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悪役令嬢、指名手配される

誤字脱字報告ありがとうございます!とっても助かります(^^)




その日、魔王に呼ばれて執務室に行くと、父と母もいた。



「来たか、レティシア」




今日の人格は魔王の方らしい。



「何か・・・あったの?」



父と母が渋い顔をして床を見つめていた。


一体何の話だろう?





魔王がジッと私を見つめる。



「・・・?」




何?この空気。


訳がわからなくて首を傾げた。



でもその後の魔王の言葉に私は固まる。





「レティシアが国際指名手配された」




「─────────は?」





国際指名手配?



私が?






「何で!?」




驚愕のあまり叫んでしまった。


どうして私が指名手配されるの!?



私は何もしてないじゃない!




「ジュスティーノにいる諜報部隊から知らせが来た。オレガリオの周辺諸国に通達が来たらしい」




諜報部隊───実はジュスティーノにあるお父様の商会で働く魔族達は、魔王軍の諜報部隊のメンバーらしい。


獣人族と手を組んで人身売買について調査しているのだとか。そんな彼らからの情報なので、私の指名手配は事実なのだろう。





「どうして・・・なんの罪?」



「国家反逆罪だそうだ」




ヒュッと喉が鳴ってしまった。


国家反逆罪・・・ゲーム中でレティシアが討伐された理由だわ。




「何で?私ずっとこの国にいてオレガリオとは関わり持ってないのに・・・。漫画の件?私が話を作ったってバレたの?」


「違う」


「じゃあどうして!?」




「神の巫女だ。その女が教会で女神のお告げを聞いたらしい。黒き魔女、レティシアを討伐しろと」




あんまりな理由に体が震える。


死にたくないから国を出たのに、国際指名手配ってなんなのよ・・・っ。



ゲームの強制力は、どうしても私を殺したいらしい。




悪役令嬢は、絶対死ななきゃいけないの?


なんで?ゲーム降りたのに、何でまた巻き込まれるの?




私はアレクと幸せになりたいだけなのに───。



 

理不尽な世界に絶望して、涙が出た。




「ルイスから手を引いたじゃない・・・、国だって出て行ったのに、巫女はルイスだけでなく私の命も奪うの?」





悪役令嬢が絶対死ぬ運命なら、何で私を転生させたのよ。


女神は酷い。




「レティシア!」



母が私を抱きしめて怒りを露わにする。



「レティシアは何も悪くない・・・っ!悪いのは全部全部あの女と愚王のせいじゃない!もう我慢ならないわ!お兄様に言ってオレガリオを潰してもらう!」


「お母様!」



「すぐに食糧支援もやめさせる。その覚悟があるから国際指名手配なんてしたのでしょう。あの国の常識が他所の国でも通用すると思ったら大間違いだわ。それにジュスティーノは多神教で女神を信仰しているのは極一部よ。他の国もそれぞれ違う神を信仰してる。神の声だと声高々に宣言してるけど、周りの国から見たらそのお告げも眉唾ものでしかないわ。神が人の命を奪うようなお告げを出すわけないもの」



「また巫女が嘘ついてるってこと?」


「今まで嘘ついて散々アーレンス公爵家に冤罪かけてきた馬鹿女ですもの。デタラメ言ってるに決まってる。でも今回は流石に度が過ぎるわ。絶対に許さない。自分がどれほどの罪を犯したのか思い知らせてやる」



母は涙ぐみながら歯を噛みしめている。

私を抱きしめる腕が怒りで震えていた。



「絶対に、貴女を討伐なんてさせない…っ」


「───ありがとう、お母様」





ゲーム上での女神は愛と豊穣の神だった。


命の恵みを司る神が、本当に私を殺せと命じたのかはわからないけれど、ユリカがどんな手段を使っても私を殺したいと思っていることはわかった。



ゲームのシナリオはオレガリオでしか通用しないのに、他国を巻き込んで無理矢理シナリオに添わせようとするからいろんな所に無理が生じてる。



ユリカは何がしたいの?



もうルイスと結婚エンド迎えられるんだからそれでいいじゃない。私を殺して神聖魔法を得る必要ある?



一体何を企んでるのよ。






私はどうすればいい?




どうすればアレクを守れるの?






───その時、部屋の外から騒々しい足音が聞こえる。



「?」



全員が扉の方に視線を向けた時、けたたましく扉を叩く音がした。




「何ごとだ」



魔王が声をかけると、勢いよくエマが執務室に入ってきた。




「レティシア様!!」


「エマ?」




「アレクセイ様が…」




その名を聞いた瞬間、ゾワッと背中が冷えていく。



「アレクが…アレクがどうしたの!?」




私が訪ねると、エマが泣きそうに表情を崩し、悲鳴のような声で言った。





「アレクセイ様が…、どこにもいないのです!!」

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