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いかなる未来

「終わったか」

「ようやくだね」


 予想外の闘いが終わり、エリスとウィアーレはほぅっと安堵の息を吐く。リーゼは目の前で起きた人外対決に放心状態で言葉もない。

 そんなエリスたちの考えを裏切るように、幸助の動きは止まらない。暴走した状態なのだ、対応していたセクラトクスがいなくなったところで止まるわけではない。相手がいなくなったことで、どのように動くかわからない状態だ。つまりはエリスたちに危険が及ぶということもありえる。

 周囲にあるもの、兵たちがいなくなり、幸助の視線がエリスたちに向く。相変わらずの光のない目で、いまだ正気を取り戻していないのだとわかる。

 やばいかもしれないと、エリスが逃亡用のために転移魔法を準備を始める。

 エリスたちへと歩こうとして、幸助の動きが鈍る。どこか苦しげな唸り声を出し、その場に立ち尽くす。

 

「どうしたのかしら?」


 リーゼの問いに二人は答えることができず、幸助を見守る。

 すると幸助の着ているジャケットが鷹へと変化し、エリスたちの元へ飛んでくる。足下に降り立った鷹は人間の子供へとさらに姿を変えた。

 エリスとウィアーレは、この子供は話に聞いたリンではないかと思いつく。


「リン君なのかな?」


 ウィアーレの問いに、少し苦しげなリンがこくんと頷き、視線をエリスとウィアーレに向ける。


「お姉さんたちに頼みがあるんだ」

「なんじゃ? コースケに関することか?」

「うん。お兄さんを止めたいから協力して」

「止められるのか!?」

「僕一人じゃ無理だけど、お姉さんたちとさっきまで闘ってた人の協力があれば」

「あやつの?」


 エリスが顔を顰めた。好感を持っている人物ではないことと、協力など得られるのかという思いがある。


「どうしてもあやつの力を借りなければ駄目か?」

「んーお姉さんたちの誰かが、お兄さんを気絶させることができるならいなくても大丈夫」

「ウィアーレ、歪みを飛ばしてコースケを気絶させてくれ」


 わかったと頷き、ウィアーレは歪みを飛ばす。歪みは幸助に当たり消える。

 

「駄目。弾かれた」


 兵に使った時は体の中に染み込む様が見えていたが、今飛ばした歪みは染み込まずに表面で弾けて消えていった。

 エリスはウィアーレの歪み以外に気絶させる方法が思い浮かばない。気絶させるとなると攻撃魔法が一番有効だろうが、かつて黒竜にほとんど効かなかったことをよく覚えていて、今の状態の幸助にも有効な効果は望めそうにないと予想していた。

 歪みをぶつけたことで刺激を与えたことになり、幸助の注意が再びエリスたちに向く。それだけで恐怖から周囲の気温が下がったように感じられた。。ゆっくりと近づいてこようとしている幸助の周囲に、エリスは魔法で土人形を生み出し、幸助へと歩かせる。それに幸助は反応し、土人形を潰していく。


「……仕方ないか。起こす前に聞いておきたいことがある。コースケがああなった原因を知らないかということと、セクラトクスになにをさせたいのか。いや後者は聞くまでもないか」


 気絶させる役目なのだろうと言いながら気づいた。この場にいる者で一番高い攻撃力を持っているのだ。

 聞いたばかりのことが頭から抜け落ちるほど、エリスは大きな焦りを抱いているのだろう。


「原因は、生存本能の過剰反応と力の発散ができてなかったこと。命の危機に溜め込んだ力を使って難を逃れようとしたんだけど、力を溜めすぎてたんだ。意識をなくした状態で、力の制御なんかできるわけもなくて暴走してる。

 このまま暴れてお姉さん達を傷つけたら、お兄さん絶対悲しむから止めたいんだ!」

「コースケのことを大事に思っておるのじゃな」


 リンから苦しげな表情が減り、かわりに照れが浮かんだ。そんなリンにエリスたちは笑みを浮かべた。すぐに引き締めたが。


「してコースケを気絶させた後はどうする?」

「気絶までいけば後は僕が力を吸い取って、元の状態に戻すよ。今も力を吸い取って動きを鈍くしてるんだ。

 元々お兄さんから力を吸い取るって役割も持っているんだよ僕」

「吸い取って現状のようなことにならせないためか?」

「うん。結局はなっちゃったけどね」


 エリスに脳裏に、今後神たちがなんらかのアクションを起こすかもしれないと浮かんだ。

 その思いは当たっていた。下級神クラスとはいえ、神の域に届いて見せたのだ。コーホックたちは慌てて今後のことを話し合っている。


「今は神のことなど考えても仕方ない。セクラトクスを起こすぞ!」


 エリスたちがリンの話を聞いているうちに、リーゼがセクラトクスを運んできていた。

 倒れているセクラトクスに治癒の魔法を使い、頬を殴って起こす。殴られた仕返しも兼ねていた。

 怪我人兼英雄に対してのそんな行動にウィアーレとリーゼは引いている。


「なんだか頬が痛いんだが」

「気にするな」


 エリスは一言で切って捨て、手短に用件を伝える。

 こうなったのはセクラトクスにも責任があると締めくくる。


「まあ、手伝うのはかまわんさ。俺がやることはまた闘うことでいいんだろう?」


 リンは頷きを返す。


「ただな? 二つほど問題がある」


 なんだろうと四人は首を傾げる。


「一つ目は、先ほどまでの強さは今俺の中にはないということ」

「どういうことですか?」


 あれほどまでの強さを見せつけておいて、どういうことなのだろうとリーゼが聞く。


「さっきまでの強さは称号で強化していたものだ。

 効果としては俺の知名度の高さを強さに変換するというもので、一日に一回一時間のみ強化できる。さっき気絶したことで効果が切れたことになったんだ。使うには一日待つ必要がある。

 今俺に求めてられている役割なら巨人殺しの称号の方が向いているんだが、既に一度称号換えていて変更もできん」


 セクラトクスが考えているのは巨人の一撃での攻撃だ。今のまま攻撃するより、あちらの方が威力は高い。

 ウィアーレが勢いよく一歩進み出る。


「それなら私が! 私は称号変更できるギフト持ちですから! 早速換えます」


 すぐにウィアーレが称号を換え、セクラトクスはそれを確認した。


「これで一つ目の問題は解決したが、もう一つは俺の攻撃が当たるかってことだ。殴りかかって素直に当たってくれると思うか?」

「効くかどうかわからんが、魔法で動きは止めてみるが」


 準備ができるならば対竜用に習得したステータスを落す魔法が使えるが、時間も道具もないためその魔法は使えない。


「僕も力をもっと吸って力を下げるよ」

「私は応援くらいしかできないよ」

「私もそうですね」


 ウィアーレとリーゼはなにかしようとしても邪魔でしかないと自覚している。

 

「じゃあ、僕から始めるよ」

 

 そう言ってリンは集中し始める。その横でセクラトクスが力を溜め始め、エリスも魔法を使う準備を始めている。

 動きを鈍らせていた幸助はさらに重圧がかかったように動作が重たげなものになる。


「ぅぅっ」

「なんだか苦しそうだけど大丈夫?」


 成果が出始めると同時に顔を顰めるリン。

 ウィアーレの問いかけに頷いて大丈夫だと示す。だが実のところ大丈夫とはいえない状態だった。

 本来ならばリンが今のように動けるようになるのは十年単位の時間を必要としていた。それを幸助の助けになるために無理して実体を出していた。

 それだけならば問題はなかった。苦しげな理由はもう一つあり、それは限界を超えた力の吸収にある。例えば植物に水や栄養剤のやりすぎは成長に悪い。それと同じで、ある程度の力の吸収はリンにとっていいことだが、今の吸収量は栄養過多となっている。

 リンは今ここで自分が倒れると幸助を助けられないという思いだけで、立ち続け、力を吸収していた。

 その無理のおかげで平均B+のステータスが一時的にB-まで下がっている。


「絡みつけ鉄鎖!」


 地面から生えた金属製の鎖が、何本も幸助に絡みつく。若いエリスが幸助に使った土の鎖の上位に当たる魔法で、幸助の動きを封じる。

 リンの様子から何度も挑戦できることではないとエリスは推測する。それはセクラトクスも察していて、力を限界まで高め、確実に当てられるタイミングを計っている。

 リンの我慢も気合も限界に達しようとしていた時、セクラトクスが動く。


「うらぁっ!」


 幸助の動きを読んで拳を放つ。セクラトクスの右拳は吸い込まれるように、幸助のこめかみ辺りに当たった。

 真正面から頑丈さを抜いてダメージを与えられるとは最初から思っておらず、脳を揺らすことで意識を刈り取ろうとした。

 弱者でも打ち所が良ければ、強者を殺すことは不可能でも倒すことは可能と知っていた。

 セクラトクスは小さく舌打ちをする。少しだけ狙いがずれたのだ。

 拳がこめかみに当たった状態で一秒五秒と過ぎていく。誰もが動けず長く感じた十秒が過ぎた時、幸助が崩れ落ちた。

 エリスたちがほうっと安堵の溜息を吐く中、リンだけは幸助に走り寄り、小さな手を幸助の背に当てる。

 最後の一踏ん張りで、いっきに力を吸っていく。皮膚の黒さが薄くなっていき、角や手足の防具や尻尾の先から青い光の粒となっていく。その粒はリンへと集まっていく。代わりにリンの顔色がさらに悪くなる。

 リンの姿が鷹へと戻る。人型でいるよりは楽なのだ。

 一分ほどで幸助の姿が元の人間のものへ戻り、リンは青い光の中に姿を隠す。光が収まるとそこには鷹の姿はなく、鷹よりも少し大きな青い竜が幸助の背中に乗っていた。

 竜は小さく鳴くと、力なく倒れ伏し濃紺のジャケットへと変わった。

 リンが竜に変化したのは力を一度に吸い過ぎたせいだ。大量吸収した力が運良く進化へと使われることになった。一歩間違えば、吸収した力を暴発させ死んでいた。

 幸助の力のほとんどは竜から得たものだ。それを多く吸い取ったリンはその影響を強く受けたのだ。


 後に精霊竜と呼ばれる竜はこうして生まれた。

 といっても無理しすぎたリンが竜として動くようになるのは三十年という長い月日を要する。

 特に今は休息のため深い眠りについているため、これまでできていた鷹への変化もできなくなっている。

 防具としての格が下がったかというとそうでもなく、リンが強くなったため防具としても強化されている。

 鋼を上回る硬度に、魔法にも強くなっていて、軽さと柔軟性服は布と同じ。そこらの一級品を超える一品となった。

 ただしこれを着ている幸助が、素でそこらの雑魚の攻撃を受け付けないので、あって困らないという程度の防具になってしまっている。


 リンが眠りにつき、幸助も元に戻って眠っている。これで本当に終わったと皆、その場に座り込む。セクラトクスだけ若干の余裕を残しているのはさすがといえる。

 周囲は元々荒れていたが、さらに荒れている。地に伏していた兵たちは戦いの影響で飛ばされ散らばっており、土台が残っていた封印は全部砕けていて、地面もところどころ砕け抉れていた。

 皆休みたく思っていて、村に戻ろうとして止まる。兵がいてまともに休めそうにないと小船を借りた漁村まで戻ろうということになる。

 転移で飛ぼうと提案したエリスに皆集まる。幸助はウィアーレとリーゼが二人がかりで運んでいる。


「お前も来るのか」


 近寄ってきたセクラトクスにエリスが迷惑そうな顔を向ける。


「いいじゃねえか。竜殺しを止めるの手伝ってやったろう」

「……仕方ないのう」


 本当に嫌そうに言う。このまま残して、これまでのことを話されても困ると渋々了承した。

 皆が集まったことを確認し、エリスは漁村に転移する。

 セクラトクスはすぐに眠り、女三人は幸助の世話を少しした後ソファーや椅子に座り眠気に負けて眠る。捕まっていた時、眠り心地が悪く、よく眠れていなかったのだ。



 五人が寝ている間に島では、異変が治まり封印の様子を見に行った兵によって騎士たちが回収されていた。

 無事な者はおらず、軽傷の者も少ない。皆どこかしら軽くない怪我を負っており、中には死者もいた。人外の闘いに無防備な姿で巻き込まれたのだから当然といえるのだろう。

 ジスは重傷で腕一本失くし、一般人のクレントは巻き込まれて生きていられるはずもなく死亡していた。

 兵たちはなにがあったのか調査していく。目的は、封印を解いて封印されていたものを回収することだ。回収すべきものが見当たらないので、このまま被害だけ受けて帰れば叱責は必定。せめてどうなったかの調査はやらなければならないことだった。

 その調査で、封印されていたのはセクラトクスで、その英雄と互角に戦っていた幸助のことを兵たちは知る。二人が闘っている時に起きた兵が何人かいたのだ。巻き込まれて再び気絶する羽目になっていたが。住居と強いということ以外に幸助の情報が得られなかったのは、兵士たちにとっては不満があったが、幸助にとって幸運だった。


 生きていた騎士はこの情報のみを持って主の下へ戻る。

 これを聞いた主はクワジット王に報告し、幸助とセクラトクスの入手を提案する。王もそれに即頷く。高い能力を持った人材を喉から手が出るほど欲しているのだ。

 セクラトクスはその名声も利用できるし、能力の高さも保障されている。英雄が国にいて王に従っているというだけで、一つのステータスになる。他国に出張して指導の一つでもしてもらうというのは、外交に役立つカードになるだろう。

 幸助の方は名声はないが、戦闘能力の高さだけでも十分に魅力的だ。

 この二人を手に入れるために国が取った手段は、兵の派遣と賞金首として冒険者ギルドに登録することだった。もちろん生きて捕らえることを絶対条件にしている。国の兵に手を出し、死者すら出した罪人という名分がある。賞金首とするのに迷いはなかった。

 英雄やそれに比する実力者といえども、小国といえど国一つと戦うことは無謀だ。王たちは三ヶ月もせずに、二人が自分たちの目の前に現れるだろうと考えていた。


 しかしそれは実現しなかった。兵の派遣をしようとした時、思っていなかったところからストップがかかったのだ。

 ストップかけたのはコウマ国。ペレレ諸島でも上から数えた方が早い大国からのストップに、クワジット王国は文句も言えずにいた。

 コウマ国が動いたのはルビダシア家が原因だ。見覚えのある名前が賞金首になっているのだ、どういうことか気になって問い合わせたのだった。ルビダシア家は幸助に借りがあるが、それを恩に思って有罪を取り消そうとしたわけではない。本当に罪を犯したのなら庇う気はない。ただどうして賞金首になったのか詳細を知りたかったのだ。

 クワジット国にとっては詳細を知られるのは避けたかった。見つけた高能力の人材を他国に取られるかもしれない。罪人とした経緯がいいがかりに近い。たった二人に精鋭が一方的に負けたという恥も知られたくない。封印を解く時の幸助の扱いもマイナスだろう。

 大国へのプレッシャーと後ろめたさが態度に出て、コウマの使者は怪しんで疑いを抱く。堂々としていれば案外スムーズに調査が終わったかもしれなかったのだが。

 そういった腹芸を容易く行えないから小国のままなのだろう。

 調査は詳しく行われ、エリガデン島にも使者は赴き話を聞く。それにクワジット兵も同行し、余計なことを喋らせないように目を光らせたが、そんなものは無視したリーゼやそんなリーゼに後押しされた村人が全て話したため、クワジットの行いは全てコウマに知られることとなった。


 結果、幸助とセクラトクスの賞金は取り下げられる。セクラトクスは少し無理があるかもしれないが、幸助は無実だと判明したのだ。むしろ被害者だろう。依頼で来たのに、人質を取られて利用されたのだから罪に問いようがない。

 兵たちの怪我は事故として扱われ、セクラトクスの賞金もそのついでに取り下げられたのだ。セクラトクスの罪状について調査すれば、その過程でクワジットの行ったことも明らかになる。国としての弱みを晒すわけにはいかず、セクラトクスも無罪とされたのだ。

 クワジット国は幸助に近づくなとコウマ国から命じられた。これに対してクワジット側はさすがに横暴だと意見を出したのだが、輸出入制限の一言で意見を取り消さざるを得なかった。コウマから買う物売る物は少なくなく、それに制限がかかるとクワジットとしては痛いものがある。制限された分を他国と取引しようとしても、ペレレ諸島内ではコウマの機嫌を損ねたくない国は取引を拒むだろう。諸島外では経費がかかりすぎて、国の予算に大きなダメージがいく。

 この命令は、今後クワジットがちょっかい出して幸助が困るかもしれないと考えたルビダシア家が、王に頼んで出してもらったのだ。これでシズク救出の借りを返したことにする。

 コウマ王もシズク救出のことは知っていて、今回のことで幸助の実力を知り、自国の印象を良くするのにちょうどいいとルビダシア家からの要望に頷いたのだ。

 ちなみにこの一連の出来事は幸助たちが帰った後、知らない間に起きて終わった出来事である。



 時は遡って、幸助が起きた時のことだ。

 五時間ほどで目を覚ました幸助。その前に全員起きていて、セクラトクスに封印された経緯などを聞いていた。

 人間のライバルを求めて、いつか誕生すると予言されていた竜殺しに会うため友人に封印してもらい、解除を頼んだ。始めは友人の子孫が封印を守っていたが、それはいつしか村ぐるみの使命となり、重要視されていった。

 そんな流れの始まりを聞いて、友人の遠い子孫にあたるリーゼは脱力せざるを得なかった。

 突然の英雄の失踪に世間では、暗殺や敗北して隠居したといった噂が流れた。それを信じたのはセクラトクスを知らない者たちで、知人たちはきっと碌でもない理由で消えたのだと確信を持っていた。

 知人たちはセクラトクスが英雄と呼ばれるような人物ではないと知っていた。戦いを求めてあちこちと移動し、その戦いの過程で偶然人間にとって害のある魔物を殺していっただけなのだ。本人には人助けをしたという意識はほとんどない。依頼で魔物退治したのは。美人に頼まれたり、子供の裏表のない称賛に煽てられ勢いで行った程度だ。


 話を聞いた後は、皆思い思いに過ごしていた。

 ウィアーレは幸助の世話で、エリスは今後のことを考え、セクラトクスは島の皆のことを心配するリーゼから今の世界のことを聞いている。


「あ、起きた。どこか痛いとことかない?」

「……ないけど、なんでこんなところにいるんだっけ?」


 ウィアーレに聞き返す。


「どこまで覚えておる?」

「えっと……闘ってて、いいようにやられて、そんなところ。負けて見逃された?」

「いや、俺が負けたんだ。暴走していたみたいだから覚えてなくて当然だろうがな。いやー強かった! またやろうな?」


 笑いつつ言ってくるセクラトクスに、やらんと返す。

 セクラトクスはこう言われても気にせず、無理矢理押しかけ闘おうと思っている。夢にまで見た自身よりも強い人間だ。闘わないという選択肢はない。

 なんとなくそういう考えが読めて、幸助は肩を落とした。


「コースケさん、お腹空いてない? 果物あるけど食べる?」


 聞かれると空腹を自覚し、音が鳴る。

 ウィアーレはそれを返事と解釈し、果物の皮を剥いて渡す。少しだけ不恰好なそれを受け取り礼を言う。


「ありがと」


 渡された果物を口に運ぶと同時に、部屋の中に突然人が現れる。

 幸助だけが見覚えがある人物、いや神だ。いつになく真剣な表情で幸助を見ている。


「コーホック? なにしに来たの?」

 

 口の中のものを飲み込み、問いかける。

 驚いたのはエリス、ウィアーレ、リーゼで、セクラトクスもコーホックが神だと知れば驚いた。

 セクラトクスが半生を過ごした時代の娯楽の神とは代替わりしていて、名前に聞き覚えがなかったのだ。


「コーホックって神様じゃないですか!? え? 本物? 同じ名前の人間じゃなくて?」

「本物だよ。これでも神の一員だ」


 驚くリーゼに硬い声で返す。


「あ、声が同じだ」


 声だけは聞いていたウィアーレもコーホック本人だとわかった。


「長いこと生きてきたがこんな近くで神なんぞ見たのは初めてだ。コースケといると退屈せんのう」

「神なのか。強いんだろうな」


 セクラトクスの目がキラリと光るが、今すぐ闘おうとは思わない。いずれは神とも闘ってみたいと思っているが、もっと力をつけていい勝負ができるようになってからと思っている。

 ウィアーレたちを無視して、コーホックは幸助を見たまま口を開く。


「今日ここに来たのは一つ聞きたいことがあるからだ」

「聞きたいこと?」


 なんだろうと幸助は首を傾げる。


「今後、神に対してどういった対応を取るかだ」

「対応って言われても。特にこれといった指針はないけど。それに会おうと思って会える存在じゃないし、対応なんて決める意味はないと思う」

「もしでいい、もし出会ったらどういう行動を取る?」

「もしというか今会ってるし……相手次第かな。コーホックみたいに穏やかに接してきたら穏やかに返す。敵対なんかしてきたら逃げようとするかな」

「敵対し返すということはないと考えていいのか?」

「敵対して無事でいられるわけないし、どうにか逃げてコーホックとか見てる神に助け求めるけど。あ、身近な人に手を出されたらわからない」

「……それはそうだろうな。基本的には好戦的といった対応はしない。これでいいんだな?」

「それであってる」


 ここでコーホックは深く溜息を吐いた。安堵しているのがよくわかった。硬かった雰囲気が柔らかなものへと変わる。

 

「なんで安堵してんのさ」

「お前さんの実力が洒落にならんところまで来てたからな。暴走中の平均ランクがどれくらいになっていたと思う? 平均B+だぞ? 下級神クラスだ。筋力に至ってはA。中級神上位クラスにまで届いてんだ。それで問題にならないわけがないだろう。

 暴走するお前さんを見ていた神々からは、封印だとか排除といった意見も出ていたんだ。史上初の神殺しが生まれる前に始末しておけってな」

「…………」


 血の気の引いた幸助はなにか言おうとして何も言えずにいる。

 自分が神々に警戒される、そんな大それた存在であることが信じられなかった。性質の悪い冗談であってくれと願う。


「対応について聞いたのは、神がコースケに対してとる方針を決めるためなのか?」


 エリスの問いに頷く。

 

「もしコースケが戦いたいといった選択をしていたら、問答無用で排除となっていたと見ていいのじゃな?」

「ああ。その選択をしていたら今ここを見ている神々が転移してきて、ここら一帯ごと封印することになっていた。その上でコースケを排除するために動いた」

「非好戦的で助かった」


 心の底から助かったと思っている幸助に、コーホックはそうだなと頷く。

 

「好戦的で思い出したけど、セクラトクスさんも暴走していたコースケさんに追従してたよね。

 セクラトクスさんも神様にとって要注意人物ってことになるのかな?」


 ウィアーレの疑問にコーホックは首を横に振る。


「現状では放置しても問題ない。古の大英雄の称号効果でも下級神に及ばない。セクラトクスの名声は現状で最大値だからこれ以上効果の上昇はあり得ない。コーホックの評価を落せば称号効果も落ちるから弱体化は楽だ。

 これらの理由から問題視はされていない」


 上がるのは幸助の竜殺しと違って、ステータスのみだ。ステータス外の能力まで上がらないので、神に近かろうが気にしないのだ。後平均一ランク上がれば下級神に届くが、その一ランクがすごく遠い。修行に明け暮れても早くて二十年先だ。

 

「問題視されてないなんて言われたら、一矢報いたくなるな」

「努力次第ではそれはできるそうだ。一年五年の努力じゃ無理だそうだが」


 戦いの神といった戦い関連の神たちの評価だ。

 修練を積んだとわかったら評価した神が手合わせに行くというコーホックの言葉に、セクラトクスは気合が入る。

 再び幸助に向き直り、称号を見えるようにしてカードを見せてくれというコーホックに、幸助はカードを渡す。


「予想が当たったか」

「なにが?」

「竜殺しの称号が成長しているんだ」


 ほれ、と幸助の目の前に出されたカードには、竜殺し3と確かに刻まれている。


「あの暴走中の変化は成長に関係していると確定したか」

「変化? 暴走中なにかあった?」

「そういや明確な意識はなかったんだったな。その時の姿を頭に送ってやる」


 コーホックが幸助の額に指を当てる。すぐに幸助は変わった自身の姿を見ることができた。


「竜っぽくなってたんだなぁ」

「俺たちはあれをギフト『竜装衣』と名づけた。竜を真似たような姿だ、ピッタリだと思わないか?」

「竜を装う衣ね、ほんとにそれっぽいよ」

「ちょっと変わってくれるか、ステータスの変化をみたいんだ」

「いきなり変われって言われても」


 さっきの姿をイメージし、変化しろーと念じる。

 変化はすぐに起きた。幸助の体から青い風が出て、体を包んだ。繭のようにはならず、額と手に青い風が集中し、幸助はあの時とはまた違った姿に変わる。

 髪や目の色は変化なく、肌は褐色へ。角は青水晶のようなものが生え、手には色しか変わらない青鱗のガントレット。足には変化なく、尾もない。

 ステータスも二段階アップではなく、一段階アップとなっている。

 目には変化前と変わらず理性の光が宿り、暴走状態ではないとわかる。

 変化した自身の手を幸助は物珍しげに見ている。


「あの時とは違うのう」

「あの姿は最終変化した姿じゃないか? 修練を積めばあの姿に辿り着くと思うぞ」


 コーホックはそう言うが、竜殺しの称号が成長した時点であの姿になることは確定していた。修練を積めば変化が早まるというだけでしかない。そしていつか半竜半人という世界でただ一人しかいない種族が生まれる。


「別に修行しなくていいよね。この姿でも持て余すのに」


 これ以上は余計だと言い切った。

 パワーアップせずとも、今までの暮らしに十分すぎるほどの能力を持っていたのだ。切羽詰った状態でもないのに、これ以上のパワーアップを望むはずもなかった。


「コースケならそう言うじゃろうな」

「だよねー」


 エリスとウィアーレは納得したように頷く。

 セクラトクスはもったいないと言っている。リーゼは話を理解する気はなかった。この場の話は聞かなかったことにすると決めていた。自分が関わるには不釣合いと考えたのだ。竜殺しのことも、ウィアーレの歪みのことも忘れることにしている。迷惑かけた分の恩返しはしようと思っているが。

 

「そう言ってもらえると助かる。鍛えるとか言い出したらまた警戒する必要があるしな。そろそろ帰るが、最後にこれを飲んでくれ」


 コーホックはヤクルトサイズの小瓶を懐から取り出し、カードと一緒に渡す。


「これは?」


 目のあたりに持っていて小瓶を揺らし、中身がチャプチャプと揺れる様を見つつ言う。

 中の液体は不純物の入っていない、透明感のある綺麗な朱色をしている。見ただけではどんな効力かはわからない。


「上級神から渡されたものでな。神と竜殺しが出会った時に両者の力が落ちるようになるんだと」

「神の力も落ちんの?」

「お前さんの力だけが落ちるようにすると、神が気軽に会いに行ってちょっかいかけるかもしれん。それは竜殺しだけに負担を負わせるだろうと仰ってな。神の力も落ちるようになると、ふとしたことで神も死ぬ可能性がある。死にたいと思っている神はいないだろうから、会うことを避けるようになる。会いに行こうと思う神はそうそういないから、念のためなんだが」

「ほんとにその効力だけ?」

「俺に聞かれてもな。作ったの上級神だからなぁ。飲まないって選択してもいいが、その場合は警戒度が上がるぞ?」

「だろうね。仕方ない飲むか!」


 腹を括って、いっきに飲む。ほんのり甘く、すっきりとした味だった。

 コーホックがそばにいるため効果はすぐに表れ、カードのステータス表記がオールEまで下がった。


「なんか体が重く感じる」

「俺も似たようなもんだ」

 

 コーホックも自身の体を見回し変化を確かめる。


「じゃあ、俺は帰る。宿からある程度離れたら元に戻ると思う」


 そう言ってコーホックは宿から出て行った。

 コーホックがいなくなって一分ほど経ち、体が軽くなるのを感じ、ステータスが元に戻る。

 

「さてともう一泊したらさっさと出ようかの。リーゼも私たちについて来るがいい」

「え? でも島の皆が心配」

「今帰ったら兵たちに捕まる可能性があるぞ。五日もすればいなくなるだろうし、私が転移で送ってやろう」

「……送ってくれるなら」


 一泊した五人は転移し、行きに立ち寄ったセブシック大陸の港で時間を潰す。

 この五日の間にリーゼは幸助に、迷惑をかけたことを謝った。リーゼのせいではないとはいえ、知り合いがやったこと。自身も一部加担したところもあるのだ。

 色々と疲れたとはいえ、もう終わったことなので幸助は謝罪を素直に受け入れた。

 受け入れる条件といわけではないが、自分が竜殺しだと黙っていてくれという口止めをする。リーゼは既に忘れると決めていたので、即頷いた。

 セクラトクスにも口止めするが渋るので、喋ったら絶対手合わせしない闘わずに逃げる、と脅し頷かせた。竜殺しと戦うためだけに封印までされたのだ、この脅しはよく効いた。

 五日後にリーゼを送り、エリスは幸助の荷物を持って帰ってきた。


「コウマに寄る予定じゃったが、向こうをうろつくとクワジット国に言いがかりつけられる可能性もあるし止めておこうか。わざとでないとはいえ、兵を怪我させたからのう。しばらくは近寄らん方がいいじゃろうて」

「エゼンビアに続き、ペレレ諸島も行けなくなったよ」


 行かない方がいいというだけで行ってもいいのだが、行けば面倒事が起こるだろう。


「時間が経てば行けるようになるよ!」


 ウィアーレの励ましに少し癒される。


「私たちは帰るが、セクラトクスはどうするのじゃ?」


 とっとと別れたいと思いつつ聞く。


「どこかに行こうにも金がねえしな。ついていこうと思ってるが?」

「ついて来られても迷惑じゃ。お金ないと言うが、お主なら強めの魔物殺して荒稼ぎできるだろうに」

「ああ、そういやそうだな。ついて行かなくても問題ないのか。じゃあ自由にやるかな」


 再戦のため幸助の住所を聞いたセクラトクスは、酒と女が待ってるぜと言いながら街の外へ向かう。早速魔物を殺してお金を稼ぐつもりなのだろう。

 セクラトクスがいなくなり、幸助はほっと安堵の溜息を吐いた。


「あの人はすぐに名を広めるだろうねぇ」

「強いし、それを隠すつもりもないだろうし広まるだろうね」


 幸助の言葉にウィアーレが頷く。

 たしかにセクラトクスは有名にはなるが、さすがに英雄が復活したとは思われず、同じ名前の強い者が現れたと考える者が多数だ。


「あれのことはもういいじゃろ。帰るぞ」

「あ、うん。しっかしただ封印解くだけと思ったのに、一騒動だったなぁ。また剣壊したし。頑丈な剣ってどこにかにないものか」

「素手で戦うしかないんじゃない?」

「進んで戦う方じゃないし、それでもいいけど。触りたくない魔物に出会ったときとかね」

「そういう魔物は魔法で相手すればいいじゃろ。剣が欲しいならどうにかならんことはないが」

「どうになるの?」

「家にある竜の鱗を材料に作ってもらえばいいのさ」


 武具の材料としては最高の部類だ。ただし作り手が一流でないと材料を生かしきれないのだが。

 幸助はそういった人材に繋がりがある。ベラッセンにいるのだ。クラレスの父が一流といっていい職人だ。

 費用もそれなりにかかるが、お金ならばある。頼めば問題なく剣はできあがるだろう。


「その方向でいこうかな。鱗少しわけてもらっていい?」

「かまわんよ。元々はお前さんのものみたいなものじゃ」

「ベラッセンに行くなら、ついて行くからね。皆に会いたいし」


 断る理由もなく幸助は頷く。

 ベラッセンで剣作製どころではない騒ぎが待っている、そんなことを予測もせず三人は一ヶ月ぶりの家に思いをはせる。





 数えるのも馬鹿らしくなる数の魔物。それに対する人々の数は少ない。千分の一いればいい方だろうか。

 戦いの始まりに幸助が一人、人々の先頭に立つ。一メートルを越す剣を持ち、竜装衣を使った状態で、それを真横に薙いだ。その一振りから力が解き放たれ、前面にいた魔物を扇状に削る。そのたった一度の攻撃で、幸助は一万近くの魔物の命を奪っていた。

 そんな幸助に人々は恐怖を抱き、魔物たちは意に介さず前に進む。人々も魔物を迎え撃つと、幸助を避けて前に進む。幸助も一人で前に進む。

 人と魔物の戦いが始まる。


 神に連れられ消えていくウィアーレがいる。諦めの表情を浮かべたウィアーレへと幸助が走る。だが多くの人々に邪魔され、どうしてもたどり着くのが遅くなる。

 人々を掻き分けそばにたどり着いた時、ウィアーレは消える寸前だった。

 ウィアーレは近寄ってきた幸助へと手を伸ばす。助けを求めるためではなく、これからの幸助の助けとなるよう歪みを放つため。

 歪みは放たれ、幸助の体に注ぎ込まれた。気持ち悪さでうずくまる幸助の前でウィアーレはいなくなった。


 幸助が傷だらけで地に膝をついている。そのそばには口とわき腹から血を流すエリスがいる。エリスは致命傷を負っている。百メートル以上離れた位置には手を幸助たちへと向けた神が数人。

 エリスが何事か喋り、幸助が必死に止めようとしている。その間に神たちの手には光が集う。

 小さく笑みを浮かべたエリスが何事か話す。それに幸助は首を横に振る。同時に神たちは一斉に光を二人へ放つ。

 神たちの放った光が当たる寸前に、幸助の姿は消えた。残ったエリスは髪の毛一本も残さず光の中に消えていった。

 二人が消えたことを確認した神たちは満足げに頷いて去っていく。


 満月が照らす荒野の下、鋭い雰囲気を持つ幸助が岩を背に座り、ぼろぼろになっている剣を抱いて目を閉じている。ぼろぼろなのは剣だけではなかった。着ているもの、そばに置いていある鞄もぼろい。幸助自身も薄汚れている。

 雲一つない満月の夜なのだが、どこか薄暗い。風も澱んだものを含んでいるように思われる。

 座り続け、十分か一時間か。時間の経過がわかりずらい。

 どれくらい経っただろうか、不意に幸助が目を開き立ち上がる。その三秒後、神が数人現れた。

 神の一人が幸助へとなにかを喋るが、幸助は聞き流しいっきに近寄り、その神を斬り捨てた。

 慌てて距離を取りつつ攻撃を始める神と、攻撃を全て避けながら追いかけ次々と斬り捨てていく幸助。

 幸助の表情は淡々としていて作業をこなしているだけといった感じだ。

 やがてその場に立っている者は、神を殺し力が増した幸助だけとなる。



 風は止み、水は濁り、地は荒れ、光は遠のく。


 倒れ伏した上級神たち。


 竜の爪を世界神に突き立てる幸助。


 崩れ行く世界。


 世界を喰らった竜の誕生。



 人形のように微動だにしなかったミタラムが目を開ける。ほぼ同時にコーホックが帰ってきた。

 ミタラムはコーホックに近づき問いかける。その目には焦燥の色が浮かんでいる。


「コースケに薬渡した?」

「渡したが、なんで知ってるんだ? ミタラムが意識を閉じている間のことなのに」

「未来を見たから」


 早口でそれだけ言うと、ミタラムは急ぎ足でその場から離れる。

 ミタラムがそんな様子を見せるのは珍しく、コーホックは後を追い話しかける。


「どこに行くんだ?」

「上級神のところ」

「なにしに?」

「見た夢の実現を防ぐため」

「どんな夢を見たんだ?」

「世界崩壊」

「は?」


 呆けるコーホックを置き去りにして、ミタラムは上級神の元へ急ぐ。

 ミタラムが見た夢は変えることができる未来。だが阻止するために動かなければ高確率で実現する未来。

 あんな未来が実現したところなど見たくないミタラムは、阻止するために動く。

 だが既に薬は渡された。崩壊の未来を阻止にするには薬が渡されないよう動く必要があった。あれは弱くするが、強くもなる薬。

 阻止するためにできることはまだあり、協力を得るため上級神の元へ向かう。


 ここが運命の分岐点だった。ミタラムが幸助を見ていなければ、未来を見なければ、阻止するために動かなければ、世界の崩壊は決定していた。


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