1st
俺が彼女に会ったのは、5月に入ってからだった。
取り留めの無い毎日に刺激が欲しくて、昔少しお世話になったスカイプで誰かと通話かチャットをしようと考えたのだ。
人が良く書き込みをしている掲示板を探し、募集記事を書く事にした。
『趣味や考え方など話せる方、長くお話が出来る方募集。男女問いません』
そう書いた後に自分の軽いプロフィールを添えて書き込みをする。
と、言ってもすぐに反応があるわけでもないので、適当に時間を潰して待つ事にする。
「おはようですー。コンタクトお願いします」
書き込みを15分後くらいだろうか、挨拶が入ってくる。
仕事終わりだったし、これ以上待って来なかった寝るかと思ってた矢先だったので適当にでも終わらせるかなんて考えながら返信をする。
名前を見るに女性だった。
さて、どうするか・・・?
「もう一度、プロフィールとか書いたほうがいいですか?」
と俺。
「あ、大丈夫ですよ」
すぐに返信がある。こんな時間に起きてる女性って事は若いか同業者的な人かな?
なんて考えを持つ。
ちなみに、俺の仕事はバーテンダーです。
ま、バイトですが・・・・。
「私は千葉住みの31歳ですがいいですか?」
とチャットが入る。
よし、6時。長くても7時には終わらせて寝るかなんて考えながら
「勿論です♪」
と俺は打っていた。
(この人は、かなり良い人ではないだろうか?)
良い人ってのは、性格的にとかのそこらへんの事を意味している。
厨二的だけど俺は第6感が働くときがある。
ビビっとくるという感じではなく、ふと「あ~この人・・・」みたいな感じだ。
そうこうしてる間に彼女から質問が入っていた。
「INしてる時間っていつもこのぐらいですか?今は、バイト終わってからという感じかな?」
この第6感を信じるならば、よく喋れる関係になるはずだと俺はその時すでに確信していた。
「そうですね、そんな感じです」
俺は返事を返す。
文章から想像する。
多分落ち着いてる人なのかなとか礼儀正しそうな人だとか妄想を膨らませている俺。
なんというか、今振り返るとよくそんな妄想が喋り始めて10分で出来るのかと思う。
「結構遅い時間までやってるんですねー」
うちの店は、年中無休の18時~5時営業のBARだ。
なので、近隣のバーテンダーも仕事終わりに足を運んでくれたりする。
それ考えればBARとしては遅くまでやっている方なんだろうと思う。
俺は、ソレを説明してあげる。
「そっかー、お疲れ様でした><」と彼女。
俺も興味本位で質問をしてみる。
「お休みのときはこの時間まで起きてますね」
「なるほど^^」←今考えると何で成程なのか・・・。
「18時~LASTまでですか?」
と彼女。
「そうですね♪」
「ながーいですねー。社員みたい」
確かに長い。11時間だから。
でも、結構楽しくていつもあっという間に時間が過ぎてくれる。
俺はそう彼女に伝える。
それから、彼女は俺の仕事に興味を持ってるのか質問をしてくれた。
俺はそれに答える感じで会話が進む。
話していると何となく優しい雰囲気を持っているんじゃないかという妄想がプラスされていた。
そんな妄想が生まれるもんだから、彼女の事を知りたくなって・・・
「差し支えなかったら、あなたの事教えてもらえませんか?」
なんて、打っていた。
女の人には基本的に自分から話すまで聞かない主義なんだけど、不思議と聞いていた。
彼女は俺の質問にしっかり答えてくれた。
「一応主婦で歯医者のバイトをしている」と教えてくれた。
俺はすぐにお礼を言って、歯医者について突っ込みを入れた。
歯医者が大の苦手な俺だから。




