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分かち難い記憶 〜そして30年後の雪まつりがやってきた〜

作者: xoo
掲載日:2026/02/07

 2026年2月4日〜11日、第77回さっぽろ雪まつりが開催されている。直前に2度の大雪で札幌市内・近郊の交通が大混乱し、また6日は石狩空知後志地方に暴風雪警報が出るなどで管内小l中学校の休校やJR北海道の間引き運転が行われた。大雪の中心は空知〜道北に偏ったため、札幌圏ではJRが間引き運転されているが、今現在は大きな混乱は起きていないようである。


 そんな中、1日〜3日の北海道新聞に『「豊浜」の記憶 トンネル事故30年』という記事が載った(電子版では1月30日〜2月2日)。1996年の国道229号豊浜トンネル事故。第47回さっぽろ雪まつりが1996年2月4日(日)〜11日(日)の日程で開催されていた、終盤の出来事だった。

 あの年も札幌圏は1月、ドカ雪に痛めつけられ、自衛隊に災害派遣を要請する事態になっていた。



 この事故に関しては、「雪まつりがやってくる」N2556IB と、「一次情報とネットのスティグマと」N6320IB の二篇を、なろうに書いている。当事者ではなかったが、折に触れて思い出すたび、冷静ではいられなくなる自分がいる。



 週刊少年サンデーに1995年から1999年にかけて連載されていた曽田正人の「め組の大吾」、終盤に主人公が現場に呼び戻されるシーンで「ホッカイドーのトンネル火災」という語が出てくる。リアルタイムで読んでいて、感情が大きく揺さぶられた。「伝説の救助隊員」が作中と同じようにその日の豊浜に立てば、20人は助かったのだろうか。現実は伝説の救助隊員はいなかったし、20人は即死だった、と推察されている。

 でも。それでも。


 2007年〜2008年に放送された「仮面ライダー電王」、2007年9月16日〜23日の回で、イマジンの犠牲になった人のうち周囲の記憶からこぼれ落ちてしまった人が時の電車デンライナーに乗っている、思い出された人が電車を降りて戻っていく、という描写があった。先の「雪まつりがやってくる」でのやり取りで、このことを思い出していた。覚えている人がいる限り、供養される限り、亡くなった人は親しい人の心の中にとどまっていることができる。


 旅行系ユーチューバーのスーツ氏が昨年2025年12月29日、「国道229号】日本で一番怖い道路を走ってみた」という動画を出している(撮影は2024年7月)。この動画の終盤(1時間38分ごろ)で、豊浜トンネル事故について触れている。この事故を含めたいくつかの事故がきっかけで、崩落の危険がある岩を補強して最短経路で道を通すのではなく、崩落の危険がない経路に切り替える考え方に、少なくとも国道229号の整備方針は切り替わった(豊浜トンネルの場合は崩落が起きた古平側坑口をバイパスする形で、古平側のセタカムイトンネルの途中から豊浜トンネルの途中を新規トンネルで繋いでいる)。落ち着いた口調で説明されている。



 そして8時10分がやってくる。吹雪の中、日々の生活のために移動していた人も、通院していた人も、さっぽろ雪まつりを見に行こうとしていた人も、2万7千トンの岩が押し潰していった。



 覚えているよ。

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