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『X・OVER WORLD』  作者: 工人
第一章『近代魔法世界編』
21/25

幕間『合流前』


 どうも工人です。

「ユーザーネーム変更しよっかなー」とか考えてますけどまだ工人です。


 実は次話に手間取っているので、今回のはちょっとした幕間の会話です。


 毎度ウチの主人公には変人作者のヘンテコ思想が大きく反映されているので、人によっては受け入れがたい気持ち悪さを感じるかもしれませんね。自己投影とはまた少し違うつもりなんですけれども。

 一話分書いてから見直すと、大抵はキャラの誰かが自虐してやがったりするのが困りものです。

「なぁ、少年……確かにお前の言う通り、神って奴らは最悪じゃないか。

 成る程どうして、そこにきてオレ達“悪魔”って連中は、なんとまあ良い奴だろう?

 神? 天使? 奴らはダメだ、人間くさすぎる。八百万の奴らは言うまでもないが、唯一神的な連中もそうだ。自分で人間を創っておきながら、しかもわざと未完成にしやがったし、自分を信じる信仰心篤い連中相手には力の自慢しかしやがらねぇ。その癖、自分を信じない人間には“天罰”とかいう名前の不幸不運を馬鹿の一つ覚えみたいにバラ撒いてる。

 自分の子をわざと不出来に産んで試練だとかほざき、何も知らずに元気に育ったところで『思い上がるな』と吐き捨て、落ち込んだのを慰めて寛容なフリした揚句に自分に縋られることを心底愉しむ究極の自作自演野郎だよ。天使なんてその遣いっぱしりだ。そりゃあ神様は人間を愛してるだろうぜ、馬鹿な子ほど可愛いって言うしな。だからって何もしちゃくれないけどよ。ヤンデレかっつーの、精神病の一つにあったよなこんな症状。

 その点オレ達悪魔はお前達を馬鹿になんかしていない。むしろ対等に扱ってるんだぜ? その証拠に、オレ達は人間に取引を求めてる。取引とか契約ってのは対等な間柄でこそ交わされるべきだからな。そこんとこ理解してくれ。

 ほらみろ。実はデメリットだけでメリットの一つもない神より、デメリットこそあれど必ずそれに見合ったメリットを提供する悪魔の方がよっぽど良心的だろ。税金巻き上げて私腹肥やす連中には怒るのに、神に対してお咎め無しってのはどうなんだよ。一重に権力振りかざされてるからじゃないのか? 確かに悪魔は税金巻き上げてるヤクザだが、ちゃんと無駄なく還元してるつもりだぜ?

 それに、悪魔は人間を上から見下ろしてる。オイオイ気分を悪くするんじゃねぇよ、取引の時はちゃんと対等に見てるって。あくまで種族として、だ。神には及ばなくても、人間より優れてるのは事実だろ? 神はなんだかんだで人間くさいが、悪魔は超越者然としてる。人類を当たり前として見下してる。

 でも、その方がいいだろ。人間くさい自作自演野郎よりも、都合の良い道具みてぇな理解できない存在の方が扱い易いに決まってる。

 誰だってご都合主義のデウス・エクス・マキナになんとかしてもらいたいだろう?

 面倒臭い上に嘘臭くて厄介な本物の神サマなんて嫌だろう?

 良いんだよ。きっと誰だって、神様よりドラえもんの方が好きに決まってるじゃないか。

 自分で宇宙創世なんて一からするより、もしもボックス使う方が現実的じゃないか。

 デロリアンより時を駆ける少女の方がましだろう?

 そういう事なんだよ。それだけの事なんだ。

 だから、君はオレ達こそを信じるべきだ。あんな偉いだけのロクでもない連中を玉座から引きずり落として、突き落として、オレ達が座るべきなんだよ。お前達が跪ずくべきはあんな外道じゃない、虐げられているべきじゃない。

 どうだろうか、オレと手を組まないか――?」



 ――研究室を出てリアン君達と合流に向かう途中で、そんなことを火無月に対して言った。



「……なんですか……それ……」

「ん、ああいや、昔悪魔に唆された時に言われたことなんだよね」

 ボクを味方に引き入れたかったんだって、後になってから悪魔本人と神様に聞いたんだけど。

「で……なんて返したんですか……?」

「んー……『ツッコミ所が多すぎて会話すら面倒。一考に値しないと感じたので他を当たってください』……だったかな」

「冷たいですね……」

 だって、自分が持ち上げられると途端に嘘臭く感じるんだもの。ボクが他人に高評価されるなんて有り得ない。

「どんだけ卑屈ですか……」

「お陰で他人に唆された事なんか一度もない。そもそも他人が唆そうとするほどの価値もないと思うけど。腹立つけど悔しくなんかないよチクショウ。期待するから裏切られるんだ。希望を持つから絶望するんだ。自業自得さ。

 ……苦しむくらいなら、初めから楽しいことなんか要らないって、あの頃はそう思ってたんだ。実は……今も少しそう思ってる」

「……メリットなんて無くていいから、デメリットだけは被りたくない……なるほど、その悪魔と決裂する訳です……思い上がるって言葉とはそもそも無縁な人種なんですね……。

 人間として、そこまで脆くてよくここまで生きてこれましたね……もう壊れた私が言えることではありませんけど……」

 世界が概ね灰色に見えて、他人の痛覚に共感しづらくて、誰かに依存するか“ボクが以前の世界で渡した首飾り”みたいな代用品に縋っていないともはや二本の脚で立ってられなかったり。

 そこまで壊れたキミが言うのか。ボクは、そこまで救いようがないクズか。

 決まっている。

 そうだ。

 そうなのだ。

 クズなんだ。

「それくらいは自覚してるよ」

 だからどうという話でも、ないのだけれど。

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