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親善隊

作者: 喜多河 済

「われわれは、ある事情で地球という星からやってきたものです。その事情というのは、あなたがたと友好関係を築き、いろいろと宇宙規模の交流をはかりたいというものでありまして……」男は言った。

 ある惑星。地球からすこしはなれたところにある、人間型の生物のすむ、友好的な星だ。ついすこし前に男たちは宇宙船をおり、この惑星の言語を理解した。いくつかある大陸のなかでひとつを選び、そこで話されていた会話から、この惑星の言語らしき言葉を習得したのだ。それを機械に打ちこめば、翻訳機の完成となる。

「おい、そろそろいいだろう。ここの住民たちとは、じゅうぶんになかよくなれた。そろそろ、この惑星全土をまわることとしよう」

 隊員のひとりが、住民たちに呼びかけている隊員に話しかける。もちろんこの言葉は翻訳機にかからないよう、マイクからはずして行われた。

「ああ、分かった。最後に、別れのあいさつでもしておかなくては…。また今度来るので、と……」

 隊員は住民に別れをつげ、ほかの隊員たちとともに、宇宙船に乗りこむ。隊員たちはしっかりと手を振り、宇宙船は空へとちいさくなってゆく。


「つぎは、どこに行くか」

 隊員が言う。ほかの者たちは、そのことばでわれに返ったかのように考えこむ。

「よし、ここにしよう。さきほどの惑星の、海をはさんで反対側だ。ここで、いいだろう」

 だれも反対はしない。こうして、つぎに行く大陸が決まった。


「…もう着くぞ。着陸の準備をしておけ……」

 隊長らしき、操縦をしていた男が周りの者によびかける。皆、準備をし終えたようだ。

「よし、着いた。おくのほうから順におりて行け」

 皆がおりたのを確認し終えると、隊長はおりた。もう、呼びかけは始まっているようだ。


「…私たちは、地球という惑星から来たもので、この惑星の皆さんと友好関係を……」

 男が言い終えるまえに、まわりにだんだんと人が集まってきた。

「…ですから、皆で平和のうたをうたおうと……」

 男が最後のしめを言うときだった。いっせいに、惑星の住民たちがなぐりかかってきたのだ。

 「うわ、なにをする。ただ私たちはみなさんと平和な関係を築こうと……」


 惑星。宇宙船のまえで、隊員たちはしばりあげられていた。さらにその前で、惑星の住民たちがおこったような顔つきで、たがいに言葉をかわしている。

「なんだか、さっきの言葉とはちがうような気がするな…。似たような言葉なのだが……」

 その惑星の住民たちの会話をきき、翻訳機となる装置は、言語を訳していた。そのデータが、装置を通じて画面に映し出されている。

「まったくけしからん…。なぜいきなりこの惑星にやって来て、暴言をはいたのだ。お前らを奴隷にしてやるなどと……。いや、海の反対がわの言語では友好的な言葉になるのだが……」


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