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動物は大きいほうが強い。ではなぜ、全ての生物が巨大化するように進化していないのか。

作者: 行世長旅

 動物同士が争いを始めた場合、基本的には体の大きいほうが勝つ。

 体重差で圧倒する。多少の傷ならダメージにすらならない。体が大きいと得られる利点は数多い。

 そして生物は進化を繰り返していく中で、どんどんとサイズを大きくしている種族が数多く存在している。戦いに強くなるための進化をしている種族が数多く存在している。

 しかし、ずっと小さい状態を維持している種族もいる。戦いに勝てずとも、小さいままで生き延びている種族がいる。


 なぜ全ての生物が巨大化しないのか。その理由を解説していきます。



 生物には様々な種族が存在しており、体の大きさも幅広い。ネズミのようにとても小さかったり、ゾウのようにとても大きかったりする。

 そして例えばネズミとゾウが争いをおこなった場合、とんでもない奇跡が起こらない限りネズミに勝ち目は無い。ゾウがほぼ確実に勝つ。

 相手がゾウほど大きくなくとも、ライオンサイズにも勝てない。ブタサイズにも勝てない。ネコサイズにも勝てないのである。

 これだけ勝てないのなら、体が大きくなるように進化するべきではないだろうか。


 実際、多くの生物が進化を経て巨大化しているという。

 同じ種族の化石を年代順に並べてみると、古いものは小さく、新しくなるにつれて大きくなっているという。

 これは戦いのために大きくなったとの説が有力で、戦い以外のための利点も存在する。

 まず、周囲の影響を受けにくい。急激な温度変化に強くなったりする。

 ネズミとゾウでは、凍死するまでの時間に大きな差がある。当然だがネズミのほうが早く絶命する。生きている時間を長くできるのであれば、その方が生存に有力である。

 他にも、寿命がとても長くなったり、生命活動に必要なエネルギー量が少なくて済むという利点がある。エネルギー消費量が少なくて済むというのは、サイズで見た場合の話である。ゾウはネズミの約10万倍の大きさだが、ゾウ1頭とネズミ10万匹分の1日の消費カロリーが同じなわけではない。


 この他にも、体が大きな場合の利点はとても有益なものが多い。

 しかしその一方で、体が小さいままに留まっている種族は、小さいからこそ発生する利点を生かしているのである。


 体の小さな種族の多くは、短命で繁殖能力が高い場合が多い。1匹だけを見れば、すぐに寿命を迎えてしまうし戦いにも弱い。

 しかし繁殖能力が高いため、その1匹が息絶えようとも、他の多くの同胞が新たな子孫を残すため、種族の繁栄にはなんら問題が無い。

 そして繁栄が早いということは、突然変異した個体が生まれやすいということでもある。例えば、寒さに強い個体が生まれたりする。すると急な寒波に教われたりしてと、生き延びる種族がいたりするのである。

 進化というのは大抵の場合、この突然変異が良い方向に働いたことを指す。

 加えて突然変異は、新たに命が生まれてくるタイミングでしか起こらない。

 短命だということは、進化をしていない個体がいなくなるということ。進化をしていない個体に繁殖活動をさせるのを防ぐという目的がある。

 繁殖能力が高いということは、突然変異種が生まれる確率が増えるということ。次世代の環境に適した能力を持つ個体が生まれやすくなるという目的がある。



 上記の話を反転させると、大きい動物は、進化には不向きだという証明になる。

 強さを求めた結果、進化の可能性を捨ててしまっているのである。


 体の大きい動物は、その個体の生存に有利。

 体の小さい動物は、種族全体での生存に有利。


 今その時を見据えているのか、未来を見据えているのか。体のサイズ1つをとっても、生存戦略に対する考え方は違いがあるのである。

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