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清は勇気を振り絞って直先輩に電話をしてみることにした。
どうしても、直先輩の声が聞きたかったから。
直先輩に『電話をしてもいいですか?』とメッセージを送ると直先輩から『いいよ』とメッセージが返ってきた。
清が直先輩に電話をかけると、「もしもし」と言って直先輩が電話に出てくれた。
すごく久しぶりに聞いた直先輩の声。
清はなんだか、すごく思いがあふれてしまって、それだけで泣いてしまった。(自分でもびっくりした)直先輩は清が泣いていることに気が付いて、「大丈夫?」とやさしい声でなぐさめてくれた。
「……はい。大丈夫です」とあんまり大丈夫じゃない清は言った。
涙を拭いてから「お久しぶりです。朝丘先輩」となるべく明るい声で清は言った。
「うん。久しぶり」と直先輩は言った。
「突然すみません。昨日、朝丘先輩とすれ違って、久しぶりに先輩と話したいと思って、連絡しました」と清は公園の緑色の風景を見ながら、言った。
「あのときは、無視してごめん。昨日はちょっと、一緒にいたやつと少し、……まあ、いろいろあってさ」と直先輩は言った。
その人は直先輩の恋人ですか? と聞きたかったけど、無理だった。
「いえ、別に全然構いません。本当にただ、偶然すれ違っただけですから」清は言う。
清は言葉を探した。
このままさようならをしたら、また清はきっと一人で泣いてしまうと思った。