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『X・OVER WORLD』  作者: 工人
第一章『近代魔法世界編』
1/25

幕間

注意! わーにん、わーにん。


 この作品はシリアスなシーンにも関わらずメタな表現が存在します。

 つまるところシリアスのフリをしたギャグだと思っていただければ結構です。

 作者自身さえ「これはねーよ」と思うカオスに飛び込んで下さるのでしたら感謝します。


 あ、いつもの事ながら激しく厨二で更新不定期です。どうぞよろしくお願いします。


 ちなみに、幕間から始まるのは仕様です。

幕間『三千回目のプロ/エピローグ』



 ――その風景画には、荒野の中心に一人の少年が描かれている。

 昨日まではなんらおかしな所のない、村に住まい、釣りや狩りで日々の糧を求める普通の生活をしていた少年だった。

 工業が発達しているらしい隣の国にも近づいたことすらなかった、平凡な人生だった筈だ。

「――っは……はぁ――っ!」

 走る少年。

 息は乱れ、国境近くの荒野を駆ける。

 隣国に行ってみようと考えた気まぐれがいけなかったのだろうか。

 嫌な予感を信じずに引き返さなかったのがいけなかったのだろうか。

 それとも、理由なんて本当は無いのだろうか。

 彼には分からない。

 分からなくとも、動く足を止める訳にはいかなかった。

 何故ならその背後では、絵の中でも一際浮いたおぞましい貌の化け物が、今にも少年に喰らいつかんと迫っていたのだ。

「ハァ……ハッ……くそっ……なんで僕がこんな目に……っ!」

 少年は逃げる。

 化け物の牙から?

 違う。この現状からだ。

「嗚呼……もう……駄目だ……」


 大人より巨大な百足(ムカデ)の怪物は、今にも餌にありつく寸前。

 その絶望的な状況下において、少年は疲労で足を挫いてしまう。

「うっ、しま……っ!!」

 た、と言いたかったのか。

 しかし自らの失態を認識する前に、ムカデは彼の視界に覆い被さるように獣の唸り声をあげて――


『――思考演算補助支援回路(アルステイマー)起動。システム同調率八十八パーセントを維持。IF―X独立機動型モジュールアーマー《ティターナー》、作戦通り《異次無機生物(ディメント)》の排除行動を開始します――出力、三十六パーセント』


 瞬間。機械の機動音と共にムカデを蹴り飛ばしたそれは、機械的なアーマーを装着した一人の少女だった。

 顔の上半部は、単眼(モノアイ)のついた仮面のような鋭角なパーツに覆い隠されている。

「――――」

 状況の変化に取り残され、無言の少年。

 救世主の登場に、打ち震えているのか。それとも――

『少しじっとしていてください、少年。

 ――《腕部装甲内蔵式E粒子集束砲》、展開……砲身展開完了』

 大気中より集められた黄金の光と少女の右手から剥離した装甲が、ムカデに向けた腕の延長線上に浮遊して砲身(バレル)を形成する。

 行き場を求めた金色の高エネルギーが、少女の手の平で荒れ狂い砲身を満たした。

『砲撃許可……再認。民間人保護の為、速やかに対象を殲滅します』

 刹那。

 空気が焦げ付くような音。

 しかし直後、まるで燃え尽きたかのように音が消える。

 視界を焼く極大の閃光。

 強引に空間を引き裂いて、膨大な光の束は一直線に残光の尾を引き、その熱量が荒野を焦がした。

「なんてこった……こんなのってナシだろ……」

 呟いた声は荒野に流れて。

 それはさながら一枚の名画のような。

「出会っちまった……そんなのあんまりだ……」

 化け物が消し飛んだ後の風景には、一人の可憐な少女が描かれていて。

『怪我は有りませんか、少年』

 ……そしてそれ故に、彼にはそれが色褪せて見えた。

「こんな……こんな眼の逸らしようもない現実……どうしろっていうんだよ――」

『……?』

 少女は青年に話し掛ける。

『もう大丈夫です、安心してください、少年――』






「いや――もうダメだな、僕は」






『……………………え?』

 呆気に取られる少女を余所に少年はズボンを捲り上げ、そこに巻かれたホルスターから拳銃(・・)を引き抜き――自らの頭に当てて躊躇いも見せずに引き金を引く。

 金属の牙が音を立てて頭蓋を食い破る感覚に、しかし少年は笑みを浮かべて。

 ――火薬が炸裂する、虚しい音が荒野に響いた。

『貴、方――?』

 彼にとっては既に慣れきった感覚に浸りながら、その少年は――飽き飽きとして――冷たい死を、迎え入れた。




「……このシークエンスで『僕』が『君』に出会っちゃ駄目だろ。僕は平和に過ごしたいんだ、主人公ポジションは要らないんだって――前回のエピで言っただろ――」

すごくカオスになる予感。

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