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迷宮社会より地上社会の方が癖強なんだが!?  作者: ユキ サワネ
一章 迷宮育ちの行商冒険者
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二十三話 飛躍の異才達

いつも読んで頂きありがとうございます♪

探り探り書いてますので、ご容赦下さい。


ちよっと短めな二十三話です。

 「本当に良いのか?」


 先刻の特訓中に贈った装備一式が想定外の品質だったようで、クルブルは戸惑いながらも果実酒を口にしては、未だ信じられないといった表情をするが、傍にいるサラとヤームンとチッチは羨ましがっている。


 「団長、ずるいよ。」


 ヤームンの嫉妬だけではなく、チッチも不貞腐れ気味にしょげている。


 「バックスはいいですもんね。既にゼノ様から貰ってますから!」


 サラも触発されたのか発言に棘がある。


 だが、バックスは当然の報いと言わんばかりにサラを押し返しているが、俺はその光景を少し楽しんだ。


 というのも、元々、野盗狩りの功績と言うとこじつけになるが、それ以前から彼らには見合った物を渡したかった。


 ダスコダからは既に金貨や見返りを幾つか貰っている彼等だが、俺は彼等冒険者にとって更なる利となる報酬が好ましいと判断した事も理由の一つになる。


 そう、装備の一新。


 四層で会った時に真っ先に思ったのは、装備の性能はともかく特性能力がまるで皆無な品ばかりで愕然(がくぜん)とした。


 それは里では非常識的な始末だ。


 技や術の補正力を高めたり、身体能力の底上げをしたりと特性能力を装備に付与して使い込む文化が地上社会には無いと知っていたが、その後味の悪さは彼等にとって足枷としか見えなかった。


 彼らから漏れ見えた魂は魅力的に映っていた分、早々に装備を新調させたかったのだが、どこの骨かも知らん相手に初対面でそんなこと言われても困らせるだけだろうと思い、あの時は(こら)えていた。


 それに俺の作る装備品は使用者の心の質で大きく意味が変わる。


 あの段階では、まだそこまで一人一人の魂まで読めていなかった。


 でも、今なら間違いなく自信を持って言える。


 彼等なら巧く使いこなしてゆけるだけの器量はあると。


 ヤームンとサラは闘格(とうかく)の系統は違えど魔法士であり、それに見合った装束(しょうそく)や魔力錫杖(しゃくじょう)を用意した。


 錫杖はヤームンについては攻撃魔法の威力や精度を上げたり、魔素の消耗率を下げたり、サラについては治癒力の効果上昇、範囲拡大を促す。

 装束や指輪などは全般的に生命維持力の底上げや精神力の安定を促す。


 一方チッチは、より狩人らしく、敏捷性を高める服や靴などをはじめ、弓の精度や気配の扱い方など様々に好影響を与える特性装備を贈り、本人も大喜びだ。


 「それは俺からの贈り物だ。勿論、この先あらゆる偉業を()げていけば自ずとより良い武具と出会えるだろう。それまでは、使い込んでみたらいい。耐久性は保証するよ。」


 5人の表情は明るい。


 夕暮れから暫くして酒場を出た先に向かったのはギルドの地下訓練場。


 そこで、その性能を確かめたかった気持ちもあったが、どうやらその思いは彼らの方が強かったようだ。


 先刻の特訓時に重宝した虹鉱石で出来た岩人(がんじん)相手にヤームンは魔力を解放して、チッチも試行錯誤の末に辿りついた技を放っている。


 サラは闘格の特性上、補助・回復魔法しか使えない現状だが、その能力の非凡さは気配から感じ取れた。


 一時、サラだけは違う方向へと進んでいたように思えたが、バックスの姿勢に心打たれてから流れが変わって、以来、彼女の集中力は驚愕だし、パーティの中で自分一人置いていかれる気になったのだろうな。


 この調子で行けばこの5人は次の宝来祭で幾つも星格を上げるだろう。

 

 何よりも、王都全体の中盤のド中盤である冒険団の彼等ですらこんなにも短期間で変貌する。


 だからこそ、他の冒険団からするとその勢いには魅力を感じる上に、上位含め他の冒険団の起爆剤ともなる。


 改めて言える。

 地上社会の偏向主義が悲しいことに人や物の可能性を狭めているのは確かだ。


 これから先、彼等を筆頭に時代が変わっていく事に期待したくなった。


 明日にはここを経つ。


 暫く彼等とは会う事はないだろう。


 ふと、そんな想いが脳裏を支配していると、クルブルが口を開いた。


 「俺は、暫くジャノスで鍛えるとするさ。ゼノに貰ったこの武器を使いこなせるまで闘技場に入り浸ってやろうかと思ってな。」


 「なら、俺ら団体(パーティランク)戦でやるか!腕試しと連携力の磨きで一石二鳥だぜ!」


 クルブルの宣言にバックスが提案してサラ、ヤームン、チッチも顔を見合わせながら頷く。


 5名の笑顔がやけに羨ましく視えた。


 そして高みへ昇る風格が垣間見得た気さえする。


 強者の資質とは何かと問われれば多種多様な表現があるだろうが、俺はこう言いたい。


 『空高く駆け抜ける火花が走った。』


 そう遠くない将来、王都にその火花は新たな星として咲くだろう。今はまだ知る人ぞ知るたった5名の異才達、零細冒険団だが… …。


 そして、もう一人、鍛冶の異才。


 彼も次に会ったらどこまで腕を上げているか楽しみだ。


 暫くさらばだ!


 ジャノスよ!

ここまで読んで頂きありがとうございました♪

諸事情につき不定期更新ですが、また次話読んで下されば嬉しいです♪


次の更新いつになるか… …((((;゜Д゜)))))))


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