表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奉仕者たち ―Servants―  作者: 社怪人
第一章 紗栄子
1/1

序 「目覚め」

【警告】お読みになる方へ【警告】

・ディストピアものです。

・読み進めると不快な表現が出てきます。


 以上を踏まえた上でお読みください。


 ……今回は特に不快な表現はありませんがねw

 深い、深い闇の底から、ゆっくりと、ゆっくりと……


 意識こころが、幻想ゆめから、現実うつつへと、引き戻されて、浮かび上がっていく……


 やがて……


 自分わたしは、自室のベッドに寝ていて……


 その、傍らには……


 いつも変わらない、私の、自分(わたし)専用(だけ)奉仕者(サーヴァント)……


 三島ミシマが、佇んでいるのが、わかった。



 奉仕者たち ―Servants―

  第一章 紗栄子さえこ

   ・序「目覚め」



「おお、お目覚めになられましたか……おはようございます、紗栄子お嬢様」

 私が目を開いて三島ミシマを見た、その視線を感じてすぐ、ミシマは私に声をかけてきた。

 ミシマは人間ではない。執事(バトラー)奉仕者(サーヴァント)だ。

「ミシマ……私、どうしていたの? 何かおかしな夢でも見ていたような記憶おぼえがあるのだけど……」

「お嬢様は……うなされておいででした……何かひど悪夢ゆめを見ておられるようでした」

「そう……」

「あまり酷いようでしたらお起ししようかと思ったのですが……その前にお目覚めになられました」

「ありがとう。ミシマ」

「いえ……これが私の仕事ですから」

 執事ミシマはそう言うと、表情を柔らげ、

「さて、お嬢様、今日はいかがなさいますか?」

 と、訊ねてきた。

「そうね……って、あれ?」

 枕元の時計――年月日表示付き――に目をやる……え? 今日って……

「登校日じゃないのっ!」

 がばっ、と起き上がる。

「お、お嬢様? 登校日であってもまだ登校時間までには十分時間がございますが?」

 珍しく慌てたように声をかけてくるミシマ

「宿題っ! 宿題やるの忘れてたのっ! こればっかりは自分でやらなきゃならないのは奉仕者あなたたちも知ってるでしょっ!」

「あ……ああ、そうでしたね。しかし……」

 ミシマもちょっと――ほんのちょっとだけ――焦った様子を見せたが、すぐ立ち直り、

「宿題も大切ですが、その前に」

 ぴしっ! と引き締まった表情で、

「洗顔、身だしなみ、着替え、朝食。これだけはしっかりやっていただかないと、私が旦那様マスターから叱られます。特に本日が登校日であれば、念入りにやらなければなりませんっ」

 そう言うと、

「では、家政婦メイドアヤと交代いたします。後ほど」

 言いつつ部屋の扉を開けると、そこにはしっかりとメイド服に身を固めた奉仕者サーヴァントアヤがワゴンを押して現れた。


 ※ ※ ※


「う~ん……」

 学校へ向かう装甲車くるまの後部座席で、紗栄子わたしは頭をひねっていた。

『どうかなさいましたか? お嬢様?』

 運転士の奉仕者サーヴァント山本ヤマモトさんが伝声器ホンを通して声をかけてくる。

「やってあるのよ」

『はい?』

「やってあるのよ、宿題」

『しゅくだい、ですか?』

「朝の支度したく宿題これ、やる時間がなかったの」

『はい』

「仕方ないから登校途上(いまのうち)に済ませようと思ったら……やってあったの」

『……はい』

「確かに自分わたしの字で書いてあるんだけど、やった記憶おぼえがない……変じゃない?」

『……たしかに、変ですね』

「変でしょ?」

『変です。しかし、』

「しかし?」

『宿題をやってなくて、あるいはやっつけ仕事でやったのがバレて教師せんせいに叱られるよりはいいんじゃないでしょうか?』

「あ……あ~……そう言えば、そうね」

『でしょう?』

「ですね……ありがとう、山本ヤマモトさん」

『いえいえ』


 ※ ※ ※


 この時、紗栄子わたしは気付かなかった。

 いや、気付いていたとしても、どうすることが出来たのだろう?


 それは、現在いまでも判らない。

登場人物キャラクターについて……

 原則として、名前に片仮名ルビが付いてたら奉仕者、平仮名ルビが付いてたら人間です。

 ただし、「旦那様マスター」は人間です。紗栄子しゅじんこうの父親が奉仕者サーヴァントなわけ、ないでしょ? って、あれ? ソッチの方が面白いかな?

 紗栄子しゅじんこう「やめてぇ(涙目)」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ