だんでぃ”なオッサンである。

「おお、これはこれは若殿」

「はは、若殿は止めてくださいよ……」

「いやいや、父上殿にも若殿にもお世話になっとりますからなぁ。この前の事件の時も……」

「おっと、それは……」

「おお、そうでしたそうでした。こりゃ失敬……で、本日はどういった御用向きで?」

 話の分かる気前の良い人で助かるなぁ。養父さんが『ケニィは懐刀だ』って言ってた理由はよく分かる。仕事も丁寧だし、とにかく有能らしいし。

 おそらくは養父さんが研究所の調査に行ったから、副官のこの人がこっちの事件の監督に回されたんだろう。

 ちなみに、ボクがこんなに親しいのは、どこかで聞いたような探偵のごとく父上経由で難事件を解決に導いたことが何度かあるからだという恥ずかしい理由。

 なお、ボクは探偵じゃなくて魔女なので、頭脳労働よりは突撃制圧、別動遊撃要員としてである。

 ああ、ここで暴露。魔動工学先攻のボクは、当然のように魔力を扱うことの出来る魔女なのである。強さは『C級魔女(クラス・メイガス)』。最低でもこの資格がないと、『魔法事件』には協力させてもらえないし学校で研究室も貰えない。

 授業にはでていない不良学生ではあるが、これでも研究者としては一端の室長なのだ。

「ええ、一連の事件(・・・・・)が気になりまして」

「……やはり、隊長殿と同じようにお考えで?」

「あの人もそう言ったんですか」

「ええ、『繋がっている可能性が高いな……』と」

 ……これはいよいよ、雲行きが怪しい。

 あの人の現場の勘は凄まじい。犬の嗅覚のように事件の裏を感じ取る。

 ……あ、この世界には犬いないんだっけ?

「それで、ここでは何が?」

「ご存知ありませんで?」

「自覚してらっしゃるでしょうが、貴方達《外套警察》の情報封鎖は、王都直属の情報部より手強いんですよ? ……二日はかかります」

「高校生に二日でバレるんじゃ十分形無しですがね……」

 テープを潜ると、路地裏の奥に案内された。

 ボクの知り合いはほとんどが養父さん直属なので、ここにはあまり見かけなかった。養父さんが向こうに連れていってるのだろう。

 ……路地の奥の行き止まり。こんな追い詰められても逃げ場のない場所で起きる事件なんて、容易に想像がついた。

「……殺人でさぁ。仏さんは二十代女性。凶器は現場に残されていた被害者の所有物と見られる果物ナイフの筈ですが……」

 一呼吸置いて、何かに被せるように置かれたブルーシートをめくり上げる。


「――見ての通り、バラバラです」


 立ち込める血の香にむせ返りそうになりながら、ボクはその女性を見つめた。

 ――やはり他人の死には、何も感じない。


 両脚は共に半ばから切取られて持ち去られ、腕は十数個の輪切りにされバラバラ。

 胴体には食いちぎったかのような大小の穴が幾つも空いて血や内臓が溢れ出ており、切り取られた円い肉片が辺りに水玉模様のように散乱していた。

 そして当然のように首は無く。

 綺麗に取り出された脳ミソだけが。

 首があるべき場所の地面へと。

 ――静かに、鎮座していた。


 それでも心は揺れ動かない。

 ボクは、他人の死を見るのに慣れすぎてしまっている――

「でも、だからって、これは酷いでしょう……こんなの、もう」

「『人間の死体ではない』、隊長殿もそういっておられました。こんなのは人殺しじゃなくて、子供が虫の脚をもぐような、学者が標本を作るような、好奇心を満たす為の人殺し以下の何かだと。憎しみに駆られた殺人の方がまだ倫理的だ、と」

 想像するだに恐ろしい、犯人の思考。

 ましてや、果物ナイフでこんなことをしでかせるのが信じられない。

 間違いなく魔法が用いられている。外套警察が出張る理由が分かった。

 文明の進歩の暗い側面が、ここにも表出していたのか。

「しかもこれは……」

「ええ……この手口は――『通り魔』でさぁ。逮捕されたはずの、あの通り魔だ……」

 これは一体、どういうことだ――?






 事件現場周辺をうろついていると、魔女として一つ気になる点があった。

 それを調べてみようと思った矢先に、ボクの前に立ち塞がる影。

「そこの民間人、止まりなさい!」

「はい?」

 ちっ、面倒な。

 転生者ではないようだとボクの勘が告げているし、無視してこのまま……

「撃ちますよ」

「こーさんだぜぃ」

 向けられたのは八式魔力弾型魔動短銃。

 つまり持ち主の生体魔力を基盤に大気中の魔力素を固めて打ち出す拳銃である。

 なんで知ってるかって?

 外套警察の基本装備だからですよっ。

 それが意味するのは……

「――下がりなさい。これは学生程度が関わって良い事件ではありません。この殺人は、『第二級魔法殺人』です」

 眼鏡の女が身を包んでいるの青灰色のコートのような服は、特務礼装と呼ばれるある種の国家公務員に分類される人間の制服だった。つまりは、『C級魔女(クラス・メイガス)』以上の魔女のみが所属できる『国属階位魔女』の中でも、『B級魔女(クラス・マギカ)』以上のエリートが構成する『外套警察(シーキュリティア)』の制服である。

 ……専門用語だらけで意味分からないな。

「おねーさんは外套警察の人かな?」

「愚問。私は外套警察《特務課》所属のアンジェ=明石=ミリフィールド少尉です」

 特務課って……うわ、《(シチカ)》からの派遣かよ。

「さあ、見たところ貴方は学生でしょう? 早く学校へ行きなさい」

「うぐっ、厄介な……」

 エリートはこれだから面倒なんだ。融通がきかねーにも程がありますよ。

「アルフレド魔法工学高校ですか、さあ、送って行きますから車に乗りなさい」

 言いつつも無理矢理押し込む明石さん。

 犯人みたいな扱いすんなー。

 ……言っても無駄か。

 取り敢えず逃げ道を探して……

「無駄な足掻きはやめなさい。さあ、行きますよ」

「え、ちょ、許可はされてるんだって! ケーニッヒさん? 助けてケーニッヒさん!? 嘘だと言ってよケーニィ!!」

「問答無用! 更正しなさい不良学生!」

「…………?」

「…………!」

「…………!?」

「…………!!」

 ……しばらくして、ボクが地獄巡りの運転と吐き気から解放されたのは、およそ二十分を超えた後のことだった。




「あれ、若殿? 若殿ー? 帰られたのか、若殿は?」

 首を捻るケーニッヒさん。後から聞いたところ、忙しくて聞こえてなかったみたいです。

 基本的に、主人公は何をしてでも主人公になりたくない畑の人間です。

 ただし三千一回目の人生が始まってすぐにトラウマを負ってしまい、『自殺による逃避』というリセットボタンが押せない病になってしまっているのです。

 でもでも、むしろそれが普通の人間というもので。


 精神は肉体に引き摺られるものなので、転生中は幾らか人間らしさがあり、その人生によって性格が一時的に変わってしまいます。その時その時が素の性格です。

 転生して肉体に押し込められていない魂状態の方がスペックをフルに活かしきれるという変な設定もあります。

 でもそれは神様の御前だけだったり。



まあ、そんな感じで頑張って行きましょー。



かなりフリーダム。

さらにフリーダム。

厨二の心百まで。

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