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主人の言葉
「あ、これはこれは、鎌太郎の親分さんじゃないですか。来て頂いていたんですね。」
小屋を出るとこの芝居小屋の主人が鎌太郎を見つけて挨拶をしに駆け寄ってきた。身なりは普通の商人で、でもにこにこと笑っている。この主人の顔はいつもこんなふうに笑っているようにも見える。
「芝居小屋ってのはどんなものなのか知りたくなって来てみたんだよ。」
「そうでしたか。で、いかがでしたか?」
「楽しかったよ。」
「それは良かったです。」
「でも主人よ、この客の入りで大丈夫なのかい?」
「ご心配なさらずとも大丈夫でございますよ。月に何度かの催し物もありますし、それに、客の量ばかりが全てではございませんよ。」
「それはどういう事だい?」
「ま、親分さんも観てればそのうちわかりますよ。」
「そんなもんかい。じゃあまた来るよ。」
「はい。ありがとうございます。」
にこにこと笑って手を振るのを遠くなるまで続けている。客の量が全てじゃないか。。じゃあ何があるんだろうか。
鎌太郎は、もうその事が気になって仕方ないのだった。




